2020年9月5日(土)「ブルータル・ジャスティス」

DRAGGED ACROSS CONCRETE・2018・加/英/米・2時間39分(IMDbでは158分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、平井かおり/シネスコ・サイズ(デジタル、Red、IMDbでは2.39)/音響表記なし(公式サイトではDCP5.1ch、IMDbではドルビー・デジタル)

(加13+指定、英18指定、米R指定、日R15+指定)

監督・脚本・音楽:S・クレイグ・ザラー
撮影:ベンジ・バクシ
出演:トニー・キトルズ、
   メル・ギブソン、
   ヴィンス・ヴォーン、
   トーマス・クレッチマン、
   ドン・ジョンソン、
   ウド・キアー、ほか

公式サイト
http://klockworx-v.com/brutaljustice/
(全国の劇場リストもあり)

定年間近の刑事ブレット・リッジマン(メル・ギブソン)と20歳若いトニー・ルラセッティ(ヴィンス・ヴォーン)のコンビは、犯人逮捕時の暴力を市民に撮影され、6週間の停職となる。ブレットは娘と病気の妻のために金が必要で、自分の情報屋から犯罪情報を得ると、上前をはねるためトニーを誘って首謀者の男の部屋の監視を始める。ところが、ヘロインの取引と思っていた男たちの計画は、とんでもないものだった。


76点

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 いやあ、思った以上に強烈なバイオレンス。基本的には悪党の物語で、いわばピカレスク系。なので、誰も正義の側に立っていないので、感情移入という点ではイマイチ。完全に応援することはできない。だから物語が終わっても、いまひとつスッキリしない。そこが残念。しかし緊張感のあるバイオレンスは、抜群。しかも刑事2人はバディもののように、仲が悪いようで仲が良く、ウィットの効いた会話をかわし、結構笑える。曲も良い感じ。

 とにかく怖い。正体がはっきりしない悪党は、徹底的に悪い。人間的な感情が欠如している感じ。ずっとマスクをつけているので表情も読めず、ひたすら怖い。迷わず銃で撃つ。そして、血が飛び、指が飛び、頭が炸裂する。

 ただ、ハードボイルド的なアクションで159分もあるので、非常に贅沢なというか、冗長な作りという感じはする。さらに群像的な描き方をしているため、メインとなる人がわかりにくく、それがまた感情移入を妨げている要因の1つかも。誰に焦点を当ててみれば良いのかわからない。それも惜しい気がする。そして今どきの映画なのに、良くタバコを吸う。

 主演のメル・ギブソンは「ハクソー・リッジ」(Hacksaw Ridge・2016・豪/米)を監督しているが、主演で見たのは、これまた強烈だった「キック・オーバー」(Get the Gringo・2012・米/メキシコ)以来。一時、ほかの多くの成功した俳優のように、B級映画に主演しまくって、やがてフェードアウトというパターンに陥りそうになったけれど、そうならずに済んでいる。作品をちゃんと選んでいるからだろうか。ただ日本での扱いは、そういう俳優さんたちの作品と一緒。今後どうなるか、注視して行きたい。頑張れメル・ギブソン。

 共演のヴィンス・ヴォーンは「ザ・セル」(The Cell・2000・米/独)が抜群に良かったが、「Mr.& Mrs. スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)や「Be Cool/ビー・クール」(Be Cool・2005・米)以降、パッとしない感じ。「ハクソー・リッジ」にも出ているから、メル・ギブソンと意気投合したのかも。似た雰囲気のヴィンセント・ドノフリオともどももっと活躍して欲しい。

 監督はS・クレイグ・ザラー。元は短編の撮影者だったようだが、そこから脚本を書くようになり、監督もというパターン。ほとんどの作品は日本劇場未公開。本作の前に監督・脚本・音楽を担当した「デンジャラス・プリズン牢獄の処刑人」(Brawl in Cell Block 99・2017・米)は、ヴィンス・ヴォーンとジェニファー・カーペンター、ウド・キア、ドン・ジョンソンが出演しており、ほぼ本作と同じではないかと。ちょっと見てみたい。

 銃は、メル・ギブソンがシルバーのパイソン4インチ。相棒のヴィンス・ヴォーンがシルバー・スライドのUSP。最初のマスク男、役名「灰色手袋」はMP7。もう1人のマスク男、役名「黒色手袋」はサプレッサー付きベレッタ92。銀行を襲う時はサプレッサー付きスコーピオンEVO3。黒人たちが隠し持っているのはグロック。ヴィンス・ヴォーンが使うスナイパー・ライフルはimfdbによればレミントン700にチョート・ウルティメート・スナイパー・ストックを付けたものらしい。

 公開9日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は7〜8分前に開場。ちょっと遅いのでは。中ではすでに予告が流れていた。スクリーンはビスタで開いていて、CM・マナーでほぼ暗くなり、予告が続いてT-joy20年でスクリーンのマスクが左右に広がり長めのシネスコになり、映写機のマスクも広がって映画泥棒から映倫と続き、ようやく暗くなって本編へ。


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