日本語字幕:丸ゴシック体下、川又勝利/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、レンズ、Arri、Panavision、ビスタに上下マスクで上映)/音響表記なし
(米PG-13指定)
監督:ジョナサン・ベイカー、 ジョシュ・ベイカー 原作:短編映画『Bag Man(原題)』 ジョナサン・ベイカー&ジョシュ・ベイカー監督 脚本:ダニエル・ケイシー 出演:マイルズ・トゥルイット、 ジャック・レイナー、 ゾーイ・クラヴィッツ、 ジェームズ・フランコ、 デニス・クエイド、ほか |
学校でケンカして停学処分となったイーライ(マイルズ・トゥルイット)は、里親の父テイラー(デニス・クエイド)から家の仕事を手伝うように命じられる。しかし空いた時間で、小遣い集めのため廃ビルに侵入して銅線を取ってくるとクズ鉄屋に売り始める。そんなとき、刑務所から血のつながらない兄のジミー(ジャック・レイナー)が出所してくる。ところがジミーは刑務所内での用心棒を街のギャングのテイラー(ジェームズ・フランコ)に頼んでいて、その代金6万ドルの借金があった。父は1銭も貸してくれず、困ったジミーはテイラーと共に父の建設会社に忍び込み、金庫の金で支払おうとする。そのころ、イーライは廃ビルで見たこともない未来的なデザインの光線銃を見つけ、家に持ち帰る。
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予告ではもっとSF要素が多そうなアクションという感じだったが、かなりドラマ部分が多い作品。寂れていく街(デトロイト!)での経済的に厳しい生活、血のつながらない里親としての厳格な父との関係、根っからの犯罪者で刑務所から出てきたばかりの兄との関係など、かなり重苦しいテーマ。「ファーナス/訣別の朝」(Out of the Furnac・2013・英/米)的な世界。それとSFアクションを組み合わせたのは面白いのだが、バランスが悪い気がした。ドラマ部分が重すぎて、長すぎ。予告からSFを期待して見に来たのに。IMDbでは5.8点という評価。 ドラマ部分の出来は良いと思う。感情が良く伝わってくる。だから落ち込む。徹底的なダメ人間、カスのような兄。父から金をもらうのが当然だと思っているような男。息子の借金は父が肩代わりしろよといわんばかり。しかも金が入ったら入ったで、ストリップ・バーに行って使いまくり。逃走資金が尽きてしまうだろ! 計画性などゼロ。問題はほぼこの兄1人のせい。同情できない。そこもバランスが悪い気がするが、リアルに描かれているので怖くなってくる。こんな人間がいるんだと。 そのダメ兄をリアルに演じたのはジャック・レイナー。「デトロイト」(Detroit・2017・米)や「ビリーブ 未来への大逆転」(On the Basis of Sex・2018・米)の社会問題を扱った作品に出ているようだが、いまいちだったかも。本作はダメさ加減で印象に残る。逃避行に加わるダンサーを演じたゾーイ・クラヴィッツは、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(X: First Class・2011・米/英)や「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(Fantastic Beasts and Where to Find Them・2016・英/米)などに出ていた人。 銃は、テイラーの一味の1人がSCARらしい銃を持っていて、事務所の金庫を開ける時にテイラーが持っていたのはSIGの1911オートらしい銃。クラブを襲撃する時は、奪ったそのSIG1911オートと、M686の4インチ。テイラーの部下はP226らしい銃ヤ、ミニミ、AKショーティなどを使う。FBIの特殊部隊はM4とポンプ・ショットガンなど。 タイトルのクレジット文字は、最初白の普通の文字で出て、パタパタ変形して異星人風の赤い文字に変わる見せ方。デザインはMPCデザインとあったが、IMDbではライアン・ジェファーソン・ヘイズとなっていた。最近凝ったタイトルは少ない気がするが、良かった。 原題のKINは誰かの名前かと思ったら、普通名詞で、近親者とか血縁とかいう意味の英語だった。なるほどね。納得のタイトルだった。 公開3日目の初回、品川の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。映画の日は混むので用心していたのだが、ここの劇場はファミリー系の客が多いこともあって酷いことにはならなかった。新宿だったら…… 観客層はおやじメインの、若い人少々という感じ。最終的には122席に13〜14人の入り。若い人は3〜4人いたか。なんと女性は0。うむむ。 スクリーンはビスタで開いており、明るくて見えない予告から、マナーのあと半暗になってようやく見えるようになり、予告と映画泥棒で暗くなり、映写機の上下マスクで本編へ。大きくしないのかい! |