2019年11月2日(土)「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」

T-34・2018・露・1時間53分(IMDbでは139分、DVD・米版113分)

日本語字幕:手描き風書体下、櫻田美樹/字幕監修:浪江俊明/シネスコ・サイズ(2.35、デジタル、レンズ、Arri)/ドルビーATMOS

(露DVD 12+指定)

監督・脚本:アレクセイ・シドロフ
撮影:ミハイル・ミラシン
出演:アレクサンドル・ペトロフ、
   ヴィンツェンツ・キーファー、
   イリーナ・ストラシェンバウム、ほか

公式サイト
http://t-34.jp
(全国の劇場リストもあり)

第二次世界大戦、ソビエト連邦。独ソ戦が始まって間もない頃、前線の戦車部隊に戦車学校を卒業したばかりで実戦経験の無いニコライ・イヴシュキン少尉(アレクサンドル・ペトロフ)が、新しい戦車長として赴任してくる。ところがそこにはたった1両のT-34戦車しかなく、3名の部下の士気も高くなかった。しかし燃料と砲弾はたっぷりあり、イヴシュキンは独自の作戦を立てドイツ機甲部隊を迎え撃つ。その結果、多数のドイツ軍戦車を撃破するも、イヴシュキンは捕虜となってしまう。


74点

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 なかなかの冒険活劇的アクション映画。特に戦車戦が素晴らしいが、ちゃんと戦争の悲惨さや国を守る使命感なども描きながら、男女の恋愛まで盛り込んで、映画向きの驚きの物語を作って見せた。ロシアでは観客動員数800万人のNo.1大ッヒットを記録したんだとか。

 感覚的に言えば、大人気アニメ「ガールズ&パンツァー」の戦車戦の肉が割け血が飛び散るリアル版で、ディスカバリー・チャンネルの3D-CGで再現したわかりやすい戦車戦を実写に(たぶんかなり3D-CGを使っているだろうが)したという感じ。もっと悲惨さが描かれていれば強烈な戦車映画「レバノン」(Lebanon・2009・イスラエルほか)【戦車はセンチュリオン】につながる部分も。ハリウッド大作「フューリー」(Fury・2014・米/中/英)の、ロシア版カウンターパート的な部分も。「フューリー」はM4シャーマン戦車vsティーガーI型戦車で、本作は76mm砲のT-34戦車 vs III号戦車、85mm砲のT-34戦車 vs パンター戦車(詳しい人によると、T-55を改造したものでA型やG型の特徴などが混じっているらしい)というわけだ。WW II初期のシーンではたぶん2号戦車も出ていたが、あれは3D-CG?

 構成的には3つのパートからなっている感じで、それも面白い。まず最初の戦車戦パート。そして強制収容所パート。ラストの逃亡から決闘パート。予告からは、ほとんどロシア映画的な重苦しい強制収容所パートだけではないかと思ったのだが、違った。全体で大冒険活劇的にまとめられている。強制収容所パートも、悲惨で怖いパートではあるのだが、「大脱走」(The Great Escape・1963・米)的な味付けもあって興味深く見ることができた。

 砲弾が砲塔ではじかれたときの音も再現されていて、カキーンと響く音はかなり怖い。この辺は「フューリー」などでも描かれていたと思うが、戦車兵はいつもこんな恐怖を味わっているのだろう。また、砲弾が命中したしたときの車内の様子も描かれていて、スローで溶けた鋼が飛び散るのだが、それで1人の戦車兵がやられるだけ。ボクは砲塔がすっ飛ぶくらいの威力を想像していたので、被害が少なすぎるような気がした。徹甲弾はこんなものなのだろうか。爆発するのは徹甲榴弾か。また榴弾の遅延信管を使う作戦もあって、それも興味深かった。

 銃はドイツ軍がP38(ちゃんとハンマーが起きていた)、MP40、Kar98k(フロント・サイトのフードなし)、MG42など。ソ連軍はPPSh-41とトカレフ(撃ち尽くしてオープン・ストップしていた)。

 公開9日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。傾斜の緩いスクリーンで、後ろの席だと前席の人の頭が邪魔になる。下に出る字幕が読みにくくなる。センター付近に座ると左右に逃げようもない。失敗したかと思ったが、幸い前席に人が座らず助かった。中年層くらいが多く、最初、男性11人に女性2人。中学生くらいが1人。最終的には、若い人がちょっと増えて、251席に50人くらいの入り。朝早かったせいもあるだろうが、もっと入っていい作品だと思う。上映館は少ないけど。

 スクリーンはビスタで開いており、スクリーン近くは暗いので、場内が明るくてもCM・予告は見やすかった。スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになり、ちょっとピントがずれてから合って、映画泥棒のあと暗くなって、本編へ。


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