2020年8月30日(日)「オフィシャル・シークレット」

OFFICIAL SECRETS・2018・英/米/スイス/中・1時間52分

日本語字幕:丸ゴシック体下、加藤真由美/シネスコ・サイズ(デジタル、Sony CineAlta、IMDbでは2.35)/音響表記なし(公式サイトでは5.1ch)


(英15指定、米R指定)

監督・製作総指揮:ギャヴィン・フッド
脚本:サラ・バーンスタイン、
   グレゴリー・バーンスタイン、
   ギャヴィン・フッド
撮影:フロリアン・ホーフマイスター
出演:キーラ・ナイトレイ、
   マット・スミス、
   リス・エヴァンス
   レイフ・ファインズ、ほか

公式サイト
http://officialsecret-movie.com
(全国の劇場リストもあり)

2003年1月31日、イギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)の職員キャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)は、配信されてきたメールに愕然とする。アメリカNSA(国家安全保障局)の依頼で、国連安保理に対しイラク侵攻に不利となるような情報や、戦争不支持の情報などがないか調べて欲しいというものだったのだ。何の証拠もないのに、嘘をついてまで戦争をしようとするアメリカ政府とイギリス政府の姿勢に疑問を感じていたキャサリンは、戦争を止めるためそのメールをマスコミにリークする決心をする。


74点

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 実話に基づく物語でなかなか感動的。特に裁判に至る過程はスリリングで、映画的にとても面白かった。ちょっと「ジョーンの秘密」(Red Joan・2018・英)とつながるものがあるような気もするが、ずっと映画として良くできているのでは。

 特に主演のキーラ・ナイトレイがいい。守秘義務と戦争回避のための葛藤。最初は感情だけでやってしまうが、パートナーにまで影響が及びそれを後悔し、ついには自ら認め、闘う決意をする。その心境の変化が見事。うまいなあ。そして弁護士役のレイフ・ファインズがいい味を出している。歳を取ったなりの魅力とでもいうか。

 それに加えて、法廷ものとしての面白さ。政府側が圧倒的に有利。それをどう崩すのか。見どころのひとつとなっている。そして新聞社の戦いも面白い。情報の裏を取り、確信を得て記事にする。ところが小さなミスがあって、大どんでん返し。そこもとても面白い。

 それにしても、大量破壊兵器があると始められたイラク戦争の責任は誰もとらないのか。この映画を観るとそういう疑問が湧く。たぶんそこが最大の目玉だろうが、焦点を個人の秘密漏えいにずらしてはいるものの、よくこういう映画が作れたなあと。実話だし、関係人物は実名で登場するし。でも、イギリスでも映画化には事件から15年(2018年の作品)もかかっているわけだ。たしか日本も小泉首相が支持を表明していたんだよなあ。

 タイトルのオフィシャル・シークレットとは、守秘情報とか国家機密という意味だそう。なるほど、そういうことだったか。

 銃はイラクの現場で、アメリカ軍がM4カービンを使用(たぶん)。気を付けて見ていなかったので、確認不足……。

 公開3日目の初回、銀座の昭和な劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前くらいにエレベーターがその階に止まるようになり、開場。ここは、だいたいいつも中高年の高寄り。マニアっぽい若い人が少々。入場時、チケット・ボックスには「完売」の張り紙。最初は30人くらいいて、女性が7〜8人。最終的には来なかった人もいたのか、224席のコロナ座りに95%くらいの入り。

 暗いスクリーンはビスタで開いていて、明るい照明でよく見えない状態のシネマ・チャンネルから、半暗になってちびゴジラ、ドラえもんマナー、予告と続き、マナーの後スクリーンのマスクが左右に広がり、非常口ランプも消えて暗くなり、足元注意の映画泥棒、映倫で、本編へ。

 それにしても昭和な劇場。狭いし、暗いし、トイレはできれば使いたくない。近くのTOHOシネマズ日比谷のビルまで行った方がいい。


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