監督:永井 聡 原案:長崎尚志 脚本:長崎尚志、川原杏奈、 永井 聡 撮影:近藤哲也 出演:菅田将暉、Fukase、 高畑充希、中村獅童、 小栗 旬、ほか |
漫画家のアシスタント、山城圭吾(やましろけいご、菅田将暉)は漫画家として独立することを考えていたが、絵はうまいのに良いキャラクターが描けずデビューできずにいた。そして漫画家をやめる決心をした日、最後の仕事で「誰が見ても幸せそうな家」のスケッチをしに、夜半の住宅街へと出かける。すると大音響で音楽を流す家があり、ドアが開いていたため足を踏み入れ、家族4人がテーブルで縛られ惨殺されているところを目撃してしまう。そして犯人の顔を見てしまうが、呼んだ警察には見ていないと答え、その犯人を元にした殺人鬼キャラクターを主人公にした漫画『34(さんじゅうし)』を一気に描きあげる。そしてその漫画の連載が決定し、異例の大ヒットとなる。ところが、その漫画で描かれた殺人と同じ殺人事件が実際に起こり、刑事の真壁孝太(まかべこうた、中村獅童)と、暴走族上がりと噂される清田俊介(せいだしゅんすけ、小栗 旬)が、話を聞くため山城宅の豪華マンションを訪れる。そして「両角(もろずみ)」と名乗る殺人犯(Fukase)も、山城の前に現れる。
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恐い、恐ろしい。気持ち悪くなるほどの血まみれの連続猟奇殺人事件。しかし意外な展開を見せ、ミステリーとしても、ホラーとしてもよくできていると思う。ただスプラッター的なものが苦手な人や、心臓の弱い人は要注意かも。刃物の殺人なので、血の海。上映中、1回だけだが隣の男性が「わっ」と大きな声を上げたほど。ボクもビビった。ちゃんと音でなく、観客を脅す。うまい! ホラーなシーンも実に良くできているが、特に良いのは、冒頭というか全体を貫いている漫画家の部分。アパート住まいのアシスタント時代から、売れて豪華マンションに住むようになる先生時代まで、実にリアルに良くできている気がした。実際ボクがおじゃましたことのある大ヒット作を持つ先生のマンションは迷子になりそうだった。説得力があるから、売れない、認められない惨めさが良く伝わってくる。毎日、電車の乗客や店の客をスケッチしたりというのは、実際知り合いのイラストレーターの人がよくやっていた。そこからの異常事件。最近でもこんな一家惨殺事件が起きているからなあ…… 日常と、異常の見事な融合。観客も事件に巻き込まれた気になる。うまい。ただ気持ち良くはないし、楽しくもない。 良かったのは、犯人を演じたSEKAI NO OWARIのFukase。得体のしれない感じが実に良く出ていた。今後、役者もやって行くのだろか。ちょっと気になる。 原案は脚本も書いている長崎尚志。漫画の編集者から独立して漫画原作者、小説家、漫画プロデューサーになった人だそうで、このリアリティはこの人ゆえか。すごいなあ。『クロコーチ』とか『MASTERキートン』とかを手掛けているらしい。なるほど納得。 見事な演出、監督は永井 聡。CMディレクターから「ジャッジ!」(2013・日)で劇場長編映画の監督デビューしたと公式サイトにあった。見ていないが、コメディとのこと。その後コメディとラブ・ストーリー系のものを撮っているが見ていないのでわからない。ただ本作を見るとホラーやミステリー系に才能があるように思える。何でも撮れる器用な監督なのかもしれないが。今後の作品にも注目か。 銃は、刑事がM360Jらしいものを使用。ガン・エフェクトはビッグショット、納富貴久男。ただ、とにかく刃物のほうがずっと恐ろしい。 公開3日目のこのスクリーン初回(別スクリーンではもう少し早い回も)、新宿の劇場は15分前にくらい開場。高齢者は少なく、若い人から中年層がメイン。男女比は4対6くらいで女性が多く、若い女性が目立っていた。ほとんどスクリーンが着いた時点で残席わずかの黄色か満席の赤表示。みんな映画に飢えていたのか。最終的にはプレミアム(P)席、10席×2列を含む407席のコロナ座りはほぼすべて埋まった。P席にも5人が座った。 シネマ・チャンネルから、予告・CMと続き、半暗になって非常口のちびゴジラ、ドラえもんマスク、予告、マナーと続いて、暗くなって足元、枠付き映画泥棒の、映倫から、映写機の左右マスクで本編へ。 |