2020年9月15日(火)「ミッドウェイ」

MIDWAY・2019・中/香/加/米・2時間18分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/軍事監修:白石 光/シネスコ・サイズ(Red、IMDbでは2.39、デジタル8K、Panavision)/ドルビーATMOS(公式サイトでは5.1ch、IMDbではドルビー・サラウンド7.1chも)

(香IIA指定、加PG指定、米PG-13指定)

監督・製作:ローランド・エメリッヒ
脚本・製作総指揮:ウェス・トゥーク
撮影:ロビー・バウムガートナー
出演:エド・スクライン、
   パトリック・ウィルソン、
   ウディ・ハレルソン、
   ルーク・エヴァンス、
   デニス・クエイド、
   豊川悦司、浅野忠信、國村隼、ほか

公式サイト
http://midway-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1941年12月7日、突如としてハワイの真珠湾に日本軍が奇襲を仕掛ける。空母エンタープライズで離れたところにいた爆撃隊中隊長のディック・ベスト大尉(エド・スクライン)は、親友を失い、真珠湾の惨状を見て復讐を誓う。アメリカ軍は太平洋戦域の司令官にニミッツ大将(ウディ・ハレルソン)を任命、1942年2月1日、マーシャル諸島のロイ島の日本軍基地を襲撃、徹底的に破壊する。そして情報部のレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)のチームが日本軍の暗号通信を傍受し、日本軍の次の目標はミッドウェイだと予測する。


73点

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 日本とアメリカの戦いとしてみると、やはりアメリカ側から描かれているわけで、日本人としては違和感があるが、単にA国対B国とか、X国対アメリカというような感覚でみれば、映画として良くできた戦争映画。真珠湾奇襲から珊瑚海海戦、ミッドウェイ海戦へと至る流れがとてもわかりやすく描かれている。そして歴史的な流れだけでなく、それぞれに実在の人物の個人的なエピソードを盛り込んで、群像的に描くことで大きな流れの中に感情移入できる物語を構築している。うまいなあ。

 見所はやはり3D-CGによるリアルな戦闘シーン。史実よりノリの監督の残念な作品「パール・ハーバー」(Pearl Harbor・2001・米)よりも一歩進んだ迫力のシーンが連続する。やはり「パール……」同様ゲーム感覚的な部分も出てしまうが……。音響も素晴らしく、4D上映があれば臨場感がより出て良かったのかもしれない。また基本、日本人は日本人が演じていて、変な日本語でなかったのは何より。

 気になったのは、製作会社として中国の会社が多く出てくること。製作総指揮のメンバーに中国系らしい人の名も多く並ぶ。中国公開で有利になるようにとか、いろいろあるのだろうけれど、なんかスッキリしない。「アメリカ人にそんな根性のあるヤツはいない」というセリフも逆に引っかかるし、空母の甲板に描かれた日の丸の真ん中に爆弾をぶち込み大破させる、というのも、日本人的にはちょっとなあ。アメリカ人からすれば、痛快この上ないのだろうけれど。中国マネーか……。日本軍の残虐なシーンはある。日本人としては辛い部分だが、真珠湾奇襲に関して、悲惨な死や恨み、復讐といった部分はありながらも、奇襲の部分をあまり突っ込んでいないのは、日本への配慮なのだろうか。

 作品の傾向に関しては製作総指揮のメンバーをそれぞれ見てみないとわからないだろうが、とりあえず脚本と製作総指揮を兼ねるのはウェス・トゥーク。IMDbによるとこれまで製作にかかわったのは、製作総指揮で3本、脚本で3本。それぞれ2本はTVシリーズで、「Jean-Claude Van Johnson」(2016-2017・米・インターネット)と「COLONY/コロニー」(Colony・2016-2018・米・Netflix)。そして最新作が劇場作品の本作。いきなり超大作。どちらのTVシリーズも評価が高かったからか。うむむ、たぶんどちらもアクション系ということくらいしか共通点が見当たらない。

 銃は、海戦ということで海軍がメインのため、多くは艦載砲と航空機の銃。よく出てきたのは、アメリカ軍のドラム・マガジン式のエリコン20mmとマガジン式の28mm(1.1インチ)75口径対空機銃(シカゴ・ピアノ)。日本軍は二連装をメインとした九六式二十五粍機銃。アメリカの航空機はもちろんM2ブローニング。日本軍は警備兵が持っていたのは三八式かと思ったら、imfdbによると7.7mmの二式テラ小銃だったらしい。アメリカのパイロットはガバメントM1911A1を装備。映画監督のジョン・フォードがロケに訪れる島では、兵士はイギリス式のヘルメットで、スプリングフィールドM1903ライフルと、水冷のM2ブローニングを装備。中国の兵士はモーゼルKar98kを装備。中には戦時省力タイプもあったような。時代的に合っているのか?

 サラウンドはなかなかの効果で、戦闘シーンはもちろん、ショーで歌手が歌うシーンなどでもよく回っていた。 4D上映があればより迫力があったのだろうけれど、通常の2D上映のみ。戦争映画をアトラクション的にしたくなかったということだろうか。

 公開5日目の平日の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日にネットで確保。当日は20分前くらいに開場。最初10人くらいいて、3人ほどが大学生くらいの若い人で、残りは老人という感じ。男のみで、まあ戦争映画だからなあ。その後、若い女性や高齢の女性も来たりして、30人くらいで女性5人ほど。最終的には200席のコロナ座りに3.5割りくらいの入り。平日の初回でも意外と人は入っている。

 CM・予告の途中で半暗になって、マナーのあと暗くなって、白黒反転して欲しいまぶしい足元注意、映画泥棒があってフル・サイズで本編へ。


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