2021年4月4日(日)「ホムンクルス」

2021・エイベックス・ピクチャーズ・1時間55分

ビスタ・サイズ(Arri)/音響表記なし(ドルビー・デジタル?)
(日PG12指定)

監督:清水崇
原作:山本英夫『ホムンクルス』
   (小学館『ビッグスピリッツコミックス』刊)
脚本:内藤瑛亮、松久育紀、
   清水崇
撮影:福本 淳
出演:綾野 剛、成田 凌、
   岸井ゆきの、石井杏奈、
   内野聖陽、ほか

公式サイト
https://homunculus-movie.com
(全国の劇場リストもあり)

新宿の公園で自分の車に寝泊まりし、ホームレスたちと暮らしていた名越 進(なこしすすむ、綾野 剛)の前に、奇抜なファッションの研修医、伊藤 学(いとうまなぶ、成田 凌)が現れ、70万円で人体実験の実験台になってくれないかと言う。それはトレパネーションという頭蓋骨に穴を開ける手術。こうすると脳が開放され、人によっては第六感が働くようになるという。しかし名越は金に困っておらず、あっさり断わるが、「生きる理由をあげますよ」という言葉に考え直し、手術を受けることにするが……。

76点

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 面白かった。DAY 7までの1週間のお話。まさに異世界というか、怪しの世界の物語……から始まって、ラストは割と普通のミステリー的展開となるが、1時間55分たっぷり楽しめる。ただ特別料金で、誰でも1,900円均一。

 とにかく異世界観が素晴らしい。冒頭のホームレスの世界からして別世界。そこに突然医学の世界が入ってきて、そこからいきなり怪しげなトンデモな世界へ。リアリティから鮮やかにファンタジーの世界へ。ついついのせられてトンデモをたやすく受け入れてしまう。トンデモにもちゃんとリアリティがあるし。うまいなあ。しかもホラー・タッチ。これは原作が読みたくなる。

 加えて、映画的な見せかたがうまい。3D-CGを駆使し、異形の世界を驚きのビジュアルで見せてくれる。これから何が起こるんだろうとワクワクさせてくれる。もちろん原作の面白さでもあるんだろうけど。できれば、もっと異形の世界を見たかったなあ。

 そんなトンデモ話をリアルに見せてくれているもう1つの要素が役者。その役者陣がイイ。特に良いのが綾野 剛と成田 凌。みごとだなあ。成田 凌なんてほぼ二重人格みたいだし。ただ、まあ組長の内野聖陽はオーバー・アクトかな。あまり大物が来ると監督も止められなくなるのかも。それとホームレスたちもちょっとなあ。まさか本物ってことは……。

 画質的には、解像度はそれほど高くない感じだが、コントラストが高めで色も濃く、力のある絵。なかなか良い感じ。

 その監督は清水 崇。Vシネ「呪怨」(1999・日)で原案・脚本・監督を手掛け注目された人。そして連作となった「富江 tomie」(1999・日)シリーズの3作目も手掛けている。「こどもつかい」(2016・日)はどうかと思うが、劇場の関係で見なかったが最近の「犬鳴村」(2019・日)が良かったらしく、村シリーズなのか2連作目の「樹海村」(2012・日)もなかなか良かった。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広く、男女比はほぼ半々。これは、料金が高いにも関わらず、ヒット作に多いパターン。しかし限定公開のようで、どうにもよくわからない。最終的には127席に6割くらいの入り。普通の料金で拡大公開していれば、普通にヒットしたのでは。

 スクリーンはビスタ・フルで開いており、CM・予告の途中でほぼ暗くなり、映画泥棒、映倫、音の大きなドルビーシネマがあって、再びCM・予告から暗くなって本編へ。

 入場時、クリアファイルのプレゼントあり。また、エンド・クレジットの後、ラストのラストに映像あり。すぐに出て行かないように。


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