2021年1月18日(月)「ズーム/見えない参加者」

HOST・2020・英・1時間08分(IMDbでは57分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、大城哲郎/ビスタ・サイズ(表記なし、IMDbでは1.78)/表記なし(公式サイトでは2chステレオ)
(英15指定)

監督:ロブ・サヴェッジ
脚本:ジェド・シェパード、
   ジェマ・ハーリー、
   ロブ・サヴェッジ
編集:ブレンナ・ランゴッド
出演:ヘイリー・ビショップ、
   ジェマ・ムーア、
   ラディーナ・ドランドヴァ、
   エマ・ルイーズ・ウェッブ、
   キャロライン・ウォード、ほか

公式サイト
http://zoom-mienaisankasha.com
(全国の劇場リストもあり)

新型コロナ・ウイルスのためロックダウン中のロンドン。ヘイリー(ヘイリー・ビショップ)はWeb会議アプリの「Zoom」を使って降霊会をやるため、霊媒師のセイラン(セイラン・バクスター)を雇い、仲良しの友人5人に声を掛ける。そして暗くなってきて降霊会が始まるが、セイランの「霊には敬意を払って」という忠告を無視したメンバーたちはパーティー気分で酒まで用意して大騒ぎ。すると異変が起き始める。


60点

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 うーむ、これは一言で言うと、ハイテクを使った「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(The Blair Witch Project・1999・米)かなあ。それとも「パラノーマル・アクティビティ」(Paranormal Activity・2007・米)の方か。この類いで成功した作品「search/サーチ」(Searching・2018・米/露)かと期待したのだが、ダメな方だった。コンセプトというか設定は面白いんだけどなあ……。IMDbでは6.6点の高評価。

 1時間ほどなのに冗長。冒頭のガールズ・トークはどうでもいい内容で、聞いていられないほど。もう少しやりようがあったと思うのだが。これをカットしたら40分くらいで足りるか。というのも、やりっ放しのやり放題。結末がない。時間切れか、予算切れか、アイディア切れか、途中で終わる。そのあとメイキングがあるが、それはスタッフ&キャストのリアル版のズームで起きたラップ音のエピソードながら、ほぼ映画と同じ内容って。もう1回同じことをなぞってどうする。日本版が11分長いのはこのメイキングの長さか。

 画質はデジタルそのままを取り込んでいるらしく、高画質の絵もあればキタナイ絵もあって、統一感はなし。エンディングのクレジットになると突然画質が良くなる。黒バックに白文字しか写ってないけど。

 キャストも地味。リアルさを出すためか、予算の関係か、ほぼ有名な人とか、特に演技がうまい人とか、モデルから転身した人とか、特別感のある人がいない。つまりほとんど普通。華がない。ネットで見るには充分かもしれないが、わざわざお金を払って劇場で観るというのもなあ。

 登場人物に魅力的なキャラクターが1人もいないというのもどうなんだろう。群像劇的なことなのかもしれないが、物語を動かしていくリーダー的な人がいないと、どうにもうまく物語が転がっていかない感じ。こういう構成で良いのか? だから当然、謎解きをしようとか、解決しようとかいうことにならない。怖がってキャーキャー言っているだけ。それを見せてどうする。ヘンタイか? 人の暮らしをのぞき見する的な? 特に酷いのが、中華系というジェマのキャラクターが酷い。イライラさせられる。そして酷いのが、唯一の男性参加者テディ。確かに見た目クマみたいだが、出てこない方が良い感じ。その彼女というのがまた輪をかけて酷い。もっと魅力的なキャラを登場させて、応援したいと思わせた方が良いと思うのだが。霊媒師だか何だか、降霊会をリードしていくオバサンがまた、役に立たないいうか、頼りにならない。ネット接続が不調でつながらないというのは「あるある」で面白かったけど。

 思わせぶりでたくさんのポラロイドを撮っておきながら、それを1枚も見せないって。まあこの映画自体そういう構成になっているわけだが……。ただ、怖い部分はあった。ビックリ的だが怖いことは怖い。ネットなどで気軽に見るには良いと思うが、わざわざお金を払って劇場まで足を運ぶのはいかがなものかと。特に印象にも残らないし、見る必要はないのではないかと。

 監督はロブ・サヴェッジ。これまでは多くの短編やTVドラマを手がけていたよう。本作の脚本にも加わっているよう。こういう感じだと今後の期待は出来そうもないかなあ。

 入場時、絵はがきをもらったけど、これって……。こういう作品を見ると、いよいよ上映する作品がなくなってきたかと感じる。

 公開4日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、新型コロナの緊急事態宣言のため0時を待ってネットで確保。開場は10分前で、上の階なのでエレベーターで行くとすでに予告が始まっていた。おいおい。スクリーンはシネスコで開いており、予告、マスク注意、マナー、CMなどの途中で半暗に。さらにCM・予告が続いて映画泥棒、映倫などをはさんで、暗くなってからマナー、そしてラストにメイキングがあるから席を立たないようにという文字が出て、スクリーンの左右マスクで本編へ。

 観客層は、最初オヤジ4人、外国人中年男性1人、マダム1人。その後、オヤジとオバサンが増えて、最終的には127席に12〜13人、女性は3人ほどというころ。平日の、お昼前の2回目だとこんなものだろう。でも今後もそれほど増えるとは思えない。特別興行ということで鑑賞料金は一律1,000円ということだったけど。


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