監督・脚本:入江悠 撮影:阿藤正一 出演:大沢たかお、賀来賢人、 広瀬アリス、岩田剛典、 高嶋政宏(高ははしごたか)、 芦名星、玉城ティナ、ほか |
2030年、医療用AIから発展し、人々の生活の中に溶け込んだAI『のぞみ』の設計者で、シングル・ファーザーの桐生浩介(きりゅうこうすけ、大沢たかお)はその功績が認められ、総理大臣賞を受賞することになり、一人娘の心(こころ、田牧そら)を連れて移住先のシンガポールから帰国する。ところが授賞式当日、『のぞみ』が暴走を始め、外部からのアタックを受けたとしてシステムをロック、日本中の『のぞみ』を利用していたシステムが停止しパニックが起こる。
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面白かった。ちょっと「ゴールデンスランバー」(2009・日)的な雰囲気も。警察から追われながら、逃走(冒険)を続け、最後には逆転、真犯人を明らかにする。追っ手はAIで、ネットワークから監視カメラや車載カメラ、携帯やPC、パッドなどを乗っ取って情報を入手し、超小型ドローンも使いどこまでも追っていく。そして立ち回りそうな行く先を高い確率で予想する。しかし、思いがけない助けの手があり、AIの裏をかいて逃げていく。そのスリルと痛快さ。ラストの舞台も仙台だし。 AIの描写はリアルで、実際にありそうに見えた。東京大学、公立はこだて未来大学、筑波大学の3人の専門家が監修として加わっている。そして、それを使った追跡はTVドラマの「パーソン・オブ・インタレスト」(Person of Interest・2011-2016・米)とか、映画の「エネミー・オブ・アメリカ」(Enemy of the State・1998・米)など、アメリカのTVや映画で描かれているものととてもよく似ていた。 1つ気になったのは、廃棄された施設に、機材が残っていて、データを引き出せたというのは、あまりリアルじゃないかなあと。引っ越すときに最初に持って行くか処分されるものだろうし、万が一残っていたら最初に盗まれるものだろう。残っているとしたら、せいぜい配線くらいではないかと。いや配線も高く売れるからなあ……。 キャラクターもそれぞれよくハマっていた気がするが、特に賀来賢人が良かったような。爽やかな印象で、社長でも通る雰囲気が見事。一方、デイリー・キャストだったかの記者は、まるで犯人かと思うような悪党の感じがにじみ出ていてすごかった。存在感がありすぎて真犯人かと思ったほど。とてもイヤーな役が見事。残念ながら役者名は不明。そんな中、ベテランの三浦友和が演じた定年直前の刑事だけが、何だか作り物っぽく、存在感がなかった。広瀬アリス演じる相棒の女刑事は良かったのに。 画質というか色調は全体に色が浅めで、日本映画らしいというか、TV的というか。室内はだいたいライトが当たっているからかしっかりしていた気がするが、色調が、回想シーンでもないのに黄色がかっていたり、り、統一感もなかった感じ。もったいないなあ。 監督・脚本は入江悠。監督のみだが、あの残念なスパイ映画「ジョーカー・ゲーム」(2014・日)を監督した人。一方でリーズ化された「SRサイタマノラッパー」(2008・日)など、脚本まで手掛けた作品は評判が良いよう。本作の前に脚本も手掛けた恐ろしい映画「ギャングース」(2018・日)を監督している。本作では1年ほど掛けてあちこち取材をし、人工知能学会にも入会したという。 銃は、CITEという特殊部隊がM4を装備。ガン・エフェクトはビッグショット。 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前にビルが開き、11〜12分前に開場。トイレに行って、チラシなんか見ていたらすぐ。若い人が多いかと思ったら、意外と中高年がほとんど。女性は1/3ほど。朝早かったからか、最終的には580席に1割強ほどの入り。これは厳しいか……。 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、CM・予告の途中で半暗に。映画泥棒のあとドルビー・シネマの広告、さらにCM・予告が続いて、映写機のマスクが左右に広がり、暗くなって、マナーから本編へ。良い流れ。本編直前の映画泥棒はシラケルからなあ。 |