監督:ルパート・グールド 原作:ピーター・クィルター 『End of the Rainbow』(戯曲) 脚本:トム・エッジ 撮影:オーレ・ブラット・バークランド 出演:レネー・ゼルウィガー、 ロザリン・ワイルダー、 フィン・ウィットロック、 ルーファス・シーウェル、 マケル・ガンボン、ほか |
1968年、アメリカ。ピークを過ぎたミュージカル女優のジュディ・ガーランド(レネー・ゼルウィガー)は住む家さえままならず、シングル・マザーで、まだ幼い娘と息子とも引き離されそうな状況。そこで、単身イギリスへ渡り、ナイト・クラブでショーをやり、立て直しを図ることにする。
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わずか47歳で逝ったジュディ・ガーランドの実話。切なく、悲しい、感動の物語。おそらく、映画スターとして映画スタジオに育てられ、どこかが壊れてしまっていたんだろうと。後半の人生での不幸な出来事の多くは彼女自身が原因になっていたような印象。それがわざとらしくなく描かれている。寓話的でなく、教訓的でもなく、ありそうなお話(もしくは実際どおり)。とてもリアル。「虹の彼方に」を最後の最後に歌うところは感動的で、泣きそうになった。 ただ、お話の構成としてはローレル&ハーディを描いた「僕たちのラストステージ」(Stan & Ollie・2018・英/加/米)とほとんど同じ。落ち目になってから、ロンドンへ行き糊口を凌ぐという展開。それで失敗し、再起もできず終わってしまう物語。実話がそうなのだから、どうしようもない。でも娘のライザ・ミネリは大スターになっていて、いろいろトラブルもあったが、母の年を越え活躍していると。 子役の問題は、日本でもあり、特にハリウッドと子役の関係はダメになってしまうことが多い。まあ大人の俳優でも、薬漬け、アルコール漬け、セックス中毒などになったり、暴力沙汰を起こしたり、問題を起こすことは多いが……。ちょっと前なら「ホーム・アローン」(Home Alone・1990・米)のマコーレー・カルキンとか、「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgment Day・1991・米)のエドワード・ファーロングとか、1作で消えた「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(Star Wars: Episode I - The Phantom Menace・1999・米)のジェイク・ロイドとか、外見が激変した「シックス・センス」(The Sixth Sense・1999・米)のハーレー・ジョエル・オスメントとか。女子でもいろいろあった。もちろん大丈夫だった人もいて、「タクシードライバー」(Taxi Driver・1976・米)のジュディ・フォスターはのちに監督としても活躍しているし。ただ、成功例は少ない。 あと、時代を反映して、タバコがよく出てきていた。いまなら考えられない感じ。 とにかく素晴らしいのはレネー・ゼルウィガー。「ブリジット・ジョーンズの日記」(Bridget Jones's Diary・2001・英/仏/米)のイメージどころか、これまでの作品の彼女のイメージはどこにもない感じ。まるで別人。壊れてしまった大女優にしか見えなかった。劇中の歌は実際に彼女が歌っているものらしい。スゴイ! そして、彼女が着ていたドレスも素晴らしかった。艶やかで、ユニークで見事。デザインは「ハリー・ポッター」シリーズのジェイニー・ティーマイムという人。 監督のルパート・グールドは、もともと舞台の演出家で、ジェームズ・フランコが出た「トゥルー・ストーリー」(True Story・2015・米)という作品で劇場映画の監督デビューを果たしたそう。 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は22〜23分前に開場。かつては独立の劇場だったのが、大きなシネコンの別館となり、久しぶりに行ったらベストの位置を忘れていて、イマイチの場所を取ってしまった。ただ新型コロナの影響で観客数はそれほど多くなく、ストレスはあまりなかった。観客層は中高年がメインで、それも高寄り。ジュディ・ガーランドを知っている世代ということか。ただ意外というか、だいたい映画の傾向として、女性は全体的に若い。最終的には489席に5割くらいの入り。男女比はだいたい半々くらい。外国人夫婦らしい1組も。 スクリーンはシネスコで開いており、シネマ・チャンネルから半暗になって、CM・予告のあと、マナーから暗くなってまぶしい足元注意、直前のしらける映画泥棒で、フル・サイズの本編へ。 |