2020年1月15日(水)「パラサイト 半地下の家族」

PARASITE・2019・韓・2時間12分

日本語字幕:丸ゴシック体下、根本理恵/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri ALEXA65)/ドルビーATMOS
(韓15指定、日PG12指定)

監督・脚本:ポン・ジュノ
脚本:ハン・ジヌォン
撮影:ホン・ギョンピョ
出演:ソン・ガンホ、
   イ・ソンギュン、
   チョ・ヨジョン、
   チェ・ウシク、
   パク・ソダム、ほか

公式サイト
http://www.parasite-mv.jp
(全国の劇場リストもあり)

4浪中のギウ(チェ・ウシク)は、失業中の父ギテク(ソン・ガンホ)、母のチェンスク(チャン・ヘジン)、妹のギジョン(パク・ソダム)とともに、ピザの宅配箱を組み立てる内職をしながら、下町の半地下の家に住んでいた。ある日、友人の大学生ミニョク(パク・ソジュン)が留学することになったので、その間、家庭教師を替わってくれないかと、高台の山の手の豪邸に住むパク・ドンヨク(イ・ソンギュン)家を紹介してもらう。


75点

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 うーむ、やっぱりカンヌ作品(パルムドール受賞)という感じ。エンターテインメントとはちょっと違う。ある程度予想はしていたものの、「ストーリーは話さないで」とかミステリー風の予告、宣伝にやられた。それほど大きなどんでん返しはなく、観客自身が犯罪に加担しているような気分になり、非常に居心地が悪く、不快だった。血まみれで、立ちションに下水……。あまり笑えず、見終わってもスッキリすることはなく、むしろ暗澹たる気持ちに。そして落ち込む。ただIMDbでは8.6点の超高評価。映画としての完成度は高いと思うが、ボクはダメだった。

 とくに初めの30分くらいは特に事件もなく、普通の平凡な小悪党がいるドラマという雰囲気で、進展も遅く退屈。眠くなった。あやうく気を失うところ。ボクは予告などから、とんでもない展開になるのではないかと少し期待していたので、余計にガッカリしたかもしれない。特にポン・ジュノ監督は過去に「グエムル -漢江の怪物-」(The Host・2006・韓)や「スノーピアサー」(Snowpiercer・2013・韓/チェコ)を撮っているので、ひょっとして、乗っ取る方の家族が実は宇宙人だったとか、乗っ取られる方の家族が吸血鬼的なモンスターだったとか、とんでもない展開になるのかと…… まあ、ハリウッドだったらやっていたかもしれないが、これはカンヌ作品だから、それはあり得ないのだった。

 まあ驚くのは、女優たちの素晴らしさ。先住家政婦のムングァンを演じたイ・ジョンウンと、パラサイト一家の母チュンスクを演じたチャン・ヘジンが素晴らしかった。それなりの身だしなみでキチッとしているときと、化粧っけもなく、どこにもいそうな一般的なおばちゃんを演じているときのギャップの大きさ。高低差がありすぎて耳がキーンとするレベル。同一人物とは思えないほど。女って怖いなあ。

 金持ち奥様のヨンギョを演じたチョ・ヨジョンは、濃厚なラブ・シーンを演じ、露出はほとんどしていないのに、体当たり演技で、とてつもなくエロいという驚き。美人なのに、ここまでやる? ただ、ここまでストレートな表現が必要だったかどうかと言うと、疑問ではあるけど。

 公開6日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15〜20分前くらいに開場。平日の朝一、しかも雨にもかかわらず、劇場は混雑。観客層は若い人から中高年まで、土日とほとんど変わらない感じ。男女比は4対6くらいで女性が多かった。やや女性の方が若い人が多い印象。最終的にはこの劇場最大キャパのスクリーン499席に95%くらいの入り。カンヌというより、アカデミー賞ノミネートの影響が大きいとしても、平日とは思えない。一体どういう人たちなんだろう。驚いた。料金が一律1,200円になるTOHOシネマズデイは毎月14日(つまり前日)だしなあ。

 新シネマ・チャンネルから、予告の途中で半暗になり、マナーのあと暗くなって、TCXデモ、まぶしい足元注意(白黒反転してくれるだけで良いのに)、映画泥棒でフル・サイズのシネスコ・サイズ本編へ。

 それにしても、予告の段階からおそらく4Dスクリーンの振動が伝わってきて、不快だった。どうにかしてほしいなあ。


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