2020年3月21日(土)「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」

BIRDS OF PREY: AND THE FANTABULOUS EMANCIPATION OF ONE HARLEY QUINN)・2019・米・1時間49分

日本語字幕:手描き風書体下、アンゼたかし/シネスコ・サイズ(IMAX、IMDbでは2.39、Arri ALEXA、ドルビーVision)/ドルビー(IMDbではドルビーATMOS)
(米R指定、日PG12指定)(日本語吹替版、IMAX版、4D上映もあり)

監督:キャシー・ヤン
脚本:クリスティーナ・ホドソン
撮影:マシュー・リバティーク
出演:マーゴット・ロビー、
   ロージー・ペレス、
   ジャーニー・スモレット=ベル、
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド、
   ユアン・マクレガー、ほか

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/harleyquinn-movie/
(全国の劇場リストもあり)

ジョーカーと別れたハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)は、ジョーカーのおかげで持っていた特権をすべて失い、恨みを持っていた悪党たちから狙われる存在となる。そんな中ハーレイは、同じく恨みを持つゴッサム・シティのボスの1人、ブラック・マスクことローマン・シオニス(ユアン・マクレガー)に捕まってしまう。しかし彼のダイヤモンドがすられたことを知り、取り返してやると申し出る。


73点

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 うむむ…… アンチヒーローというか、裏DCコミック版的な、悪党の物語。ほぼ全員悪党に近い存在。悪が巨悪に立ち向かう。それでいてピカレスク的な爽快さは感じられなかった。むしろ主人公たちの悪さ加減に胸くそ悪くなる感じ。同情も感情移入もできない。しかもわざと時間軸を切り刻んでいて、ナレーターでもある主人公の気まぐれ、気分次第で話すので、順番がめちゃくちゃ。これがガールズ・トークというやつか。とにかくわかりやすい話が、かなりわかりにくくなっている。

 ただ、ド派手な衣装やメイクはとても印象的で、実に映画っぽい。アクションも過激なのにバレエのようにスムーズで、スローモーションも取り入れ、アクロバティックで、実にカッコイイ。素晴らしいアクション。男性監督も見習って欲しいほどの力強い演出。それでいてキレイ。紙吹雪が舞うところなんかユニークで見事。

 とにかく良いのは主人公のハーレイ・クインを演じるマーゴット・ロビーだけ。彼女をカッコよくというか、際立たせるためだけに作られたような映画という印象さえ漂う。そして実際、マーゴット・ロビーは実によくやっているようだ。スタントもかなりの部分を自分でやっているのではないだろうか。格闘シーンなど、まるでパズルのようで、よく長いアクションの手順を覚えたなあと。しかもそれで演技しているわけだし。なかなか出来ることではない。

 つまり見所はマーゴット・ロビーとアクションのみ、というところか。プロデューサーの1人がマーゴット・ロビーだし。ひょっとしたら「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)とか「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(Scott Pilgrim vs. the World・2010・英/米ほか)を狙ったのかなあ……メアリー・エリザベス・ウィンステッドも出てるし。雰囲気は似ているかも。

 監督は中国生まれというキャシー・ヤン。プリンストン大学とニューヨーク大学で学んだ才女らしい。ここでもチャイナ・パワーか。劇場長編デビュー作は、脚本も書いたDead Pigs(2018・中/米)で、IMDbでは220人しか投票していないが、これがサンダンス映画祭で高く評価され、本作につながったらしい。この男性顔負けの過激さは彼女らしさなのかもしれない。

 英語のサブ・タイトルは猛禽類という意味らしい。内容をよく表している。それも壊れた猛禽類。一方、日本語のサブ・タイトル華麗なる覚醒は絵柄だけを指しているようで、いまひとつピンとこない。

 銃は、ロージー・ペレス演じる女刑事(着ているTシャツがオゲレツ)がコンパクト・グロック(G19?)と、バックアップにS&WのM49ボディガード。マフィアはMP5K。ハーレイ・クインは40mmのM79グレネード・ランチャー。ほかにG36Cらしいサブマシンガン、SG551、IWIのジェリコっぽいシルバー・フレームのオート(CZ?)、なども使われていた。

 ファイト・コーディネーターはTVのスタントマンから映画に進出し、ファイト・コーディネーターやコレオグラファーになったジョン・ヴァレラ。「ジョン・ウィック」(John Wick・2014・米)シリーズや「アトミック・ブロンド」(Atomic Blonde・2017・独/スウェーデンほか)などを手がけたセンスある人。

 アバンのハーレイの身の上を語る部分はアニメ。またエンド・ロールもアニメ。ラスト近くになって、4Dスクリーンのものとおぼしき振動が伝わってきて、不快だった。最初は地震かと、ドキッとした。どうにかしてほしいなあ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は14〜15分前に開場。観客層は最初、高齢者男性が多く、最初10人くらいいて女性は2人。女性の方が若い印象。その後、若い人や中年層も増えたが、メインはジジ。中年くらいの外国人カップルも。最終的には9席×2列のプレミアム席に3人くらい、499席の3割くらいが埋まった。まあ新型コロナ騒動の中、良い方ではないか。

 シネマ・チャンネルのあと半暗になって、CM・予告と続き、マナーから暗くなり、TCXのデモ、まぶしい足元注意、ここかよの映画泥棒から、フル・サイズで本編へ。


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