ビスタ・サイズ(EOS、フル・サイズに映写機の左右マスクで上映)/音響表記なし
(日PG12指定)
監督・脚本・編集:大林宣彦 脚本:内藤忠司、小中和哉 撮影監督・編集・合成:三本木久城 出演:成海璃子、山崎広紘菜、 常盤貴子、高橋幸宏 小林稔侍、ほか |
2019年、夏。尾道の海辺の映画館が閉館することになり、最終日に「日本の戦争映画大特集」のオールナイト上映が行われることになる。そして当日、満員となった観客の中に、映画少年だった鞠男(まりお、厚木拓郎)、映画マニアの鳳介(ほうすけ、細山田隆人)、お寺の息子にしてチンピラの茂(しげる、細田善彦)、映画館のマドンナ希子(のりこ、吉田玲)もいた。あいにくの雨模様で、雷が鳴り、外が嵐のようになる中、上映が始まる。
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とにかく長い映画。3時間。しかも前半インターミッション(というテロップだけで、実際には上映が続く)が出るまで、というか感覚的には2/3くらいは、堪え難く退屈でナンセンスな低レベルの映像コラージュといった感じ。ラスト1/3くらいが、感動的で、ストーリーもあって、納得できる大林映画。これを待っていたのに、なんでくだらない冗長な2/3を見せられなければいけないのか。 しかし見終わると、前半の「戦争映画とはまったくと言って良いほど関係のない映像コラージュ」が、ラストの感動的戦争映画と巧妙につながっていたことがわかる。その驚きと感動。しかしバランスが悪い! ラストの感動のために、苦痛にも近い前半部分を耐えて見なければならないなんて。修業か、これは。3時間にもなるのなら、本当のインターミッションを入れろよなあ。 特に残念なのが合成。イメージ的で現実離れした合成も、リアルで合成を感じさせてはいけないパートも、ハッキリそれとわかる合成。パースが狂っていたり、観念的で現実離れしていたり……。技術的には昔よりはるかに良くなっているはずなのに、大林監督の初劇場作品「HOUSEハウス」(1977・日)とあまり変わらないレベル。そして合成のないカットを探す方が大変なくらい、合成祭り。低予算でロケもままならなかったのか。 そしておそらくオール・アフレコ。撮るのが早いとか、いろいろメリットはあるのだろうが、口の動きやその瞬間の感情と合っていない感じもして、全然ノレない。というかドン引き。 でも、やぱりこの映画は大林監督の遺言ということになるのだろう。だから心して見なければと思いつつも、メインとなる男3人と紅一点のキャストが地味で、華がないというか……。脇役やカメオ出演のキャストは豪華でうまいんだけど。 大林監督といえば、ボク的には尾道新三部作「ふたり」(1991・日)「あした」(1995・日)、「あの、夏の日~とんでろ じいちゃん~」(1999・日)と、「廃市」(1984・日)、「異人たちとの夏」(1988・日)、あたりが好きだなあと。 銃は、大林監督が銃好きということもあって、しっかりしていたよう。戊辰戦争ではエンフィールド銃かゲベール銃が使われていたようだし、第二次世界大戦の日本軍は三八式歩兵銃に、二十六年式拳銃、十四年式拳銃、九四式拳銃が使われていた。 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は上映30分前のビル・オープンで、開くとすぐにスクリーンも開場。着いた時点で「完売」の赤色表示。最初10人くらいいて、若い人から中高年までいたがメインは中年層。女性は2人。やがて若い人も高齢者も増えて、全年齢層幅広い感じに。そして128席のコロナ座りは2、3人をのぞいてほぼ全て埋まった。それにしてもコロナ座りはゆったりしていて、前の席も空いたままなので、座高の高い奴が来る心配もなく、ストレス・フリー。快適だ。 CM・予告にコロナ対策、マナーが挟まって、ラストにマナーから暗くなって、まぶしい足元注意、映画泥棒の新バージョンと続いて、映倫があって、フル・サイズに映写機の左右マスクで本編へ。 |