監督・脚本・製作:ライアン・ジョンソン 撮影:スティーヴ・イェドリン 編集:ボブ・ダクセイ 出演:アナ・デ・アルマス、 ダニエル・クレイグ、 ドン・ジョンソン、 トニ・コレット、 マイケル・シャノン、 クリストファー・プラマー、ほか |
ニューヨーク郊外の邸宅で、人気ミステリー作家で富豪のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が首をナイフで切って死亡した状態で発見される。1週間後、警察の要請で家族全員と使用人が邸宅に集められる。調書を作るための証言が欲しいという。やってきたのは2人の刑事と、依頼人不明という紳士探偵として有名な私立探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)だった。
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面白かった。素晴らしいミステリー。巨匠で大富豪が死んで、彼に寄生していた害虫のような子供や孫たちの本性があらわにされるという、絵に描いたような探偵もの。見下されている使用人とか、ミステリー小説の巨匠という大富豪が集めたものがたくさんあり、隠し窓まである豪邸とか、舞台設定もミステリー感満載。何時にどこを出たとか、誰が恨みをいだいていたとか、みんなに動機があって、ミステリーそのもの。古くさいVHSビデオを使った監視カメラも良かった。 登場人物の個性が立っていて、これも面白い。いろいろドラマがあって、それがぶつかり合う。しかもそれを名優たちが演じている。気になったのは、紳士探偵という設定のフランスっぽい名前のブノワ・ブランという人物が、見た目は紳士っぽい(イギリス人のダニエル・クレイグが演じている)のに、物腰がおやじっぽかったこと。劇中では「南部なまり」とか罵倒されていたから、そのせいだったのかも。アメリカの紳士の定義はちょっと違うのかもしれない。それと、字幕や公式サイトではブランとなっているが、セリフでは「ブランク」と聞こえていたが……。 中盤で犯人が明かされてしまうが、そこからが面白いところ。手の内を明かして、それを覆してみせる。うまいなあ。探偵はあまり活躍しない。ラストだけ。オブザーバー的存在。推理によって犯人を指摘したり、先回りして事件の発生を回避したりという存在ではない。そのくせ尋問中、意味あり気に突然ピアノの鍵盤を叩いたりする。何か伏線になっているのかと思ったら……おいおい。 看護師のマルタ・カブレラを演じた、リリー・コリンズ似の美女、アナ・デ・アルマスがきれい。話題作「ブレードランナー2049」(Blade Runner 2049・2017・米/英/加)でA.I.のジョイを演じていた人。「THE INFORMER/三秒間の死角」(The Informer・2019・英/米/加)では主人公の妻を演じていた。なんと4月に公開される新作007「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(No Time To Die・2020・英/米)にも出ているんだとか。今後もどんどん活躍しそうだ。 これ、副題の「名探偵と刃の館の秘密」いる? かえって安っぽくしている感じが……。 銃は、2人の刑事がウエスト・バンドにS&WのM&Pを挿している。 本作も「AI崩壊」(2020・日)のように原作なしの、映画オリジナル・ストーリー。書いたのは監督で、Pでもあるブライアン・ジョンソン。あのSF「LOOPER/ルーパー」(Looper・2012・米)や、つなぎの「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(Star Wars: The Last Jedi・2017・米)の脚本と監督をした人。うむむ。 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。アカデミー賞ノミネート効果でか、観客層は若い人から中高年まで幅広かった。男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多い感じ。最終的には407席の95%くらいが埋まった。すごいなあ。10席×2列のプレミアム席も2〜3席を残して埋まった。 シネマ・チャンネルから半暗になり、CM・予告、マナーから暗くなって、足元注意の、映画泥棒と続き、映写機の左右マスクで本編へ。 |