2021年1月17日(日)「アンチ・ライフ」

BREACH・2020・加・1時間32分

日本語字幕:丸ゴシック体下、神田直美/シネスコ・サイズ(表記なし、IMDbでは2.39、レンズ、RED Dragon)/音響表記なし
(米R指定、日PG12指定)

監督:ジョン・スーツ
脚本:エドワード・ドレイク、
   コーリー・ラージ
撮影:ウィル・ストーン
出演:コディ・カースリー、
   ブルース・ウィリス、
   トーマス・ジェーン、
   レイチェル・ニコルズ、ほか

公式サイト
https://anti-life.jp
(全国の劇場リストもあり)

2242年、荒廃した地球を棄てて新しい惑星ニュー・アースへと移住する最後の宇宙船が出発する。その宇宙船の司令官、アダムス提督(トーマス・ジェーン)の娘で身重のヘイリー(カサンドラ・クレメンティ)は乗り込むことができたが、恋人のノア(コディ・カースリー)は追い出されてしまう。しかし、どうにか密航して乗り込んだノアは、清掃要員として元軍人のクレイ(ブルース・ウィリス)の下で働くことになる。しかし謎の密航者もいて、やがて正体不明の何かが動き出す。


58点

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 ありありとわかる超低予算映画。その低予算でSF大作を撮ろうとするなよなあ。しかもシネスコ・サイズ。たぶん予算の大半は有名俳優のギャラに消えたのだろう。SF映画で重要なセットやSFXは、それはそれはビドイことになっている。ベニヤとビスとペンキで作ったような宇宙船、べこべこの人工冬眠ポッド、当然、高価な宇宙服はなし。デジタル合成はドットがわかるほど粗い絵で……。IMDbではひさびさの3.6点という低評価。これを大きなスクリーンにかけるということは、公開できる作品が枯渇したということだろうか。より粗が目立つことに。92分でも長く、眠かったぁ。

 当然ストーリーも大変なことになっていて、設定は残念なSF大作「パッセンジャー」(Passengers・2016・米/豪)的で、人類が地球を棄てて新しい星、ニュー・アース(!)に移住するという。構成はほぼ大傑作「エイリアン」(Alien・1979・英/米)。味付けはゾンビ。「ヒドゥン」(The Hidden・1988・米)的なヒルから発展するモンスター・エイリアンに食われるとゾンビになる。宇宙船はどこかで見た感じだし、ラストは大爆発……ではなく、予算の都合だろう煙のようになって消えるって!! 何だコレ。

 モンスターのデザインにもお金を掛けていないようで、実に残念な姿形。後半に出てくる時には、ほぼエイリアン・クィーンみたいになっているが、真似しているだけに悲しく悲惨な状態に。てっきりブルース・ウィリスはアンドロイドだと思ったが、その予算もなかったか。予算にあった内容にしろよなあ。低予算でも優れたSF映画はいくらでもある。アイディアで勝負して欲しかったなあ。

 B級臭ぷんぷん。出演者も全員がB級に見えてしまっているし、もっと言えば全員おバカな感じしかしない。ワルはタバコ吸ってるし、暗い宇宙船内で黒いサングラス掛けてるヤツはいるし、船内で密造酒? いつの時代だ?。ブルース・ウィリスなんてあまり動かず、ちょっと動くシーンではスタント・タブルがやっている印象。セットも設定も2021年の現在の目で見ても古い感じがして、とても2242年には見えない。今は画質が良いから、セットの粗が全て見えてしまっているような。宇宙船でトイレ掃除って…… それも、学校とかに良くあるいくつも並んだ普通の水洗トイレ風。その床を雑巾で拭いたりしている。どういう世界観? ああ悲しい。

 監督は、脚本や製作などかかわった作品のほとんどが日本劇場未公開というジョン・スーツ。ブルース・ウィリスとかよく出たなあ。お金のためと割り切ってのことか。

 脚本はエドワード・ドレイクとコーリー・ラージの2人。エドワード・ドレイクは「アンダーワールド 新種襲来」(Broil・2020・米)というヒット作に似たタイトルのパチものっぽい作品を脚本監督している人。コーリー・ラージは製作も務める人で、リンカーンという役で出演もしているそう。最初に出てくる、提督の娘を艦に乗せるチンピラみたいな男だ。監督作は日本劇場未公開。  TCX劇場だったからか、音質はとても良かったように感じた。この作品にはちょっともったいなかったかなあ。

 銃は、M4カービン、グロック組み込みのピストル・カービン、 VP70もあったような。ほかに確認できなかったハンドガンとサブマシンガンもあった。ただ、いずれも、ひょっとしたら銃は発砲していないかも、マズル・フラッシュがどれも一緒に見えたからデジタル処理だったかも。つまり役者は撃つふりをしていたか。現場ではいい歳をして撃ち合いゴッコだった?

 公開3日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、新型コロナの緊急事態宣言のため0時を待ってネットで確保。15分前くらいに開場となり、トイレに行ってきたらすでに開場済み。観客層は中年男性がメインで、若い人は数人。女性も同様。このクォリティだと観客が今後増えるとは思えない。最終的には395席に30〜40人くらいの入り。まあこんなもんでしょ。

 シネマ・チャンネルのあとマスクの注意から半暗になって、紙ロペ、ドラえもんマナーのあと予告へ。マナーから映写機のマスクが左右に広がって、暗くなりTCXのデモ、足元注意の映画泥棒、映倫と続いて本編へ。


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