2020年2月16日(日)「1917 命をかけた伝令」

1917・2019・米/英/印/西/加・1時間59分

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(ドルビーVISION、IMAX、IMDbではデジタル、2.39、Arri ALEXA、4.5K)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタルも)
(米R指定、英15指定)(IMAX版もあり)

監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス、
   クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
撮影:ロジャー・ディーキンス
出演:ジョージ・マッケイ、
   ディーン=チャールズ・チャップマン、
   コリン・ファース、
   マーク・ストロング、
   ベネディクト・カンバーバッチ、ほか

公式サイト
https://1917-movie.jp
(情報少。全国の劇場リストもあり)

1917年4月6日、第一次世界大戦、イギリス軍の前線。ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は相棒を1人選んで司令部に行くよう命じられる。そこで友人のスコーフィールド(ジョージ・マッケイ)とともに出頭すると、明日予定している第2大隊の突撃はドイツ軍の罠で、中止しないと全滅することになるという。しかし電線がドイツ軍によって切断され、連絡がとれないため、2人で第2大隊の司令官マッケンジー大佐に攻撃中止命令書を届けろというものだった。


82点

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 キッチリ作られた戦争映画。じわじわと後まで続く深い感動というか感慨。なぜ人間は戦争なんかするんだろうと。1人1人は良い人なのに、なぜ集団で殺し合いをする? そんな疑問を持たせる作品。カメラが主人公の側でずっと一緒にいるので、観客はまるで一緒に行動しているような気になる。そして映画まるごと1カットで構成されているため、時間の流れがほぼリアル・タイムで(途中ちょっと気を失うが)、より臨場感というか、ハラハラ度具合が半端ない。主人公たちが味わったであろう緊張感と恐怖の何十分の一か何百分の一を感じる。

 映画的にはロード・ムービーのように、道中いろんなことが起こる。予想外のことが起こり、簡単にすむはずがそうはいかなくなる。たぶんこの1つのミッションで主人公は大きく成長する。観客も共に旅をし、そんな気になる。

 映画の中で「3年かかって何をしたんだ」というような一兵士のセリフがある。背景には砲弾が爆発したあとのクレーターと燃え残った炭と化した木、そしてがれきと化した遺跡のような町並み…… 生物の気配が感じられない。冒頭、美しい草原と、小さな黄色い花が写っていたのに。そのギャップ。

 兵士のラスト・ウィッシュ、「母さんに手紙を書いて。僕は恐れなかったと」悲しすぎる。

 字幕では伝令となった2人は上等兵となっていたが、Lance Corporalというのはアメリカでは上等兵だが、イギリスでは伍長代理らしい。文字数の制限で短い方にしたのかも。

 1カットにするため、いろんなものがカメラ前をシャッターするようになっている。たぶんそれを利用してデジタル技術でスムーズにつないでいるのだろう。非常にうまい。そして目線の高さばかりでなく、俯瞰になったり、前から捉えたり、付いていったりと変化に富んでいる。さらには、被写体と一緒に平行移動して建物の中に入ってしまったり、一体どうやって撮っているんだろうと。激流に流されるところなんかカメラも一緒だ。どうやったんだ? これはDVDかBDにメイキングが付くんだろうか。デジタルしか考えられないが、そうでなかったらもっとスゴイことになりそう。

 監督は脚本もてがけたサム・メンデス。古くは「アメリカン・ビューティ」(American Beauty・1999・米)を手掛けており、その後2本の007映画「007スカイフォール」(Skyfall・2012・英/米)と「007スペクター」(Spectre・2015・英/米ほか)も手掛けている。

 主演のジョージ・マッケイは、あの切ない傑作ホラー「マロボーン家の掟」(Marrowbone・2017・西)で一家の長男を演じていた人。急に大人になっちゃったなあ。

 銃は、第一次世界大戦なのでイギリス軍はリー・エンフィールドNo.1 Mk.IIIライフルと、将校はウェブリーMk VIリボルバー、そしてチラリとルイス・マシンガン。ドイツ軍はimfdbによるとモーゼル・ゲベール1898(Gew. 98)とのこと。ちゃんとボルト操作し、クリップを手で棄てるなどしていてリアル。毎回ボルト操作してチャンバー内の1発を無駄にしていた気もするが、戦場では緊張してそんなものなのかもしれない。それに、ヘタに確認するより、ボルト操作した方が確実で早い。

 副題は…… 兵士は誰もが命をかけているんじゃないかなあ。重箱の隅をほじくるようで申し訳ない気するけれど。ラスト、謝辞で監督に話してくれた人の名が上げられていたので、実話に基づくストーリーだったようだ。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。下は父親に連れられた中学生くらいからいて、外国人の親子も見かけた。メインは高齢者という感じだが、やがて若い人もチラホラ。女性は1/5くらいと少なめ。まあ戦争映画だし。最終的には最大キャパの499席の4.5割くらいが埋まった。後ろのボックス席はわからなかったが、真ん中の9席×2列のプレミアム席は12席くらいが埋まった。すごいなあ。

 10分ほど前から曲が流れ、2〜3分してシネマ・チャンネル。半暗になってCM・予告と続いて、マナーのあと暗くなり、TCXデモ、ドルビーATMOSデモと続き、まぶしい足元注意から映画泥棒で、本編へ。

 本編が始まって間もなくしたら、4Dスクリーンのものと思われる振動が伝わってきた。最初は戦場の爆発の効果とも思ったが、違った。地震を思い出して不快。どうにかして欲しい。

 そうそう、トイレのウォシュレット故障が増えてきて、何週間経ってもそのままって、どうしたんだろう。直して!


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