2020年1月18日(土)「ジョジョ・ラビット」

JOJO RABBIT・2019・チェコ/ニュージーランド/米・1時間48分

日本語字幕:丸ゴシック体下、牧野琴子/ビスタ・サイズ(IMDbでは1.85、デジタル、Arri ALEXA Mini)/表記なし(IMDbではドルビー・デジタル)
(ニュージーランドM指定、米PG-13指定)

監督・脚本・アドルフ:タイカ・ワイティティ
原作:「Caging Skies」クリスティン・ルーネンズ
撮影:ミハイ・マライメア・Jr
出演:ローマン・グリフィン・デイビス、
   スカーレット・ヨハンソン、
   トーマシン・マッケンジー、
   サム・ロックウェル、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/jojorabbit/
(全国の劇場リストもあり)

第二次世界大戦末期のドイツ。母のロージー(スカーレット・ヨハンソン)と2人で暮らす、筋金入りヒトラー崇拝者10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、青少年の兵士を育成するヒトラーユーゲントのキャンプに参加する。しかし度胸試しでウサギを殺せと言われて、できずに逃がしてしまい、ジョジョ・ラビットと呼ばれることに。さらに手榴弾を投げる訓練でやる気が空回り、自分の近くで爆発させてしまい負傷。リハビリも兼ね皆とは別メニューで、ポスター貼りやチラシ配りの仕事をすることになる。そんなある日、亡くなった姉の部屋で偶然に隠し扉を見つけ、隠れていたユダヤ人の少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)を見つける。


83点

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 感動した。コメディで、ラブ・ロマンス的で、ジュブナイル的で、成長の物語。戦争が舞台となっているので、リアルに描けば必然的に悲惨な部分、暴力装置や不条理、死も描かなければならず、ちゃんとそれらも取り込んでいる。そのうえで青春映画のように作られている。悲しいが爽やかで、希望がある。

 原作どおりかわからないが、まず設定が素晴らしい。10歳にして筋金入りヒトラー崇拝者の少年。愛は最強と教える美人で優しくて強い母。戦場で片目の視力を失い教官となった将校。イマジナリー・フレンドのヒトラー。ちょっとドジだけれど友だち思いの友人……などなど。

 スカーレット・ヨハンソンが演じた母のキャラクターも素晴らしいが、特に良いのはサム・ロックウェル演じるキャプテンKことクレンツェンドルフ大尉。軍人だが親衛隊ではなく、ナチス党員でもない。ジョジョを気遣ってくれて、助けてくれる。ドイツが負けることを薄々感づいている。いいなあ。見終わって出て行くとき、大学生くらいの女子2人「あの2人(大尉と副官(下士官の襟章だったが)のフィンケル)は出来てたんじゃないの」と言っていた。気付かなかったが、確かにありかもしれない。

 監督は脚本とイマジナリー・フレンドのヒトラーも演じたタイカ・ワイティティ。ニュージーランド生まれで、ボクは笑えなかったコメディ「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」(What We Do in the Shadows・2014・ニュージーランド)の監督・脚本・製作・主演していた人。そして。これまたボクには残念だった「マイティ・ソー バトルロイヤル」(Thor: Ragnarok・2017・米)の監督も務めている。IMDbでの評価は高く、欧米ではハマるのだろう。本作は初めてボクもハマった。

 銃はドイツ軍のP38、P08、Kar98k、MP40、MP18らしいSMG、MP43か44、MG42、ソ連軍のPPS43らしきSMG、アメリカ軍のBAR、ジープのM2ブローニングなど。軍用車両はドイツ軍のキューベル・ワーゲン、アメリカ軍のM10駆逐戦車、M8装甲車グレイハウンド、ジープなどなど。そしてジョジョの友だちが暴発させるパンツァーファウストも印象に残った。

 公開2日目の初回(といっても12時スタート)、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は次いだ時点で赤色表示の満席(といっても122席)。15分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広く、男女比は半々くらい。最初は空席が多かったが、ギリギリに人が入ってきて、最終的には122席の99%くらいが埋まった。

 シネマ・チャンネルから半暗になって、CM・予告の後、マナーから暗くなって、まぶしい足元注意、映画泥棒と続き、映写機のマスクが左右に広がって本編へ。


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