監督:橋本 一 原案:韓国TVドラマ『シグナル』 (全16話) 脚本:キム・ウニ、 仁志光佑、林 弘 撮影:柳田裕男 出演:坂口健太郎、北村一輝、 吉瀬美智子、伊原剛志、 田中哲司、奈緒、ほか |
2021年、首都高で自動車事故により政府高官が死亡する。しかしその事故にはVSガス、ヘロンが使われた可能性が出てきたことから、12年前のテロ事件との関連が疑われる。そんな時、三枝健人刑事(坂口健太郎)が持っていた壊れた無線機からノイズが流れ、12年前の大山剛志刑事(北村一輝)とつながる。
|
韓国のTVドラマの日本リメイクからの劇場版スピンオフ。しかし、どうにも絵作りから構成演出まで、いかにもTVっぽく、そして古いドラマツルギーというか時代劇のような感じ。せっかくおもしろい設定なのに、残念な印象の仕上がりとなっている。日本のTV版は見ていないが、韓国版はかなり評価が高かったらしい。これを見てしまうと日本版は見たくないかも。逆にオリジナルの韓国判への興味は湧いた。やっぱり韓国はドラマ、物語を作るのがうまいからなあ。 とにかく脚本に?が付く。あまりにご都合主義の展開。現在の捜査に行き詰まると、突然壊れた無線機がつながるようになり、過去からヒントをもらえる。ファンタジーならこれで良いが、シリアスなリアル・ドラマとしてはどうなのか。思わず笑ってしまいそうになる。コメディとかで、そこに突っ込んでいたりすれば成り立ちそうだけど。勝手に過去は変えるし、めちゃくちゃ。しかも、過去を変えたのを覚えているのは主要キャストだけなんて、都合良すぎでは? 記憶も変わるんじゃないの? 特に中途半端なのが、過去の刑事、大山。死んだり生き返ったり、タメぐちだったり敬語だったり、キャラが定まっていない感じも。「半人前」なんて呼び方、ある? 時代劇? だから演じている北村一輝も迷って演技している雰囲気。とてもヘタに見える。リアリティとか存在感がまったくない。かわいそう。吉瀬美智子もそんな感じ。ヘンな命令口調とか、なしでしょ。だいたい、どの登場人物も作り物っぽいけど……。 そして、どうしてこんな低コントラストのTVっぽい画になってしまうのか。現在のカメラはとても高画質だと思うのだが、狙ってこんな絵にしているのだろうか。絵に力がない気がするけどなあ。誰もこだわらないのか。曲の付け方もなあ…… 悲しい場面にあざといほどの悲しい曲。アクションも、特にどういうことはなく…… うむむ。 脚本は、「HERO」(2014〜2015・日)シリーズや「MOZU」(2014〜2015・日)シリーズの仁志光佑と、本作がデビュー作らしい林 弘の2人。まったく問題があるようにには思えないのだが、なぜこんなことになってしまったのか。2人ともスペシャル以外TV版を手掛けていないということはある。 監督は、てっきり時代劇などを手掛けていた超ベテランの人かと思ったら、1968年生まれの53歳。ボクは見ていないが「相棒」(2003〜・日)シリーズのシーズ2以降や、大傑作「探偵はBARにいる」(2011・日)を手掛けた橋本 一。こちらも問題ないと思えるのに、どうしてこうなったのか。ただこちらもTV版は手掛けていない。実績のある優秀な人ばかりを集めても、傑作ができるとは限らないということか。 ちょっと日本のTV版が気になってきた。どんな出来だったのか。評判が良かったから劇場版が作られたのだろうし……。TV版のファンの人なら楽しめたのかもしれない。ボクはダメだった。 それと、ヘンな車のエンブレム、あれは何だったんだろう。ちょっと気になった。架空のメーカー? 銃は、P230、グロックなど。スナイパーはM4か。スライドがオープン・ストップしてマガジン・チェンジもしていたけど、トリガーに指かかってたしなあ。ガン・エフェクトはビッグショット。 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は10分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広かったが(TVの劇場版の特徴)、メインは中年層。男女比は4対6くらいで女性のほうが多かった。坂口健太郎ファンか。最終的には301席に50〜60人ほどいただろうか。この出来だとこれ以上、増えないと思うが。 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、CM・予告の途中で半暗になり、映画泥棒、映倫がはさまれて、ラストに暗くなって、マナーから、映写機の左右マスクで本編へ。 |