2020年10月25日(日)「キーパー ある兵士の奇跡」

TRAUTMANN・2018・英/独・1時間59分(IMDbでは120分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、牧野琴子/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、Panavision)/音響表記なし(公式サイトでは5.1ch)

(英15指定、独12指定)

監督・脚本:マルクス・H・ローゼンミュラー
脚本:ニコラス・J・スコフィールド
撮影:ダニエル・ゴッドシャルク
出演:デヴィッド・クロス、
   フレイア・メーバー、
   ジョン・ヘンショー、
   ハリー・メリング、ほか

公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/keeper/
(全国の劇場リストもあり)

1944年、ドイツ兵バート・トラウトマン(デヴィッド・クロス)は、イギリス軍の捕虜となりランカスター捕虜収容所に送られる。やがてドイツが降伏して戦争が終わるが、囚人たちは戦争犯罪がなかったか調べられ、さらには再教育の名目で、しばらく収容所に留め置かれることになる。そこで得意のサッカーをやっている時、収容所の出入り業者ジャック・フライヤー(ジョン・ヘンショウ)の目に留まり、彼が監督を務める地元のサッカー・チームの助っ人キーパーとして時々借り出されることに。さらにフライヤーの店を手伝うことになると、ドイツ人を嫌っていた娘のマーガレット(フレイア・メーバー)と親しくなっていく。ところが収容所の閉鎖が決まり、囚人たちは帰国させられることになる。


76点

前へ一覧へ次へ
 実話の映画化。辛い部分も多いが、全体としては前向きで、さわやかで、清々しい映画。感動した。ちょっと長めの印象はあるものの、サッカー選手の半生を描くには必要だったのかなと。見て良かった。サッカー・ファンはぜひ見た方が良い気がする。

 敵だった国に残って生きて行くことも大変だし、自分の国で敵だった人間を受け入れるのもまた大変だった。主人公はとにかくチームのために戦う姿を見せ、倒れても倒れても立ち上がった。その物語。そして美女とのボーイ・ミーツ・ガール物語に、夫婦の物語も加え、ほどよいユーモアを盛り込んで映画としてまとめた。うまいなあ。とくに受け入れられて行く過程が素晴らしい。まるでドラマのよう。実話としては出来過ぎでは、と思えるほど。パターン?という感じさえした。

 第二次世界大戦中のエピソードはなかなかリアルで、怖い。緊張感もある。それと恋愛もの的なパートと、スポーツのサッカー(劇中では、イギリスなのでフットボールと言っているが)パートをうまく融合させている。コアなファンにはサッカー・パートは物足りないかもしれないけど。監督・脚本はドイツ人のルクス・H・ローゼンミュラー。TV出身で、手掛けたドラマが高く評価されて本作へとつながったらしい。

クラウトマンを演じたデヴィッド・クロスは、ドイツ生まれで「愛を読むひと」(The Reader・2008・独/米)や「戦火の馬」(War Horse・2011・米/印)に出ていたらしい。本作にはピッタリのイメージ。また相手役の美女はフレイア・メーバー。「ベロニカとの記憶」(The Sense of an Ending・2017・英)などに出ていたようだが、たぶん日本ではあまり馴染みがないと思う。もっと活躍して欲しいなあ。

 銃は、ドイツ軍がKar98k、MP40。イギリス軍がリー・エンフィールド・ライフル。首に被弾し、血を吹くさまはゾッとしたし、ドイツ軍将校のワルサーP38はちゃんとハンマーが起きていて、緊張感がありなかなか怖かった。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。エスカレーターで向かったら、すでにCM予告が始まっていた。観客層は中高年、というより高寄り。最初17〜18人いて女性は4人。この比率で、最終的にはフルの224席に4.5〜5割くらいの入り。地味だし、CMもあまりやってないし。

 スクリーンはビスタで開いていて、CM・予告の途中でほぼ暗くなって、映画泥棒、映倫、音が大きなドルビー・シネマがあって、また予告が続き、マスクの注意から暗くなって、マナーのあと本編へ。うん、この流れの方がいいと思う。直前の映画泥棒はやめて欲しい。


前へ一覧へ次へ