2020年11月17日(火)「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」

2020・日本テレビ放送網/ワーナー・ブラザース映画/KDDI/読売テレビ放送/バップ/読売新聞社/札幌テレビ放送/宮城テレビ放送/静岡第一テレビ/中京テレビ放送/広島テレビ放送/福岡放送・2時間01分

ビスタ・サイズ(撮影表記なし)/音声表記なし(ステレオ感はあったが、サラウンド感はなし)

(『UDCast』『HELLO! MOVIE』方式による視覚障害者用音声ガイド、聴覚障害者用日本語字幕付き、一部日本語字幕付き上映もあり)

監督:深川栄洋
原作: 『ドクター・デスの遺産』中山七里
   (KADOKAWA/角川文庫)
脚本:川崎いづみ
撮影:藤石 修
出演:綾野 剛、北川景子、
   木村佳乃、柄本 明、
   石黒 賢、ほか

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/doctordeathmovie/ (全国の劇場リストもあり)

110番に子供から「お父さんが殺された」いう通報が入り、刑事の犬養(いぬかい、綾野 剛)警部補と高千穂(たかちほ、北川景子)のコンビが捜査に当たることになる。心不全による病死と思われたが、解剖の結果、体内から塩化カリウムが検出され、しかも担当医ではない医師と看護師が出入りしていたことが判明する。すると似たような事件がほかにもあり、皆が安楽死させるという闇サイトでドクター・デスにコンタクトしていたことがわかる。しかしどの証言もバラバラで、ドクター・デスをかばっているようだった。


72点

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 うむむ、これはエンターテインメントとしてはダークで重すぎて、相応しくなかったかも。物語としては犯人は悪いヤツと言うことで終わりになるが、実際のところ安楽死の問題は簡単には結論づけられない気がする。そこに切り込んで行ってしまっているわけで、途中、出口のない迷路にはまってしまう。ここがどうなのか。犯人は、ボクでもすぐにわかったので、そういうところに主眼はなく、やっぱり安楽死問題なんだろう。

 そして気になったのは画質。極めて良くないと感じてしまった。映画の内容に合わせた狙いなのだろうが、コントラストの低い、メリハリのない色調。常に曇り空のようなどんよりした感じ。解像度も低く、立体感もない。まるで古い映画の、劣化した上映用フィルムといったような感じ。

 しかも、どうも雰囲気がTVドラマっぽい。連続もののスピン・オフ、劇場版といった印象。そのためか、男女2人の刑事のキャラクターが伝わってこず、それに絡むギャグは笑えず、スベる。まるでTVシリーズを見ていた人にはわかるみたいな感じ。そこが残念。バディものとしてはちょっとなあ……。

 演者では木村佳乃が良かった気がする。TVのバラエティでも良い味を出しているし、何か吹っ切れたようで、演技も格段にうまくなったのではないだろうか。名女優という感じ。そして綾野剛の娘、沙耶香を演じた子役が良かった。よく見かける子なのだが、公式サイトにも名が掲載されていない。

 気になるところもチラホラ。現在なのか、時代設定がわからないが、公衆電話(キャビネット)って今どきないよなあとか、どうやって高千穂は飛び出していった犬養の行き先がわかったのかとか、犯人の居場所は携帯の位置情報でわかるんじゃないかとか、なぜ犬飼はパソコンのメールのやりとりを確認しないのかとか……。気になり出すとついて行くのが辛くなってくる。

 脚本はTVの東野圭吾ミステリーや赤ひげシリーズなどを手がけた川崎いづみ。監督は、感動作「狼少女」(2005・日)ですっかり心を持って行かれた深川栄洋。それなのに、それ以降作品を見ていないが、「神様のカルテ」(2011・日)シリーズなどを手がけているよう。TVでは「東野圭吾」や「赤ひげ」も手がけていて、そこで脚本の川崎いづみと仕事をしていたのかも。

 銃は、高千穂が持っていたのがS&WのM360Jサクラというよりは、単なるM360のように見えたが……設定的にはサクラだろうなあ。

 公開5日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15〜16分前に開場。観客層は中高年がメインながら、大学生か、若い人もチラホラ。最終的には200席に20人くらいの入り。平日だからか、この作品も女性の方が多い感じ。男女比は男性8人、女性12人といった感じ。8席のプレミアム席にはマダム風の女性が1人。

 CM・予告の途中で半暗になり、マナーのあと暗くなって、足元注意の映画泥棒からマナーと続き、暗くなって、足元注意の映画泥棒、映倫から映写機の左右マスクで本編へ。


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