監督:羽住英一郎 原作:吉田修一『太陽は動かない』、 『森は知っている』(幻冬舎文庫刊) 脚本:林 民夫 撮影:江崎朋生 出演:藤原竜也、竹内涼真、 ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、 横田栄司、佐藤浩市、ほか |
表向きは小さなニュース配信会社のAN通信は、裏ではエージェントを世界中に配して集めた情報を売買する産業スパイ組織。そのエージェントのひとり、山下竜二(市原隼人)がブルガリアで拉致されたため、敏腕エージェントの鷹野一彦(たかのかずひこ、藤原竜也)と若手エージェントの田岡亮一(たおかりょういち、竹内涼真)を派遣する。しかし救出したものの、時間切れでエージェントの胸に埋め込まれた爆弾が爆発し、山下を失ってしまう。そこで司令係の風間武(かざまたけし、佐藤浩市)は、2人に、香港にいるはずの山下がなぜブルガリアにいたのか調査するよう伝える。
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面白かった。よくできたスパイ映画。日本ではなかなか難しいジャンルながら、ちゃんと成立させて、説得力を持って楽しませてくれる。産業スパイなら日本でも成立するかなと。しかも007張りに海外でも諜報活動=情報収集を行うなどスケールが大きい。潜入してきた北のスパイを国内で追うとか、そういうタイプではない。いわばエンタテインメント。 2つの原作をミックスさせたことで、主人公の過去も描かれ、物語に厚みが増している。子供時代は、更衣室ののぞき(!)、アルバイト、初恋などジュブナイルっぽい青春ストーリーで、なかなか良かった。高校生ということになっていたが、どうにもボクには中学生くらいにしか見えなかったが……。そして、現在と過去が対比的に同時進行するのも面白かった。しかし、盛り込み過ぎで、消化できていない部分があったような気がする。続編への布石なのか。大予算のため、連続ドラマ版も同時製作されたそうで、新型コロナの影響で劇場版の公開が1年近く延期されため、TV版はWOWOWで2020年5〜6月に放送(全6話?)されてしまったらしい。消化不良部分はそれを見ると解決されるのか。エンド・ロールの横でその映像らしきものが流れていて、それも気になった。ドラマ版、見たい。 残念だったのは、ラストの鷹野へのメッセージが片言の日本語のため、ボクにはよく聞き取れなかったこと。歳のせいか、悲しい。 銃は、ベレッタ92、グロック、P226など。ほかにもロケット・ランチャーまで登場していて、ブルガリアでロケしているからだろう、本物らしくとてもリアル。銃器特殊効果はビッグショット。 監督は、製作会社ROBOTに所属する羽住英一郎。「海猿ウミザル」(2004・日)や、TV版の「MOZU」(2014・日)、「暗殺教室」(2015・日)などの監督。どれも良かったなあ。ただ、それら素晴らしい作品と、「ワイルド7」(2011・日)や「OVER DRIVE」(2018・日)などの残念な作品もある。同じ監督とは思えない感じ。本作は当たり。 田岡の拷問が行われる廃墟のような場所とか、007に出てきたような太陽熱発電所とか、よくこんなフォトジェニックな場所を見つけたなあ、と。映画としてはこれは大事なことだと思う。そして、音響表記はなかったが、ヘリの音などはサラウンド感があり良かった。ついでに、ラストのパーティの客でソニーの盛田昭夫さんにソックリの人いなかった? 1999年に亡くなっているからいるわけないけど。 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで、割と広い感じ。最初20人くらいいて、女性は4人。最終的には407席に70人くらいの入り。10席×2列のプレミアム席にはじいじが2人。下は母に連れられた小学生くらいの男の子。男女比は6対4くらいで男性のほうが多かった。 シネマ・チャンネルの後、半暗になってCM、予告と続いて、マナーから暗くなり、まぶしい足元注意のフル・サイズ映画泥棒、映倫から本編へ。 |