監督:イ・ヨンジュ 脚本:イ・ヨンジュ、 ヨム・キュフン、 イ・ジェミン 撮影:イ・モゲ 出演:コン・ユ、パク・ボゴム、 チョ・ウジン、チャン・ヨンナム、 パク・ビョンウン、ほか |
韓国。極秘の先端技術研究所でテロによる爆発事件が発生。アメリカ人のアンダーソン所長が死亡する。クローンに反対するグループの犯行と見られ、研究所は韓国情報局NSIのアン部長(チョ・ウジン)に相談する。アン部長は、国家極秘プロジェクトによる人類初のクローンである実験体ソボク(パク・ボゴム)をシェルターに移すため、信頼できる元エージェントのギホン(コン・ユ)に任務を依頼する。ギホンは不治の病で余命半年から1年を宣告されており、ソボクの細胞を使えば、ギホンの病も治せるという。しかたなく仕事を受けたギホンがソボクを連れ、護衛の車と共に研究所を出ると、間もなく武装した傭兵の一団が襲撃してくる。
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なんとつらい物語。なんと悲しい物語。あまりにもせつない。それでいて、アクションもふんだんに盛り込まれ、本格的サスペンス・アクションに仕上がっている。基本SFで、奇想天外というか荒唐無稽にも思える話。もちろん遺伝子操作によるクローンというのはあり得ない話じゃないし、モラルの問題も避けずに、正面から描いている。しかもちゃんとエンターテインメントになっていて、スケールも大きく映画向きで、ラストのクライマックスの戦いは想像を超える。さすが韓国映画。こういう作品を撮れる監督、クリエイターがわんさかいる感じ。うらやましい。日本はアートの方にばかり行っている気がして……。 クローン=実験体は人間じゃないと主張する科学者たち。ジャガイモからトマトができたら、それを何と呼ぶのかと、逆に聞かれる。成長は速いが死なないらしい。でも不死身ではないから、撃たれたり刺されたりすれば死んでしまう。しかしその細胞を利用すればどんな病気も治すことができるようになるという。ただ、脳波が非常に強く、定期的に抑制剤を首筋の装置から注入しなければならず、人間を超える能力を持っているのかは不明。一方、守る側は元情報局NSIのエイジェントで、重い病で余命半年から1年の身。それもソボクの細胞を使えば治療できるようになるという。すごい設定。これだけで見たくなった。韓国映画だから頭でっかちにはしないだろうと。そのとおりだった。 銃は、NSIのエージェントがグロック、極秘研究所のセキュリティ・ガードがMP5、傭兵部隊がM4、ベレッタ92、スタンガンなどを使う。セイフ・ハウスにはグロックがあり、暗殺部隊はグロックにサプレッサーを装着して使用。装甲車両にはM2ブローニング。これをセミ・オートで撃つ。ラストに出てくるのは、たぶんワルサーPPQ。 凄い脚本を書いて、監督までしたのは、建築士から転職したという変わり種のイ・ヨンジュ。本作が監督3作目とか。2作目の「建築学概論」(ARCHITECTURE 101・2012・韓)が大ヒットし、本作につながったらしい。すばらしい才能。しかも「建築学概論」は純愛ラブ・ストーリーらしい。まったくジャンルが違う。銃撃戦もなかなかの迫力だった。なんでも撮れる人なのか。今後も注目だ。 公開3日目の初回、品川の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は10分前くらいに開場。ほとんどオバさまたちで、韓国ドラマ・ファンだろうか。記念写真を撮っているグループもいた。下は親に連れられた小学1年生くらいの小さな男の子。ここはファミリー劇場だからなあ。でも、決して子供向きではないと思うが。最終的には188席のコロナ座りに50人くらいの入り。8割は女性。 明るくてよく見えないCM・予告の途中でマスク注意、マナーのあとほぼ暗くなってさらに予告が続き、映写機のマスクが左右に広がって、フル・サイズの映画泥棒、暗くなって映倫で、本編へ。 つらい映画ゆえか、エンド・ロールになってもほとんど誰も立たなかった。流れるピアノ曲がさらに悲しさを際立たせていた。 |