2019年11月16日(土)「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」

氷峰暴 WINGS OVER EVEREST・2019・中/日(IMDbでは中のみ)・1時間50分

日本語字幕:丸ゴシック体下、半田典子/シネスコ・サイズ(表記なし)/ドルビーATMOS

(日PG12指定)(日本語吹替版もあり。クレジットでは3Dと4Dも)

監督・脚本・製作総指揮:ユー・フェイ
製作総指揮:テレンス・チャン
音楽:川井憲次
撮影:ライ・イウファイ
出演:チャン・ジンチュー、
   役所広司、
   リン・ボーホン、
   ノア・ダンビー、ほか

公式サイト
http://over-everest.asmik-ace.co.jp
(全国の劇場リストもあり)

ヒマラヤの民間救助隊「チーム・ウィングス」の隊長、ジアン・ユエシュン(役所広司)は、救助活動の際、命令を無視して危険な行動をとった女性新人隊員のシャオタイズ(チャン・ジンチュー)をクビにする。ところが、その後、シャオタイズが自らが経営するバーの壁を登るボルダリングで、自分の亡くなった娘のスピード記録を破っていたことを知り、呼び戻す。そんな時、インド政府情報部のエージェントが現れ、エベレストのデス・ゾーンと呼ばれる標高8,700m付近に国際問題につながりかねない機密書類を積んだインド政府の航空機が墜落、回収するためガイドをして欲しいと、高額なギャラを提示する。


72点

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 感動的な話で面白かった。字幕版で見たものの、ほとんどが中国語の吹き替えで、中国の伝統にのっとって、中国人俳優でも声優に吹き替えられているのでいかにも芝居的な違和感があり、日本人俳優やカナダ人俳優は英語でセリフを言っているようで、中国語と口があわない。だったら、日本語吹替で見た方がまだ良かったか…… 後半になって、どうにか慣れて映画を楽しめるようになったが……。

 また中国的な演出だと思うが、ちょっと歌舞伎にも通じる中国的見栄なのか、アップが長すぎるカットが多く、芝居がかっている感じが伝わって来て、吹替も重なり、なかなか感情移入しにくかった。

 日本のメイン・ビジュアルでは中央に役所広司が大きくいて、左に若い台湾俳優、右に中国人女優が配されているが、映画のメインは中国人女優のチャン・ジンチュー。ほかはほぼ盛り上げ役の小さな脇役という印象。

 どの程度実際の山でロケしているのかわからないが、あまり臨場感はなかった。CGはリアルで素晴らしいものの、どんな状況でも顔が良くわかるようにゴーグルを外しているし、フェイス・ガードもしていない。酸素マスクもなし。8,700mくらいのデス・ゾーンって、こんな感じなのだろうか。シロート的には何か違うような感じも。ただ、公式サイトによると、この映画の監督は実際にモンブランとかエベレストに登っているらしい。

 印象としてはシルヴェスター・スタローンの「クリフハンガー」(Cliffhanger・1993・米/伊/仏)とか、たしかスティーヴン・セガールの「沈黙の断崖」(Fire Down Below・1997・米)も陰謀の部分では似たようなシチュエーションではなかったかと。さらに言えば「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」(Big Game・2014・英/フィンランド/独)的でもあったかなと。そして、山に残されたものはマクガフィンで、なんでもいいのだ。ドラマを盛り上げるための道具。

 銃は、悪党どもが191オートのシルバーとM4カービンを使う。しかし、M4のフルオート射撃の排莢口のアップはプロップのようで、飛び出すカートリッジが機械仕掛けぽかった。そして、雪面にどんどん落ちるカートリッジは銅色で、形もAK47の7.62×39mm弾のようだった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は30分前くらいに劇場がオープンし、20分前くらいにスクリーンがオープン。中高年メインというか、ほぼ高齢者。最初7人いて、6人が高で、1人が中。女性は2人。最終的には86席に30人くらいの入り。女性は4〜5人。中年くらいも4人。ほぼジジイ。朝一だったので少なかったのか、微妙。

 シネマ・チャンネルから、半暗になってCM・予告、暗くなって、映写機のマスクが左右に広がって、まぶしい足元注意から映画泥棒で、本編へ。

 エンド・クレジットの歌が哀しく、心に染みた。「たとえ終わるとわかっていても、私は行く。あなたのために私は行く。愛のために、立ち上がって行く……」というような感じ。これがラストに流れるとジーンとくる。


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