2021年4月20日(火)「AVA/エヴァ」

AVA・2020・米・1時間37分(IMDbでは96分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、平井かおり/シネスコ・サイズ(by Panavision、IMdbでは2.39、レンズ)/音響表記なし(IMDbにもなし、公式サイトでは5.1ch)
(米R指定、日PG12指定)

監督:テイト・テイラー
脚本:マシュー・ニュートン
撮影:スティーヴン・ゴールドブラッド
出演:ジェシカ・チャスティン、
   ジョン・マルコヴィッチ、
   ジーナ・デイヴィス、
   ジョアン・チェン、
   ヨアン・グリフィス、
   コモン、コリン・ファレル、ほか

公式サイト
https://klockworx-v.com/ava/
(全国の劇場リストもあり)

学生時代、フェンシングや弓などの武道系スポーツにいそしみ、学業でも優れた成績を収め卒業式では生徒総代を務めるほどの才女だったエヴァ(ジェシカ・チャスティン)は、交通事故でアルコールと薬物にはまり、それを立ち切るため軍に入隊。その後、名誉除隊するとある組織に所属し、直接の上司であるデューク(ジョン・マルコヴィッチ)の命のもと、組織でも群を抜いた敏腕殺し屋として活躍していた。しかし、あるミッションでささいなミスから正体がバレ、エヴァは命からがら脱出する。ミッションの失敗でしばらく休むように言われたエヴァは、父が亡くなっため故郷のボストンへ帰ることにする。

74点

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 強烈なバイオレンスで描く、女性過激アクション。感じで言えば、シャーリーズ・セロンの「アトミック・ブロンド」(Atomic Blonde・2017・米/独ほか)とか、ジェニファー・ローレンスの「レッド・スパロー」(Red Sparrow・2018・米)に似ている気もした。アンジェリーナ・ジョリーの「ソルト」(Salt・2010・米)、スカーレット・ヨハンソンの「LUCY ルーシー」(Lucy・2014・仏)というかアンヌ・パリローの「ニキータ」(Nikita・1990・仏/伊)か、とか、ノオミ・ラパスの「アンロック/陰謀のコード」(Unlocked・2017・チェコ/スイスほか)も入れても良いか。ジェニファー・ガーナーの「ライリー・ノース 復讐の女神」(Peppermint・2018・香/米)も、ちょっと違うが、系としては一緒かな。いっぱいある。同じことがジェシカ・ジャスティンもできると証明したというか、見事やってのけたと。そして、面白かった。このジャンルはだいたい面白い。ボクのツボなのかもしれないが。

 たいてい美人女優が、美しいだけじゃないことを証明するためシリアス・ドラマに走ったり、あえて悪役を演じたり、汚れをやったり、男のようなハード・アクションをやったりするのは1つのパターン。しかしそう思ってみると楽しめない。評価も厳しくなってしまうのではないだろうか。ボクは単純に楽しめた。ジェシカ・チャスティン、やるなあ。相当訓練したのだろう。女優魂ってヤツか。今は性別をことさら言うべきではないのかもしれないが。ただ性別関係なく、タバコはなあ……。

 主人公は三重苦の状態。プライベートでアルコールの問題を抱え、家族関係では妹や婚約者といった人間関係の問題もあり、仕事でも問題を抱えている。どれも人生を大きく左右しかねない大問題ばかり。これを乗り切るのは生半可な心構えではできない。投げ出すか、向かい合うか。この主人公に限らず、誰もが問題を抱えているのだ。うむむ。

 製作も務めたジェシカ・チャスティンはもちろん頑張っていて、ジョン・マルコヴィッチも良い味を出していて、コリン・ファレルもこすい悪党の感じが良く出ていたが、なにより驚かされたのはジーナ・デイヴィス。「偶然の旅行者」(The Accidental Tourist・1988・米)、あまり好きじゃないけど「テルマ&ルイーズ」(Thelma & Louise・1991・米/英/仏)、「カットスロート・アイランド」(Cutthroat Island・1995・仏/伊ほか)とか話題作はたくさんあるが、ボク的には「ロング・キス・グットナイト」(The Long Kiss Goodnight・1996・米)で強烈な印象が残った人。最後に見たのは「スチュアート・リトル」(Stuart Little・1999・独/米)だったか。まだ引退していなかったんだ! 「ラストエンペラー」(The Last Emperor・1987・英/伊/仏)というかTVの「ツイン・ピークス」(Twin Peaks・1990〜1991・米)のジョアン・チェンもまだ、いた!

 監督は俳優でもあるテイト・テイラー。南部の出身で、自ら脚本も手掛けた白人女性と黒人女性の友情を描いた「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(The Help・2011・米)で監督デビューしたんだそう。ボクが見たのはエミリー・ブラント主演の暗いミステリー「ガール・オン・ザ・トレイン」(The Girl on the Train・2016・米/印)。いろんなジャンルが撮れる人なんだぁ。銃を突きつけて「5つ数える」というパターンも逆手にとって面白かった。注目の監督かも。

 銃は、グロック、P30らしいオートマチックなどが登場。サウンド・サプレッサーが取り付けられるスレッデッド・バレルが取り付けられていた。その辺もリアル。

 公開5日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は12〜13分前くらいに開場。ほぼオヤジで、白髪率が高かった。最初6〜7人いて、若い男性は1人。最終的には188席に15人くらいいただろうか。女性は0。平日の初回はこんなものだろう。それでも、もっと入っても良い作品だと思うし、バイオレンスであふれているが、悩みなどもちゃん描かれていて女性が見ても楽しめると思うのだが。

 スクリーンはシネスコで開いており、明るくて見にくい予告の後マナーがあってほぼ暗くなり、予告が続き、映画泥棒のあと暗くなって、映倫から本編へ。


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