2021年6月12日(土)「Mr.ノーバディ」

NOBODY・2021・米/日・1時間32分

日本語字幕:手描き風書体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(レンズ、by Panavision、IMDbでは2.39)/ドルビーATMOS
(米R指定、日PG12指定)

監督:イリヤ・ナイシュラー
脚本:デレク・コルスタッド
撮影:パヴェウ・ポゴジェルスキ
出演:ボブ・オデンカーク、
   コニー・ニールセン、
   RZA、クリストファー・ロイド、
   アレクセイ・セレブリャコフ、ほか

公式サイト
https://www.universalpictures.jp/micro/mr-nobody
(全国の劇場リストもあり)

ハッチ(ボブ・オデンカーク)は毎朝同じ時間に起きて、だいたいゴミを出し損ね、皆の朝食を作って、ちょっとトレーニングしたりして、バスで職場の工場へと向かう。妻(コニー・ニールセン)は不動産会社の社長で、ベッドには妻との間に仕切りがあって、キスもなし。強盗が入ってきても、逆らわずに穏便に済ませるタイプ。そのため息子からも失望されてしまうありさま。そんなある日、帰宅途中のバスに酔っぱらったごろつきグループが乗り込んできて嫌がらせを始めたため、日ごろ貯めていた鬱憤が爆発、素手で全員をぶちのめしてしまう。ところがその中にロシアン・マフィア幹部の弟がいたことから、大事件へと発展する。

76点

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 面白かった。暴力満載で血まみれだが、相手は極悪人ばかりで、やられて当然のようなヤツばかりだから、痛快。スッキリ。ちょっと恐いけど。でも見て良かった。92分が意外と短くなく、充実していた感じ。やっはりこういうアクションは大きなスクリーンで、大音響で見たい。たぶんテレビ・サイズになると印象が変わる。こじんまりした小品になってしまう。

 とにかく冒頭の、繰り返される同じ冴えない毎日が、本当にうんざりするほどで、情けない。息子にまでさげすみの目で見られてしまう。といって普通の人はこれが当たり前。しかし主人公は違う。プツンと切れて隠されていた能力を発揮して大暴れ。徹底的にやっつける。スパーマンではないからやられもするが、そこも良いところ。リアル。ボロボロになりながらも徹底的に戦うと。日ごろのストレスを晴らしてくれる気がする。理屈抜きにイイ。見ている間は矛盾も疑問も感じない。うまいなあ。悪党は徹底的に悪く、恐ろしい。ここもうまい。

 主演のボブ・オデンカークという人はほとんどなじみがなかったが、主にTVで活躍してきた人らしい。「ブレイキング・バッド」に出ていたとか。脚本も書くし、監督もやるし、プロデューサーもやる。映画ではトム・ハンクスの「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(The Post・2017・米/英)に割と大きな役で出ていたらしい。80年代から活躍しているベテランに、本作の日本向け予告で、おでんを持たせるとは! ヒーロー・タイプではないが、逆にそこが本作ではピッタリ。良い味を出していた。

 監督はイリヤ・ナイシュラーというロシア出身の人。本作の前に、あの衝撃的な一人称視点アクション「ハードコア」(Hardcore Henry・2015・露/米/中)を製作・監督・脚本している。やっぱり素晴らしい才能。ハリウッドでその才能、持ち味が損なわなければいいが。「ハードコア」以降、久しぶりの映画ということになるらしい。もっと活躍して欲しい。

 銃は、M13っぽい太めバレルのリボルバー、FNXらしいオート、M36チーフ、SG551、SG552、PPK、セリフではUSP 45といっていたが9×19の刻印があったUSP、刻印の白が入れられていた1911オート、彫刻入りもあったような、S&Wの2.5インチ・ステンレス、ソウドオフの水平二連ショットガン、ボルト・アクション・ライフル、ウージー、MP7など。100連発ではなく、ちゃんとリロードもやっていた。

 公開2日目の初回、日比谷の劇場は全席指定で、当日のみの指定券販売。0時を待ってネットで確保。当日は17〜18分前に開場。観客層は中高年がメイン。若い人は少し。最初は男10人の女3人。ほぼその割合で、最終的にはプレミアム席8席×1列を含む257席のコロナ座りに8割くらいの入り。P席は0だったが、これはなかなか。あまりあれこれ考えず、たまにはただ楽しんでもイイのではないだろうか。そんな時に最適の作品。

 シネマ・チャンネルから半暗になり、黒バックの非常口(まぶしい足元注意もこういうふうにしろって)、コロナ注意、予告と続き、マナーのあとフル・サイズになって暗くなり、まぶしい白バックの足元注意、映画泥棒、映倫で、本編へ。


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