2019年11月9日(土)「グレタ GRETA」

GRETA・2018・アイルランド/米・1時間38分

日本語字幕:丸ゴシック体下、表記なし(公式サイトでは川又勝利)/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、表記なし、IMDbではArri)/音響表記なし(IMDbにもなし。公式サイトでは5.1ch)

(アイルランド15A指定、米R指定)

監督・製作総指揮:ニール・ジョーダン
脚本:レイ・ライト、
   ニール・ジョーダン
撮影:シーマス・マッガーヴェイ
出演:イザベル・ユペール、
   クロエ・グレース・モレッツ、
   マイカ・モンロー、ほか

公式サイト
http://greta.jp
(全国の劇場リストもあり)

ニューヨークで、友人のエリカ・ペン(マイカ・モンロー)とルーム・シェアしながら、レストランでウエイトレスとして働いているフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は、ある日地下鉄の車内で高級そうな女性もののハンドバッグの忘れ物を見つける。中にIDカードが入っていて、最近亡くなった自分の母親に似た女性で、親切心から届けに行くことにする。すると落とし主は、自分の娘をフランスに留学させていて寂しいという1人暮らしの未亡人のグレタ・ヒデック(イザベル・ユペール)で、それをきっかけに連絡を取るようになり、どんどん親しくなっていくのだったが……。


74点

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 怖い。正統派のホラー。やっぱり人間が一番怖いと。音で驚かすような稚拙な手は使わない。だからじわじわと怖くなってきて、お見終わった後も怖さが残る。さすが名匠、ニール・ジョーダン監督。レベルの高いうまさ。ちょっとヒッチコック的な感じもした。振り向いただけでドカーンとか音を出すヤツ、この監督の爪の垢でも煎じて飲め!

 物語は巻き込まれ型で、ヒッチコックのパターン。主人公がバカで事件になるわけではない。だから感情移入できる。しかも良い人なのでかわいそうで、同情できる。雰囲気としてはヘレン・ミレンの「鬼教師ミセス・ティングル」(Teaching Mrs. Tingle・1999・米)にも似ているかもしれない。

 何よりイザベル・ユペールが素晴らしい。無表情がとにかく怖い。最初、上品で優しそうなオバさまだったのに、豹変する。同じ人とは思えないくらい。すごいなあ。クロエ・グレース・モレッツは相変わらずかわいい感じだが、なんだかポッチャリというかコロコロしてきた気がする。最近良い作品に恵まれていないせい? そして最初、いい加減なパーティ・ピープル、イケイケ娘かと思っていたルーム・メイトが、いい。なんて良い子なの。頼りになるし。演じていたのはマイカ・モンロー。一方お父さんは、いろいろ事情があるとは言え、全く頼りにならない。ほかに、ニール・ジョーダン作品常連のスティーヴン・レイもちょい役で出てくる。これまた頼りにならないが。新たな情報をくれるグレタの娘の友人を演じていたのはザウイ・アシュトンという女優さんだが、ちょっと「クライング・ゲーム」(The Crying Game・1992・英/日/米)の美女というか美男のジェイ・デヴィッドソンに似ていたかなと。

 先が読めず、途中、やりっぱなしの投げ出しパターンかという不安もあったが、さすがニール・ジョーダン、そんなことはしない。ちゃんと決着を付けてみせる。

 銃は、私立探偵が2インチのスナブノーズ・リボルバーを持っている。チーフっぽかったが……。銃は怖くないものの、指がもげるシーンや、その指の傷口に注射するシーンなどかなりグロいシーンもあるので、苦手な人は要注意。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。予想通り中高年メイン。たぶんニール・ジョーダンのファンではなかろうかと。男女比は半々くらい。最終的には73席の95%くらいが埋まった。着いた時点で残席わずかの黄色表示になっていたが、キャパの少ない小さいスクリーンだからなあ。

 シネマ・チャンネルのあと半暗になって、CM・予告からマナー、暗くなって映写機のマスクが左右に広がって、まぶしい足元注意(黒バックにして!)から、映画泥棒で、本編へ。


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