2019年12月21日(土)「テッド・バンディ」

EXTREMELY WICKED, SHOCKINGLY EVIL AND VILE・2019・米・1時間49分(IMDbでは110分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、佐藤恵子/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri ALEXA)/音響表記なし

(米R指定、日R15+指定)

監督:ジョー・バーリンジャー
原作:エリザベス・クレプファー
 「The Phantom Prince: My Life with Ted Bundy」
脚本:マイケル・ワーウィー
撮影:ブランドン・トロスト
出演:ザック・エフロン、
   リリー・コリンズ、
   カヤ・スコデラーリオ、
   ジェフリー・ドノヴァン、
   ハーレイ・ジョエル・オスメント、
   ジョン・マルコヴィッチ、ほか

公式サイト
http://www.phantom-film.com/tedbundy/
(全国の劇場リストもあり)

1969年、アメリカ、シアトル。学生街のバーへ女友達と繰り出したシングル・マザーのエリザベス・クレプファー(リリー・コリンズ)は、法学部の学生テッド・バンディ(ザック・エフロン)と出会い、恋に落ちる。ところが1975年、結婚を目前に、テッド・バンディが車に乗っていて信号無視から職質されたとき、車内からロープやスコップなどの不審なものが発見され、近年頻発していた女性誘拐殺人事件の容疑者として逮捕されてしまう。


72点

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 静かに進んでいく極悪犯罪事件の犯人の実話の映画化。犯人は見た目ハンサムながら、ごく普通の男。全く犯罪者には見えない。そしてほぼ殺人シーンはなく、切り裂くことも、血が吹き出ることもない。殴ることさえなく、泣き叫ぶことも、悲鳴さえもない。暴力シーンはせいぜい恋人が男をビンタする1発のみ。なのに、暴力まみれの感じが伝わってくるし、きわめて不快。ただ、一方で、えん罪事件という例もあり、映画ではテッド・バンディが裁判で主張した証拠や事実のみで、対する有罪を証明する証拠や事実などはほぼ示されないから、観客には判断のしようがない。おそらく有罪と思いながらも、ひょっとたら無罪なのかもと。そしてデッド・バンディはどんどん追い込まれていく。善悪を別にしても、1人の人間の破滅の物語。これも不快。

 ただ、最後の裁判でジョン・マルコヴィッチ演じる判事がいった言葉、本作の原題でもある「極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣」という感じはほとんど伝わってこなかった。しかも法科の学生というのはわかったが、IQ160の頭脳の持ち主という感じもせず、むしろずさんで実に愚かな印象というのはどうなんだろう。シリアル・キラーの語源になっているはずが、それも触れられない。とはいえ、エンド・クレジットの実写映像を見ると、映像に残されている分はほぼ実際に言ったとおりのセリフになっていたらしい。うむむ。画質、色調もあえて古くさい感じにしている印象。

 まあ、恋人役のリリー・コリンズがきれい。「白雪姫と鏡の女王」(Mirror Mirror・2012・米/加)のときも最高にきれいだったが、7年たった今でも変わらず魅力的で、超絶きれい。そして昔の女らしい眼鏡女子、キャロルを演じたカヤ・スコデラーリオもイイ感じだった。もちろん美人。今年公開された「クロール-凶暴領域-」(Crawl・2019・米/セルビア/加)のヒロインと同じ人とは思えないほど。あんなに尖っていたのに。

 驚きはほかにも。リリー・コリンズ演じるリズの職場の同僚、中年太りの男ジェリーを演じていたのが、あの「シックス・センス」(The Sixth Sense・1999・米)のハーレイ・ジョエル・オスメント。こんなになっちゃうんだなあ。映画が終わったとき、後ろの席の女性2人が「『シックス・センス』の人だよね」と言っていた。そしてもう1つ、本作の製作総指揮にザック・エフロンがいたこと。なるほど作りたかった映画なんだ。

 銃は、刑務所のガードがポンプ・ショットガン(M870か?)を装備。たぶん腰のホルスターには4インチのリボルバーが入っていたのではないだろうか。

 オープニング・レジットとエンド・クレジットは版ズレしたような文字がピントが合うように白いカチッとした文字になるという、控え目でオシャレなデザイン。エンド・ロールからタイトルのクレジットを見つけてメモしたのだが、字が汚くて読めない。ライティとか何とか。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前にエレベーターが動き出し、開場。観客のメインは中高年だが、意外と若い男女のカップルも多かった。男女比は4対6くらいで女性のほうが多かった感じ。最終的には224席の7.5割くらいが埋まった。

 それにしても、毎回思うがこの劇場は昭和な感じの古い劇場で、席が狭くて、硬くて、背もたれが低くて、前席がじゃまになって、スクリーンも小さくて暗いし…… 観賞環境としては決して良くない。これで同じ料金かよ。

 スクリーンはビスタで開いており、10分前くらいから明るくてよく見えないシネマ・チャンネル。せめて前のスクリーン近くだけでも暗くして欲しいなあ。途中から半暗になって、紙ロペ、予告から、マナーがあって暗くなり、スクリーンのマスクが左右に広がって、まぶしい足元注意、映画泥棒で、本編へ。


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