監督:ジェームズ・マーシュ 脚本:ジョー・ペンホール 撮影:ダニー・コーエン 出演:マイケル・ケイン、 ジム・ブロードベント、 トム・コートネイ、 チャーリー・コックス、ほか |
かつて銀行強盗などで鳴らした〈泥棒の王〉ことブライアン(マイケル・ケイン)は、妻との約束ですっかり犯罪から足を洗っていたが、妻が亡くなり葬式の後、光ファイバー通信の技師をやっているという若い男バジル(チャーリー・コックス)から、週末になるとハットンガーデンにある宝飾店の宝石や現金が預けられる金庫の鍵を持っている人物を知っているので、奪わないかと持ちかけられる。ハイテク機器の無力化はバジルが出来ると言うので、暇を持て余していたブライアンはかつての仲間たちに声を掛け、チームを組み、まず下調べから始める。
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実話に基づく映画。うむむ…… どこまで実話に忠実なのかわからないが、映画的には「起承承結」という印象。意外な展開はなく、見たまま、当たり前の結果へとたどり着く。実際の話なんてこんなものだろうけれど、それをそのまま映画化してどうする? または、そういう話を映画化してどうする? しかも演出的にというか、脚本的には、ピカレスもの的な雰囲気やコミカルな雰囲気を採り入れながら残念な展開というのは、どうにもチグハグな感じが……。 構成としては、モノクロの昔の日々とカラーの現代を対比させながら始まって、実録風の雰囲気とジイサンものの雰囲気を漂わせ、犯罪計画に仲間を集めるあたりはまさにピカレスクものの雰囲気で(ちょっと「七人の侍」的でもあるけれど)、計画がうまく行かないあたりから失速し始め、実録風になって終わる感じ。 じーさまたちがうまいので、つい見入ってしまう。特に主役らしいマイケル・ケインは素晴らしい。また、洗面台を便器と間違えて用を足してしまうマイケル・ガンボンなんか、「ハリー・ポッター」シリーズのダンブルドアの雰囲気などまったくなく、怖いギャングを演じたこともある人が、まったく普通の弱々しいボケ気味老人にしか見えない。そして、じーさまは出てくるが、女性は出てくるもののほぼ存在感なし。警察側に2人ほどいるくらい。 本作と似た銀行強盗系の映画は良くある気がする。ザッと思い付いただけでも、ピーター・フォークが主演した実話の映画化「ブリンクス」(The Brink's Job・1978・米)、南仏で起きた実話の映画化「掘った奪った逃げた」(Les egouts du paradis・1979・仏)、「バンク・ジョブ」(The Bank Job・2008・英/米/豪)、「ミッドナイト・ガイズ」(Stand Up Guys・2012・米)、「ジーサンズ はじめての強盗」(Going in Style・2017・米)などなど。 監督は、「キング 罪の王」(The King・2005・米/英)や「博士と彼女のセオリー」(The Theory of Everything・2014・英/日/米)や「喜望峰の風に乗せて」(The Mercy・2017・英/仏/米)などのジェームズ・マーシュ。 銃は、冒頭に水平二連のショットガンらしい銃が出て、後半、警察のSWATはMP5、G36Cを使用。刑事が腰に付けていたオートマチックは機種までわからなかった。スペアのマグ・ポーチを付けていたのはリアル。 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、新型コロナの緊急事態宣言により当日のみの鑑賞券販売となり、0時を待ってネットで確保。20分前にエレベーターが動き出し、場内へ。スクリーンは1.66のビスタで開いており、観客層は中高年というか高寄り。じいじ多し。若い人はほんの少し。女性は2割ほど。最終的には224席に4〜4.5割くらいの入り。それにしても、ここの劇場はイヤだなあ。同じ料金でこの昭和な設備。座席は小さくて硬く、トイレもイヤだ。 10分前くらいから曲が流れ、6分くらい前からシネマ・チャンネル、紙ロペ、ドラえもんマナーと続き、半暗になってCM・予告。スクリーンのマスクが左右に広がってスクリーンが大きくなり、暗くなるとまぶしい足元注意、映画泥棒、映倫から本編へ。いきなりモノクロ、スタンダードでのスタートは驚かされた。 |