監督:ウ・ミンホ 原作:キム・チュンシク 『実録KCIA「南山と呼ばれた男たち」』(講談社刊) 脚本:ウ・ミンホ、 イ・ジミン 撮影:コ・ラクソン 出演:イ・ビョンホン、 イ・ソンミン、 クァク・ドウォン、 イ・ヒジュン、ほか |
1976年10月26日、韓国のパク大統領(イ・ソンミン)が、大統領の次に強大な権力を持つとされる韓国中央情報部(KCIA)の部長、キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)によって射殺される。その40日前、アメリカ下院議会聴聞会で、元KCIA部長のパク・ヨンガク(クァク・ドウォン)が側近としてパク大統領の腐敗を証言していた。怒り狂うパク大統領に、ギュピョンは穏便な対処を提案し、まずパク部長が準備しているという回顧録の原稿を手に入れるとワシントンD.C.へ向かう。ところが、回想録を入手して帰国すると、青瓦台にアメリカCIAが盗聴器を仕掛けたと警護室長のクァク(イ・ヒジュン)が大騒ぎしており、KCIAの部長がわからなかったのかと詰られる。
|
怖い映画。全編を通してずっと緊張感というか、悪いことが起きそうな恐怖感が続く。怒声と暴力にあふれている。その演技と演出力が見事としか言い様がない。 最初に、実録に基づくフィクションと出る。どこまで実際の出来事に近いのかわからないが、歴史的な出来事はキッチリ取り込んでいるので、かなり近いのかもしれない。説得力があるだけに、こんなことが事件の裏では起こっていたのかと驚かされ、恐ろしくなる。こんなに欲に駆られた悪人が実際にいるんだと。「権力は腐敗する」の名言通りの結果。しかも新たなクーデター後の次の政権にも、すでに腐敗の目が引き継がれていたということで、ゾッとする。登場人物の言葉を借りれば「青瓦台は風水的に最悪」なんだそう。主は次々と失脚している。 基本、韓国の俳優さんたちは皆うまい気がする。特にヤクザ演技は素晴らしく、とにかく恐ろしい。本作もイ・ビョンホンは見事な演技。久々に見た気がするが、まったく歳を取っていない感じ。鍛えているからか。最後に見たのは「マグニフィセント・セブン」(The Magnificent Seven・2016・米/豪)だったか。パク大統領を演じたイ・ソンミンも不気味な感じが見事だったし、警護室長のクァクを演じたイ・ヒジュンも嫌らしさが良く出ていた。 監督はウ・ミンホという人で、イ・ビョンホンが出た「インサイダーズ/内部者たち」(Nae-bu-ja-deul・2015・韓)などを撮っているようだが、ボクは見ていない。作風はだいたい本作のような感じのようで、今後も要チェックかもしれない。 銃撃シーンは、血溜まりで足を滑らしたり、ジャムか不発で撃てなくなったりと、かなりリアルな感じで恐ろしい。血もどびゅっと飛ぶ。暗殺に使う銃はPPKかPPK/Sで、持ち変えるのはチーフのようなスナブノーズ・リボルバー。ほかに元部長がステンレスなのかシルバーのPPK、警護室長がオフィシャル・ポリスかヘビー・バレルのローマンあたりの4インチ・リボルバーをショルダーに入れている。ほかにフランスのシーンでマカロフとサプレッサー付きベレッタ84なども登場。 時代を反映してか、タバコも良く出てきていた。大統領を日本語と同じ「閣下(かっか)」と呼ぶのが印象に残る。 公開2日目の初回、品川の劇場は全席指定で、コロナの影響でネットも当日予約だけかと思ったら、通常通り2日前からOKだった。しかしそれに気付かず、当日の0時に予約。しかし座席はそれほど埋まっていなかった。ひと安心。その日は朝から雨。なぜか自動発券機の多くが不調で、行列が出来ていた。うむむ。ちょっと時間が掛かり、トイレに行ってきたら15分前となって開場。スクリーンはビスタのフル・サイズで開いており、観客層は若い人から中年層が多く、ほぼ男性。その後高齢者や女性も少し増えて、ゆったりシートの122席に20人くらいの入り。女性は3〜4人というところ。かつての韓流はどうしちゃったのか。硬派な映画ながら、もっと入っても良いと思うけどなあ。 CM・予告からマナーや咳エチケット、換気についてなどがあり、半暗になってCM・予告が続き、上下マスクの映画泥棒、暗くなって映倫があって、ビスタのフルで本編へ。 |