2020年7月12日(日)「透明人間」

THE INVISIBLE MAN・2020・加/豪/米・2時間06分(allcinemaでは125分、IMDbでは124分)

日本語字幕:手描き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(ドルビーVISION、IMAX、IMDbでは2.39、Arri Alexa)/ドルビーATMOS(IMDbでは12トラック・デジタル・サウンド〈IMAX 〉も)
(米R指定、日PG12指定)

監督・脚本・原案:リー・ワネル
撮影:ステファン・ダスキオ
出演:エリザベス・モス、
   オルディス・ホッジ、
   ハリエット・ダイアー、
   マイケル・ドーマン、ほか

公式サイト
https://toumei-ningen.jp
(全国の劇場リストもあり)

DV被害を受けていたセシリア・カシュ(エリザベス・モス)は、大富豪で天才科学者の彼氏、エイドリアン(オリバー・ジャクソン・コーエン)の元を逃れ、妹エミリー(ハリエット・ダイアー)の車で脱出、刑事のジェイムズ(オルディス・ホッジ)の家に隠れ住むことに。やがてエイドリアンが自殺したという知らせが届き、莫大な財産を相続することになるも、セシリアの身の回りで不審な出来事が起こり、セシリアはエイドリアンが生きていると確信する。


70点

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 「透明人間」(The Invisible Man・1933・米)か、ポール・ヴァンホーベン版「インビジブル」(Hollow Man・2000・米/独)のリメイクかと思ったら、どうもオリジナルということになるらしい。これは邦題の付け方がいけないのかも。ミス・リーディング。公開スクリーンも小さいところが多く、コロナのネタ切れでお蔵入りのはずが上映されることになったとか? そんな邪推をしたくなるほど残念な感じだった。予告は面白そうだったのに。ただIMDbでは7.1点の高評価。

 とにかくネガティブ。感じたのは、同じ設定、同じプロットで別の監督がポジティブな撮り方をしたら、面白い作品になったのではないかということ(ありがちなB級的な感じになってしまうかもしれないけど)。なにしろ主人公が後ろ向きだし、地味で暗い。芯は強いのだけれど、闘う姿勢があまり見られず、おばさんっぽくて、体形も男と戦う感じじゃない。犯人の男が、このヒロインに取り憑かれて離したくないと思うような女性に見えない。キャスティングの失敗? 音を脅しに使っているし。

 もちろん展開もネガティブ。途中で、被害者が精神病院に入れられておしまいという最悪のパターンも想像させるし、もしくは自殺で終わる絶望映画かとも思わせる。嫌になって、ため息が出て、見ていたくなくなる。まっ、結果そうではなく、闘う女の話なんだけど……。見たくなくなるのに2時間超えは長いよ! 苦痛。

 せっかく押井守監督的な「光学迷彩」をリアルな実写で描きながら、これかよ、という。予算がなかったのかなあ。 透明人間がペンキを被った後や、雨の中のシーンなどで、なぜすぐ見えなくなる?というところが多々あった。つじつまが合わないというか納得できないというか。……うーん、残念。

 監督、脚本、原案はオーストラリア出身のリー・ワネル。恐ろしいホラーというかスプラッターの「ソウ」(Saw・2004・米)の原案、脚本、出演で注目を浴びた人。そのほかはなあ……。

 銃は、ジェイムズ刑事がS&WのM&Pらしきオート、他の刑事達はフル・サイズのグロックとコンパクトのグロック、特殊部隊はM4カービン。まあ、怖いのは刃物。めった刺しだものなあ。でも死なないと。

 公開3日目の初回、日比谷の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15〜16分前に開場。観客層は意外と若い人から中高年まで幅広く、やや高寄り。ギリギリに若い人も増えた。下は父に連れられた小学生の女の子。うーむ、年少者にお勧めの映画ではないけどなあ。女性は2割ほど。最終的には257席のコロナ座りはほぼ満席。プレミアム席も2席埋まった。これはビックリ。そんなに入る映画かなあ。

 10分前くらいから曲が流れて、シネマ・チャンネル、CM、予告、マナーから映写機のマスクが左右に広がって、フル・サイズになり、暗くなって、まぶしい足元注意の、映画泥棒で本編へ。

 このスクリーンも汚れている感じだったけれど、どうなんだろう。コロナで休館中に清掃すれば良かったのでは。故障していたトイレはすべて直っている模様だけど。


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