2021年7月10日(土)「唐人街探偵 東京MISSION」

唐人街探案3・2021・中・2時間18分(IMDbでは2時間16分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、鈴木真理子/シネスコ・サイズ(IMAX、Arri ALEXA、IMDbでは2.35)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、dts:Xも)
(中13指定、米R指定)(日本語吹替版もあり)

監督・脚本:チェン・スーチェン
撮影:トー・ジエ
出演:ワン・バオチャン、リウ・ハオラン、
   妻夫木 聡、トニー・ジャー、
   長澤まさみ、浅野忠信、
   三浦友和、鈴木保奈美、ほか

公式サイト
http://detectivechinatown-movie.asmik-ace.co.jp
(全国の劇場リストもあり)

世界中の探偵をランキングするアプリ「クライマスター」で上位にランキングされる中国の探偵コンビ、タン・レン(ワン・バオチャン)とチン・フォン(リウ・ハオラン)の2人は、日本の上位ランキング探偵、野田(妻夫木 聡)の招きで東京を訪れ、密室殺人の容疑がかけられているヤクザの親分、依頼人の渡辺(三浦友和)の身の潔白をはらすため捜査に乗り出す。しかしタイの上位ランキング探偵、ジャック・ジャー(トニー・ジャー)が現れてじゃまをしてくる。

74点

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 ハチャメチャ、ドタバタ、コテコテ、コメディ。それに大金をかけて、最新技術を投入して、有名俳優を多数起用して作り上げた贅沢な映画。これは映画でなければできないだろうし(今ならネットもありえるかもしれない)、お金のある中国だからできたような作品という気もした。しかもシリーズ第3作になるそうで、前2作もヒットしているからこそ日本版が実現したのだろう。とにかくそのパワーがすごい。圧倒される。

 しかも、ちゃんと探偵物としてのミステリーの部分もしっかり作られていて、コメディにありがちないい加減さがない。ジョン・ディクスン・カーの13の密室の話を盛り込むなど本格的で、トリックもちゃんと納得できるもの。うまい。それでいて東京の名所やアトラクションをちゃんと見せ、日本人という設定を活かした悲しくせつない感動の物語まで構築している。ただヘンな日本はちょっとあったけど。またギャグが過ぎて眠くなるところも……。

 ヘタに全員の見せ場を作ろうとしていないところもいい。たいていそういう映画は失敗する。トニー・ジャーなんかも贅沢な使い方。最強戦士的ではないと。日本人キャストも、お客様的ではなく、ちゃんと邦画並みに本気で取り組んでいる感じ。皆ちゃんと光っていた。中でも妻夫木 聡は素晴らしかった。明るくライトな感じは見事。中国キャストと違和感なく、ちゃんと映画に溶け込んでいた。そして良かったのが看護師役の長井短。抜群の破壊力。笑った。ただ、ボッコボコのフォローがなかったのは残念!

 ラストの全員によるダンス・シーンなんか見ていると、実に楽しそう。日本人キャストも、みんな気持ちよさそうに踊っている。いい雰囲気。すばらしい。みんな仲良くやろうよ、という感じがあふれてる。こんな世界なら平和なんだけど。

 監督はチェン・スーチェン。もとは俳優としてスタートしたらしいが、脚本・監督を務めた本作のシリーズ第1作目タイを舞台にした「僕はチャイナタウンの名探偵(未)」(唐人街探案・2015・中)が大ヒットし、一躍ヒット・メーカーに。続くニューヨークを舞台にした第2作は世界各国で公開され大ヒット、本作につながるらしい。どうやらコメディで手腕を発揮する人らしい。

 銃は、日本の刑事たちがS&WのM36チーフやM360を使用。撃たないけど。

画質は大変良く、解像度も高く、色も濃くしっかり出ていた。ハリウッド作品と比べても遜色なし。音もクリアで良く回っていた。全体に質が邦画を上回る感じ。お金のかかり方が違うということもあるのだろう。うらやましい。渋谷とかのセットも作ってるし。

 公開2日目の、字幕版初回(といってもお昼)、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。着いた時点で完売の表示。15分くらい前に開場。観客層は若い人から中高年まで幅広かったが、わりと若い人が多い印象。男女比は最初7対3くらいで圧倒的に男性が多かったが、後半女性が増えて5.5対4.5くらいに。最終的には122席が95%くらい埋まった。ということは、買っておいて来なかった人が数人いたということか。

 シネマ・チャンネルのあと半暗になって、CM・予告と続いて、マナー、黒バックの見やすい忘れもの注意から、暗くなって映写機のマスクが左右に広がり、白バックのまぶしい足元注意、フル・サイズの映画泥棒、映倫があって、本編前映像へ。

 親切心だと思うが、シリーズ3作目ということで、それまでの設定の説明が本編上映前に日本語であったが、必要だったかなあ。


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