2019年11月30日(土)「THE INFORMER/三秒間の死角」

THE INFORMER・2019・英/米/加(IMDbでは英のみ)・1時間53分

日本語字幕:丸ゴシック体下、種市讓二/シネスコ・サイズ(Panavision、IMDbにデータなし公式サイトではスコープ)/音響表記なし(公式サイトでは5.1ch)

(英15指定)

監督:アンドレア・ディ・ステファノ
原作:アンデシュ・ルースルンド
   『三秒間の死角 上/下』(角川文庫刊)
脚本:マット・クック、
   ローワン・ジョフィ、
   アンドレア・ディ・ステファノ
出演:ジョエル・キナマン、
   ロザムンド・パイク、
   アナ・デ・アルマス、
   クライヴ・オーウェン、
   コモン、ほか

公式サイト
http://informer-movie.jp
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ニューヨークで妻ソフィア(アナ・デ・アルマス)と娘アナ(カルマ・メイヤー)と暮らすFBIの情報屋ピート・コズロー(ジョエル・キナマン)は、組織のボスの命令で、刑務所に戻って刑務所内の麻薬の取引を牛耳れと命じられる。するとFBIはそれに乗じて刑務所内で麻薬取引に関わるもののリストを手に入れれば、自由にしてやると言ってくる。ピートは最後の仕事と、刑務所に戻る決心をするが……。


74点

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 暴力満載。怖い映画。日本では本当にこれで誰でも見られるG指定でいいの? まあ子供は見に来ていなかったけど。喉を切り裂いたり、耳?にピックを突き刺したり、血まみれ。

 中でも、アメリカへ進出したポーランド・マフィアというのが恐ろしい。全身に刺青を入れ、ほとんど映画で見るロシアン・マフィアのような感じ。言葉も似ているし。その迫力たるやゾっとする。アメリカはこんなヤバいことになっているのか。麻薬が入り放題ではないか。暴力も蔓延。こんな環境で暮らしたくない。しかも、輪を掛けて恐ろしいのがFBI。暴力は使わないが、ズルさではマフィアの上を行く。これでは逃げるところが無いではないか。そうそう、刑務所の看守も怖い。

 それらの暴力はとてもリアルに描かれ、B級アクション的なものではない。主人公がそっちの組織の男でありながらFBIの情報提供者ということで、完全な裏切り者。FBIの命令というか、追い詰められて仕方なく犯罪に加担するわけで、ほとんど潜入捜査官のような状況に追い込まれる。良く出来ているだけに、これば実に居心地が悪い。どんどん窮地に追い込まれ、どうなるかと思っていると「三秒の死角」があるというわけか! うまいなあ。原作も良いのだろうし、演出もうまい。

 ただ、悪党ばかりの映画。メインはポーランド・マフィアで、ストリートにはギャングがうろうろしているし、それを取り締まる側のFBIかそれに輪を掛けて悪い。むしろ力を持っているだけ質が悪い。当然、刑務所は悪党だらけだし、監視する役の看守も、所長も悪党って。だから最初はNYPDも悪いのかと思ったら、かろうじてここだけは希望で、そんなことあるのかなあと。市警よりも連邦警察の方が悪いという……まあ確かに「ブラック・スキャンダル」(Black Mass・2015・米/英)は実話だそうだが。

 ピート・コズローを演じたジョエル・キナマンは「ロボコップ」(RoboCop・2014・米)で主人公を演じていた人。そして、その妻ソフィアを演じたアナ・デ・アルマスは「ブレードランナー 2049」(Blade Runner 2049・2017・米/英ほか)でセクシーなヴァーチャル美女ジョイを演じていた人。

 監督はイタリア生まれで俳優のアンドレア・ディ・ステファノ。見た作品で行くと、ロブ・マーシャルのミュージカル「NINE」(Nine・2009・英/米)に出ているらしい。本作は監督第2作目とか。今後どんな作品をとるかで評価が固まって行きそう。まずは怖くて面白い作品を作って見せたと。

 銃は、NYPDの潜入捜査官が持っていたのは不明リボルバーで、それを撃つマフイアがグロック。ほかに1911オートも。ピートの家族を襲う男はハイパワー、NYPDの刑事はグロック。FBIのHRTはM4、スナイパーはたぶんM700。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前に開場。昭和な劇場なので観賞環境としてはかなり劣るが、上映劇場が少なく、泣く泣く選択。トイレも古くて暗いので、ちょっとガマンして近くのミッドタウン日比谷まで行ったほうが絶対に良い。スクリーンもやや暗め。もっと良い環境で見たかったなあ。

 観客層はほぼ高齢者で、中年層が少し。女性は30〜40人いて2人くらい。最終的には224席に7.5割くらいの入り。

 スクリーンはビスタで開いており、明るくて見えないシネマチャンネルのあと半暗になって予告。マナーからスクリーンのマスクが左右に広がってシネスコ・サイズになると、足元注意(白バックだが反射率があまり高くないためかそれほどまぶしくなかった)、映画泥棒で本編へ。


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