2020年11月1日(日)「ザ・ハント」

THE HUNT・2020・米・1時間29分(IMDbでは90分)

日本語字幕:手描き風書体下、種市譲二/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、Sony CineAlta Venice)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日R15+指定)

監督:クレイグ・ゾベル
脚本:ニック・キューズ、
   デイモン・リンデロフ
撮影:ダーレン・ティアナン
出演:ベティ・ギルピン、
   ヒラリー・スワンク、
   エイミー・マディガン、
   J.C.マッケンジー、ほか

公式サイト
https://www.universalpictures.jp/micro/the-hunt
(全国の劇場リストもあり)

某国、某所。錠付きのサルグツワをされた12人の男女が、原っぱで目覚める。その原っぱの真ん中に大きな木箱があり、中に鍵とたくさんの武器が入っている。やがて男女が集まり、錠付きサルグツワを外していると、どこからともなく弾丸が飛んできて、1人が射殺される。「マナー・ゲート(人間狩り)だ」と誰かが叫び、各自は武器を取ると一目散に逃げ始める。


74点

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 よくあるスプラッターのB級かと思いきや、なかなかヒネってあって、単なる人間狩りではないミステリーの面白さと、暴力による残酷表現で、見せる作品にまとめられている。言葉による説明的なシーンを極力廃しているようで、ほとんどはアクション。それを通してストーリーを語ろうとしているところが映画らしくて良い。ただその反面、ストーリーはシンプルなのにわかりにくくなっている。特に、冒頭、カメラが写し出す中心人物が次々と変わるため、どう見ていいのか、誰に感情移入して見ていいのかがわからず、混乱する。狙いだったのだろうが、逆にそこが残念。

 まあ、とにかく見事なまでの残酷表現。頭が破裂し、体がちぎれ、血が飛び散る。それでいて、やられたらやり返すがあって、痛快な部分もある。倍返し? とりあえずは、敵は金持ちのいけ好かない奴らばかりのように見えるので、同情する余地もなく、気持ちよくやられてくれる。後ろめたさがない。そのへんもうまい。

 そしてB級スプラッターの場合、普通は無名キャストや、これから売り出す新人が多かったりするものだが、本作は有名キャストが名を連ねている。これはヒネリの効いた脚本を読んで、出演を決めたということだろうか。

 雑貨屋の奥さんは「フィールド・オブ・ドリームス」(Field of Dreams・1989・米)のエイミー・マディガンだし、相棒となるぽっちゃりおじさんは「オー・ブラザー!」(O Brother, Where Art Thou?・2000・英/仏/米)などのウェイン・デュバル(ロバート・デュバルの従兄弟)だし、一時一緒に逃げるグレイは「バタフライ・エフェクト」(The Butterfly Effect・2004・米/加)などのイーサン・サプリーだし、会社の上司は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(The Wolf of Wall Street・2013・米)などのJ.C.マッケンジーだし(TVや脇役でよく見る人たち)、なによりラスボスはアカデミー女優のヒラリー・スワンク。ただヒラリー・スワンクはほかの多くの俳優同様、「ミリオンダラー・ベイビー」(Million Dollar Baby・2004・)などで頂点を極めると、以降、使いづらくなるのか急激に作品に恵まれなくなり、B級にどんどん出るようになるというパターンにはまっている気もするが……。

 主演のベティ・ギルピンはもともとはTVの人のようで、映画では「僕のワンダフル・ジャーニー」(A Dog's Journey・2019・)などに出ている。こんなにアクションが出来る人だとは思わなかった。しかも道端でオシッコという体当たり演技まで! やるなあ。

 脚本は製作総指揮も務めるニック・キューズと、感動SF「トゥモローランド」(Tomorrowland・2015・米ほか)などのデイモン・リンドロフ。なんとなく頷ける。

 監督はクレイグ・ゾベル。ビデオからTVへ進んで、本作も手掛けることになったよう。ボクはほどんと見ていないがTV版の「ウエストワールド」(Westworld・2016-2020・米)の2018年の1エピソードを手掛けていて、あのシリーズは強烈だったので、本作も含めると、今後も期待できるかなと。

 銃は、冒頭、木箱にたくさん武器が入っていて、そこからM4カービン、ベレッタ92、1911オート、デザートイーグル、ケルテックKSGショットガン、M686の6インチ、KG9などが持ち出される。雑貨屋には水平二連のソウドオフ・ショットガンがあり、外国の軍隊らしい一団はタボール21のようなブルパップ・ライフルを装備。金持ちたちは高そうなライフルを持っていて、ハンドガンはカスタム・グロック。50口径のバレットM82もあったような。軍曹が分解していたのはM1かM14のトリガー・メカ部。ラストの戦いでは上下二連ショットガンも登場。

 アーマラーはハワード・ファノン。スティーヴン・セガール作品で小道具助手の武器係を務め、「パブリック・エネミーズ」(Public Enemies・2009・米/日)やTVシリーズの「NCIS-ネイビー犯罪捜査班」(NCIS: Naval Criminal Investigative Service・2003-・米)のアシスタントを経て、本作あたりから1人立ちした模様。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は映画の日で、劇場は大混雑。全回が黄色表示の残席わずか。そのためか25分前くらいに開場となり、場内へ。最初はオヤジ6人、オバサン1人からスタート。最終的には128席フルに9.5割くらいの入り。さすが映画の日。女性は1割いたかどうか。若い人も同様に少なかった。まあB級のアクションはオヤジだろうなあ。

 10分前から曲が流れ、シネマ・チャンネル、CM・予告と続き、マナーのあと暗くなって、足元注意、フルサイズで映画泥棒、映倫と続き、フルサイズで本編へ。


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