2020年11月29日(日)「アーニャは、きっと来る」

WAITING FOR ANYA・2020・英/ベルギー・1時間49分

日本語字幕:丸ゴシック体下、関 冬美/ビスタ・サイズ(シネスコに映写機の左右マスクで上映、IMDbでは1.66、Arri Alexa Mini)/音声表記なし(IMDbにもなし)

(英12A指定)

監督:ベン・クックソン
原作:『アーニャは、きっと来る』(評論社)
   マイケル・モーパーゴ
脚本:ベン・クックソン、
   トビー・トーレス
撮影:ジェリー・ヴァスベンター
出演:ノア・シュナップ、
   トーマス・クレッチマン、
   ジャン・レノ、
   アンジェリカ・ヒューストン、ほか

公式サイト
https://cinerack.jp/anya/
(全国の劇場リストもあり)

ドイツ支配下のフランス。1942年、南フランスの片田舎、ピレネー山脈に近い小さなレスカン村にもドイツ軍の20人ほどの部隊がやってくる。そんなある日、羊飼いの少年ジョー(ノア・シュナップ)は、ひょんなことからベンジャミン(フレデリック・シュミット)という見知らぬ男と出会い、彼が村の1人暮らしのおばあさんオルカーダ(アンジェリカ・ヒューストン)と協力して、ユダヤ人の子どもたちを山を越えてスペインへ逃がしていることを知る。


75点

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 IMDbでは5.8点の低評価。でもボクは面白かった。悲しい悲惨な話だが、単なるお涙頂戴ではなく、ユーモアもあって、希望もある。そして当時、本当にこんなこともあったんだろうという説得力ある驚きと恐ろしさ。こんなことは決して繰り返してはいけないと思わされる。そして、ナチス・ドイツもすべてが悪い人ではなく、大抵は普通の人だったと。でも仲良くはできなかった。

 ボクはてっきり主人公がアーニャで、ポスターの子がアーニャなんだと思っていたが、違った。写真の子は男の子で、ジョーという名前の主人公。勝手にアーニャという少女が、逃げ隠れているグループを助けに来るものだとばかり思い込んでいた。そうではなく、この女の子のようにも見える美少年が、ユダヤ人の子どもたちを助ける話だった。アーニャは、実在する少女だが、むしろシンボル的存在。しみるなあ。そして、その後、家族一緒に幸せに暮らしたと信じたい、そんな映画。

 史実に基づいた映画ながら、設定ではフランスの小さな山間の村が舞台で、中心となる一家は英語を主言語としていて、主人公の少年はフランス語もろくに読めないし、ましてドイツ語はほとんど読めない。それでも村に溶け込んでいる。なので、ほとんど全編英語で進む。イギリス映画としてはそうでないと困る。父は戦場に行っていると言うから、フランス国籍を持っていてフランス軍人として出征したということだろう。母がイギリス人か? ちょっと無理矢理の設定という気はする。

 主演のノア・シュナップは、トム・ハンクス主演のスピルバーグ映画「ブリッジ・オブ・スパイ」(Bridge of Spies・2015・米/独/印)で、トム・ハンクスの幼い息子を演じていた子。2004年のニューヨーク生まれ。13歳の役だが、実際は16歳ということになる。

 ドイツ軍の将校、ファントマ(「ファントマ/危機脱出」(Fantômas・1964・仏/伊))みたいな顔のヴァイスマン中尉は、アイスランド生まれの43歳、トーマス・レマルキス。ポン・ジュノ監督のSFハード・アクション「スノーピアサー」(Snowpiercer・2013・韓/チェコ)や、傑作SFの続編「ブレードランナー2049」(Blade Runner 2049・2017・米/英ほか)、そして「X-MEN:アポカリプス」(X-Men: Apocalypse・2016・米)などに出ていた人。それにしても、リアル・ファントマだよなあ。

 原作はマイケル・モーパーゴの同名小説で、この人の作品は「戦火の馬」(War Horse・2011・米/印)もスピルバーグ監督で映画化されている。

 銃は、ドイツ軍が定番のKar98k、MP40、P38。村人は水平二連の猟銃。ジャン・レノ演じるジョーのおじいちゃんはヴェルダンの戦いでドイツ軍に向けて使ったというフランス軍用のラベルM1886らしいライフルをドイツ軍に提出し、Kar98kのスポーターらしいライフルは弾を装填して隠しておく。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で2日前にネットで確保。当日は12〜13分前に開場。中高年がメインで、若い人も少し。女性は男性より若めというのも、だいたい映画を見る人のパターン。ジイジはいても、バアバはほとんどいない。スクリーンはシネスコで開いており、すぐに入場したのだがすでに予告が流れていた。最終的には232席フルに25〜30人くらい。男女比はおおむね半々といったところ。もっと入っても良い映画なんだけどなあ。

 CM・予告の途中で半暗になり、マスク注意から暗くなってマナー、映写機の左右マスクでビスタの本編へ。


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