2020年7月18日(土)「悪人伝」

THE GANGSTER, THE COP, THE DEVIL(Akinjeon)・2019・韓/米・1時間50分(IMDbでは109分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、李 英愛/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.35、ビスタに上下マスクで上映)/音響表記なし(IMDbではドルビー・デジタル、公式サイトでは5.1ch)
(韓18指定)

監督・脚本:イ・ウォンテ
撮影:パク・セスン
出演:マ・ドンソク、
   キム・ムヨル、
   キム・ソンギュ、ほか

公式サイト
http://klockworx-asia.com/akuninden/
(全国の劇場リストもあり)

2005年8月、韓国。車を追突させ、相手の運転手を降りてこさせて、ナイフで惨殺するという殺人事件が発生する。暴力暴走刑事のチョン・テソク(キム・ムヨル)はサイコパスによる連続無差別殺人と確信し、捜査を始める。そして次のターゲットとして、マッチョ系の凶悪な武闘派ヤクザのボス、チャン・ドンス(マ・ドンソク)が襲われるが、瀕死の重傷を負いながらも犯人に傷を負わせ、かろうじて生き残る。武闘派ヤクザとしてのメンツを潰されたドンスは似顔絵を作ると、手下達に配って探させるも、ほとんど手がかりがない。チョン刑事が唯一の生き残り、目撃者としてドンスを尋問すると、ドンスは情報を共有しないかと持ちかけてくる。


74点

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 暴力、暴力、暴力……暴力であふれた映画。しかし、それなのにちゃんとドラマとしてまとまっていて、ラストまで嫌になることなく引き込まれて見てしまうという、なかなか希有な作品。暴力をお笑いとかアクロバティックなものではなく、暴力として描きながらエンターテインメントにしてしまう力、それが韓国映画なのだろう。国家として推進しているとも言うし、世界的にも高い人気を誇るという。作品も実にバラエティ豊か。素晴らしい。一方、日本は……。

 しかも、これが完全な創作ではなく、実話に基づいているという。ただ役名などは変えられていると、最初に字幕で出る。すごいなあ。実話をエンターテインメントにするチカラ業。たいていは実話で悲惨な事件は、リアルで行くと暗いものになりがち。むむむ。

 構成も見事なら、見せ方も見事で、演技も見事、そのうえ絵にも力があり、きれいで解像度が高く、色の使い方も見事。エンターテインメント向きの画。ハリウッドと変わらない印象。うまい。

 PCのモニターがブラウン管だったり、携帯電話もガラケーだったり、たくさんの人がタバコを吸っていたりと、時代感も良く出ている。まあ、メンツが一番大事なヤクザの世界は暴力まみれ、血まみれで恐ろしく、それを取り締まる警察もヤクザ化して行くという恐ろしさ。どちがヤクザ化わからない。ほんど日本と一緒。良く似ている気がする。

 英語タイトルは「THE GANGSTER, THE COP, THE DEVIL」で、それぞれのクレジット役名もギャング・スター、コップ、デビルになっていた。これって、韓国製ウェスタンの「グッド・バッド・ウィアード」(The Good, the Bad, the Weird ・2008・韓)と関係あるんだろうか。さらにさかのぼってイーストウッド主演のマカロニ・ウェスタン「続・夕陽のガンマン」(Il buono, il brutto, il cattivo・1966・伊)を意識したのだろうか。

ヤクザのボスを演じたのはマ・ドンソク。最近良く出ている気がする。まあスゴイ悪人面。僕が最近見たのは「神と共に 第二章:因と縁」(Along with the Gods: The Last 49 Days・2018・韓)。2020年にはハリウッド作品にも出ているそう。アメリカで育ったそうなので、英語がうまいのだろう。

 刑事のチョン・テソクを演じたのはキム・ムヨル。武井壮似のイケメン。しかもなかなかの肉体派。たぶん初めて見た。

 監督・脚本のイ・ウォンテはむどうもこれが監督デビュー作らしい。韓国はすごい才能がどんどん出てくるなあ。うらやましい。

 銃は、刑事のチョン・テソクが持っている2.5インチくらいのリボルバー。あまりクォリティが良くなかった感じだったので、プロップだったかもしれない。撃たないし。とにかくメインは刃物。

 公開2日目の初回、品川の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は劇場自体のオープンが上映の35分前で、あいにくの雨模様、雨の当たらないところで待つ。上映シアターのオープンは15〜16分前。スクリーンはビスタのフルで開いており、観客層は最初5〜6人いて、男のみで老若半々という感じ。最終的には117席のコロナ座りに10人ちょっとくらい。女性は若めの人が2人。ここはファミリー層が多い劇場なので、こんなものだろう。

 CM・予告のあと、コロナ対策、映画泥棒と続き、暗くなってビスタのフルの映写機の上下マスクで本編へ。


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