2020年9月19日(土)「TENET テネット」

TENET・2019・英/米・2時間30分

日本語字幕:手描き風書体下、アンゼたかし/シネスコ・サイズ(シネスコ・マスクで上映、65mmフィルム、IMAX、IMDbでは1.43、1.90、2.20、2.39)/ドルビー(IMDbではIMAX 6トラック、ドルビー・デジタル、Sonics-DDP、datasatも)

(英12A指定、米PG-13指定)(4D上映、IMAX版もあり)

監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、
   ロバート・パティンソン、
   エリザベス・デビッキ、
   ケネス・ブラナー、
   ディンプル・カパディア、ほか

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/
(全国の劇場リストもあり)

ウクライナのオペラハウスでテロが発生。S.W.A.T.が突入するが、それに紛れて主人公(ジョン・デヴィッド・ワシントン)たちアメリカ人も扮装して突入し、ある人物と共に奇妙な装置を持ち出す。ところが捕まって拷問され、自決用のカプセルを飲む。気付くとベッドの上で、テストに合格したといわれ、時間を逆行する弾薬を見せられる。さらには、時間を逆行する武器もあるという。それらは未来から送られてきたもので、第3次世界大戦を防ぐためにその出所を探れと言われる。

83点

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 面白かった。始めから終わりにまで、ずっとドキドキしっ放し。何が起きるかわからない。とにかくずっと緊急状態。音楽もずっとそんな曲が付けられている。

 印象としては同じ監督の「インセプション」(Inception・2010・米/英)に近いかなと。見ていて、見逃しそうなちょっとした小さな気になる変な部分が、最後には全て説明されてそういうことだったのかと。しかし、それでもなお多くの謎というか疑問は残り、考えれば考えるほどわからなくなって行く。「インセプション」の夢の中で夢を見ているというような構造が、そのまま本作では逆行の中で逆行が起こっているような形として出てくる。実に複雑。2/3くらいまではどうにか付いて行けるが、ラストは何がどうなっているのかよくわからない。1回見ただけでは理解できない。

 タイム・パラドックスの問題も出てくる。過去に戻って親を殺したら、自分は存在しなくなるのか。たいていのSFで過去の自分自身に会うことはできないとしていることが多い。「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」(Back to the Future Part II・1989・米)では離れたところから見ていて、対面すると気絶していた。それらに対するクリストファー・ノーランの答えも用意されている。

 スケールが大きく、007映画のように世界を股にかけて悪人を追って行く。ラストにはほぼ戦争状態。核爆発までもが起こるかという大団円。どうやって撮影したのかわからないような複雑なシーンも多い。大事故の現場で、たったひとつのものだけが逆行しているとか、微妙で高度なSFXシーン。クレジットではたくさんのデジタル・アーティストがクレジットされていたので、CGを使っているのだろうが、とにかくすごい。だから公式サイトのプロダクション・ノートは必見(必読)。ただ、それに対して感情移入できるドラマ部分は、ちょっと弱めという気もする。引き裂かれた母親と幼い息子とか、妻に固執し精神的に拘束する夫とかは「インセプション」などに比べるとかわいそうな話だが、深くは響いてこないかなと。

 クリストファー・ノーラン監督・脚本の初期作品「メメント」(Memento・2000・米)も時間が逆行するような構成だった。

 主演のジョン・デヴィッド・ワシントンは「ブラック・クランズマン」(BlacKkKlansman・2018・米)で主人公を演じていた人。相棒のニールを演じたロバート・パティンソンは、最初は面白かった「トワイライト初恋」(Twilight・2008・米)で主人公の恋人を演じていた人。そして、ちょっとオードリー・ヘップバーン風の美女、パリ生まれのエリザベス・ビデッキは日本劇場未公開ながらなかなか面白かった「ロスト・マネー偽りの報酬」(Widows・2018・英/米)に出ていた人。本作ではみな見事に光っている。

 銃は、冒頭のテロリストとSWATもAKMSなどで、主人公はグロックを使用。サウンド・サプレッサーも使っている。ほかにベレッタ92、ベレッタM12SMG、M4、P226、HK416など。またRPGも登場。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は25分くらい前に着いたらすでに劇場は開いていて、9時までの回が全て開場となっていた。本作の回は残席わずかの黄色表示。満席の赤表示になっていたのはIMAX版と4D上映。みんなお金があるんだなあ。

 観客層は若い人から中高年まで幅広く、女性は1/3ほど。下は父に連れられた小学生低学年くらい。本作を理解できたのだろうか。最終的には499席のコロナ座りに9割くらいの入り。9席×2列のプレミアム席もほぼすべて、8席ほどが埋まった。

 シネマ・チャンネルから半暗になってCM・予告と続き、マナーのあと暗くなって、足も注意から映画泥棒、映倫があって、TCXスクリーンに映写機の枠付きの小さなサイズで本編へ。

 それにしても、4D劇場の振動が伝わって来て不快だった。どうにかして欲しいなあ。


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