2019年11月17日(日)「ベル・カント とらわれのアリア」

BEL CANTO・2017・米・1時間41分(IMDbでは100分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/音響表記なし

(英15指定)

監督:ポール・ワイツ
原作:「ベル・カント」アン・パチェット
脚本:ポール・ワイツ、
   アンソニー・ワイントラーブ
   ビリー・レイ
撮影:トバイアス・デイタム
出演:ジュリアン・ムーア、
   渡辺 謙、
   セバスチャン・コッホ、
   加瀬 亮、
   クリストファー・ランバート、ほか

公式サイト
http://belcanto-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1996年、日本の実業家ホソカワ(渡辺 謙)は、南米某国の副大統領邸で開催されるパーティーに、通訳のワタナベゲン(加瀬 亮)とともに出席する。実はホソカワが大ファンという世界的オペラ歌手ロクサーヌ・ロス(ジュリアン・ムーア)のサロン・コンサートを開催し、ホソカワの会社の工場を誘致しようという狙いだった。そしてロクサーヌが歌い出すと、武装したテロリストの一団が侵入、副大統領邸を占拠して立てこもる。


74点

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 1996年、ペルーで起きた日本大使公邸占拠事件に着想を得て書かれた小説の映画化とはいいながら、本編の中でTV映像として流れるのは紛れもない実際のニュース映像で、写っているのはフジモリ大統領。長期の占拠状態が続き、犯人と人質の間にコミュニケーションが生じ、人質が犯人に同情するストックホルム症候群や、逆のリマ症候群が起きるというところも説得力があって良かった。それがラストの衝撃につながる。

 ただ、さすがに世界的なオペラ歌手を女優さんが演じて歌うというのは無理があるかなと。どうしても吹替にならざるを得ず(ルネ・フレングという有名オペラ歌手が担当)、そこに違和感が生まれてしまう。これ避けようがない。吹き替えるオペラ歌手にしても専門は歌で、吹替じゃないのだからどうしても口があわない場面が出てくる。そのせいかIMDbでは5.4点の低評価。

 笑ってしまったのは、渡辺謙が演じるホソカワ社長の通訳が加瀬亮演じるワタナベゲンって!。

 悲しいのは、テロのメンバー。社会科の教師や若者たち。若者は田舎の貧しい素朴な少年少女なのだ。働き手の父や母が逮捕されたら生きて行けない。家族返して欲しいと要求する。そして、教育が行き届いていたら、もっと別のやり方や、生き方があったかも。教育は大事だなあと。「ホテル・ムンバイ」(Hotel Munbai・2018・豪ほか)とはまた違うテロ。テロも色々。

 気になったのは、いままで教えた中で一番優秀と通訳のゲンが評したテロリストの少女カルメンが持っていたAKのセフティ・レバーが、ときどき180度反対側まで回ってしまっていたこと。たぶん実銃では回らないはず。形だけのプロップだったのか。ペイントもハゲハゲだったし。

 銃は、侵入するテロリストたちが、AK、AKS、AKM、ポンプ・ショットガン、1911オートなど雑多。警察や突入部隊はAK74、MP5、ミニUZIなど。ベレッタ92もあったか。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。やはり中高年、それも高齢者が多い。女性は若い傾向。男女比は最初6対4くらいだったが、のちに5.5対4.5くらいに。といっても128席に30人ほどの入り。いくら朝一でも日曜にこれは少ないかも。

 半暗でCも・予告の後、マナーがあってグッチのCM(映画に協力しているのだろうか)、暗くなってまぶしい足元注意、映画泥棒からフルサイズの本編へ。


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