2020年2月29日(土)「野性の呼び声」

THE CALL OF THE WILD・2019・米・1時間39分(IMDbでは1時間40分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、西田有里/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、ドルビーVISION。IMDbでは2.39、 Arri ALEXA 65)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー・サラウンド7.1、dts:X、Auro 11.1も)
(米PG指定)

監督:クリス・サンダース
原作:ジャック・ロンドン『野性の呼び声』
脚本:マイケル・グリーン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
出演:ハリソン・フォード、
   オマール・シー、
   カレン・ギラン、
   ダン・スティーヴンス、ほか

公式サイト
https://www.disney.co.jp/movie/yasei.html
(全国の劇場リストもあり)

アメリカ。金が発見され、人々が北を目指していた19世紀末、カリフォルニア州サンタクララでミラー判事(ブラッドリー・ウィットフォード)のペットとして、裕福な家庭で甘やかされて育てられた雑種犬のバックは、大きく体格が良かったことから、さらわれてゴールドラッシュに沸くカナダのユーコン準州へ、ソリ犬として売られてしまう。そして郵便配達人のペロー(オマール・シー)に買い取られると、新入りとしてソリを引く犬の列の最後尾に付けられる。


72点

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 全体には良くできた物語で、まあ、それは原作があるから当たり前か。ただ、主人公となる犬のバックがどうにもCGにしか見えなかったのが残念。ほかの動物キャラも3D-CGのはずだが、主人公ほど情緒的な演技が要求されておらず、だから自然で動物的。とてもリアル。しかし主人公は擬人化が過ぎてマンガ的。トゥー・マッチ。いつしゃべり出すのかと心配したが、さすがにそれはなかった。

 おそらく、映画の出来不出来は主人公の犬、バックにかかっており、それに成功を収めることができなかったという印象。アニメだったらこれでも気にならなかったのだろうが、実写映画においては少しの違和感でも気になってしまう。

 原作は1903年に発表されたというジャック・ロンドンの小説。アメリカの古典文学ということになるらしい。公式サイトによれば、1923年から何度か映画化、TVドラマ化され、なんと日本でもアニメ化されているという。同じ作者の作品『ホワイト・ファング』も映画化されていて、イーサン・ホークの主演で「ホワイトファング」(White Fang・1991・米)が撮られている。舞台はアラスカで、ゴールド・ラッシュで、虐待から救われた狼と犬の混血種と人間の友情……って、同じじゃないか。

 脚本は、TVから残念なSF「グリーン・ランタン」(Green Lantern・2011・米)で映画へ進出したマイケル・グリーン。TV時代からもSF系の多い人で、「LOGAN/ローガン」(Logan・2017・米)や「ブレードランナー2049」(Blade Runner 2049・2017・米/英ほか)を書いている。ただ、ほとんどはSF系だが、ケネス・ブラナーの「オリエント急行殺人事件」(Murder on the Orient Express・2017・マルタ/米)も書いているので、そこから本作へつながったか。と、思ったら製作総指揮の1人がマイケル・グリーンだった。

 監督はクリス・サンダース。「リロ&スティッチ」(Lilo & Stitch・2002・米)や「ヒックとドラゴン」(How to Train Your Dragon・2010・米)の監督・脚本を手がけた人だ。なるほど、犬のバックのキャラ付けの原因がわかった気がする。しかも人間と何とかのコンビもので、本作も人間と犬だったと。

 気になった出演者は、郵便配達のフランス人女性フランソワーズを演じたキャラ・ジー。ちょっとアジア的な雰囲気がある人で。これまではTVや短編が多かった模様。これがきっかけで映画でもメジャーになったら、ちょっと注目かも。

 あと女子で、バックを虐待する都会者3人組の紅一点、マーセデスを演じたのが「ジュマンジ/ネクスト・レベル」(Jumanji: The Next Level・2019・米)のマーサを演じたヘソ出し美女のカレン・ギラン。ちょっとした役だが美人で目立っていた。

 銃は、バックを虐待する都会者の1人、「美女と野獣」(Beauty and the Beast・2017・米)で野獣を演じたダン・スティーヴンスが持っていたSAAの5-1/2インチ・シルバーと、ウィンチェスターM92。ハリソン・フォードが使うのはウィンチェスターのM73。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分ほど前に開場。ビルのオープンが30分前だったので、トイレに行ったりしているとすぐの開場。ポップコーンなどを買うのは、ちょっと厳しいものが。観客層はほぼ中高年で、若い人はわずか。男女比は、最初10人ほどいたうち女性は2人という感じ。概して女性は若い傾向。最終的には200席に2.5〜3割ほどの入り。8席あったプレミアム席は3席ほどが埋まった。この入りは、新型コロナの影響なのか、人気が低いのか。

 10分前くらいから曲が流れ、7〜8分前からシネマ・チャンネル。半暗になってCM・予告が続き、英語のマナーから暗くなって、間を置いていよいよかと思ったらまぶしい足元注意、映画泥棒があって、ようやく本編へ。

 20世紀フォックスのロゴが、FOXがなくなって20th CENTURY STUDIOSになっていたけど、組織が変わったのか。日本の公式サイトを見てみたら…… アドレスにはfoxが入っているものの、ロゴはやっぱりFOXがない。うむむ、気になる。


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