2021年7月24日(土)「ダルバール 復讐人」

DARBAR・2020・印・2時間38分(IMDbでは2時間39分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、北村広子/シネスコ・サイズ(Arri、Redマークもあったような)/音響表記なし(公式サイトでは5.1ch、IMDbではドルビーATMOS)
(印UA指定、日PG12指定)

監督・脚本:A.R.ムルガダース、
撮影:サントーシュ・シヴァン
出演:ラジニカーント、
   ナヤンターラ、
   ニヴェーダ・トーマス、ほか

公式サイト
https://darbar-japan.com
(全国の劇場リストもあり)

インド政府高官の直接の要請により、犯罪が蔓延するムンバイ市の市警察長官に就任したアンディティヤ・アルナーチャラム(ラジニカーント)は、愛娘のヴァッリ(ニヴェーダ・トーマス)とともに赴任すると、自ら直接捜査に当たり、強引なやり方で次々と犯罪者を葬っていく。そして州副知事の娘の誘拐事件を利用し、麻薬組織を一気に壊滅しようとするが、逮捕者の中に組織のボスの息子がいたことから、事態は思わぬ方向へ展開していくことになる。

71点

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 荒唐無稽の残酷アクション。とにかく長く、途中で眠くなった。冗長な部分が多すぎで、水増しされたような印象。警察署長(市警察のようなのに署長ではなく長官という肩書きだが)が、自ら現場へ出て捜査をし、銃を手に悪人を殺しまくる。法律なんて関係なし。人権委員会も出てくるが無視。平気で役人をビンタする。まるで狂人か殺人鬼のような主人公でも、愛娘の復讐のためなら許されるということなんだろうか。インドという国が良くわからなくなる。まったく付いて行けない。

 それでも、アクション・シーンは手間とお金を掛けてじっくり作り込まれていて、お約束の歌とダンス・シーンもふんだんに盛り込まれ、そこは見る価値があるかなと。意味はあまりないと思うけど。それと美女。ほぼストーリーに関係なし。ほかは特に……。

 まず最初に「スーパー・スター、ラジニカーント」と出るところから付いていけない感じはある。ファンの人にとっては「待ってました!!」なんだろうけど。なんでも70歳だそうで、それを考えるとダンス・シーンなどで動きがコンパクトになっていることや、アクション・シーンで相手のほうが勝手に投げられて行くのも納得できる。それでも果敢にアクションをこなしているし、トレーニング・シーンでは筋肉もりもりの年齢を感じさせない肉体美も披露している。さすがスーパー・スター! まさかCG、じゃないよねえ。

 歌とダンス・シーンもそうだが、インド映画というかラジニカーント映画お約束の、いきなりスローモーションが多すぎるし(女性の長い髪が風になびくイメージ)、カッコつけのきめカットとかが日本人的には気になる。悪役もそれが決まるまで待っている。かかって行けよ! やられ役も、撃たれてすぐ倒れず、一瞬決めポーズを取るから、タイミングがズレたように見えるし……。違和感あるなあ。

 IMDbによると、この映画はヒンディ語版とタミル語版があるようで、日本の上映はタミル語版。最初にその旨の字幕が出るが、映画自体はヒンディ語で撮られているのか、口がまったくあっていない。すべて吹替。声のイメージも日本人の感覚とは合わないようで、極端にいえば男性が女性の声でしゃべっているとか、老人が子供の声でしゃべっているような感じ。見ている内に、やがてあまり気にならなくはなってくるが、最後まで違和感は消えなかった。

 音楽もベタ付けに近く、常に音が鳴っている。しかも大きくて割れ気味。疲れるし、不快の一歩手前。うるさい。この辺の演出も日本人的には合わないかなあ。

 冒頭にアルコールとタバコの注意が出る。そしてタバコを吸っいるシーンとか、酒を飲んでいるシーンになると、いちいち左下に健康注意の注意マークが出るのも気になった。殺人シーンや、血が噴くようなシーン、殴りあう暴力シーンには、何の注意も出ないのに。とはいえ、傷口らしい部分には毎回ボカシが入っていた。日本的にはむしろ嫌らしい感じだったが……。

 銃は、ボロボロでハゲハゲのベレッタ92、ハイパワー、M97らしいポンプ・アクションのソウド・オフ・ショットガン、MP5K、MP5、AKなど。またベレッタ92のシルエットの、フロント・セレイション入りでディテールのちょっと違う銃も使われていたが、あれはプロップガンだったのか、それともトイガンだったのか。わりと新品ぽかった。

 公開9日目の初回、といっても午後からだが、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は10分くらい前に開場したが、最上階のスクリーンで、移動するだけでも時間が掛かるので、もうちょっと早く開けて欲しいなあ。たどり着いた時には、すでにCM・予告が始まっていた。観客層はほぼ中高年、オヤジが多い感じで、女性は3割ほど。全体に服装の感じなど、いつもの映画はちょっと人種が違う感じで、ちょっと個性的というか変わった感じの人が多かった印象。最終的には115席のコロナ座りはほぼすべて埋まった。まあキャパが小さいからなあ。

 スクリーンはシネスコで開いており、CM・予告の途中でほぼ暗くなり、枠付きの映画泥棒、映倫、ドルビー・シネマ(音が大きい以外、違いがわからなかった)から予告が続き、黒バックのマスク着用があって、映写機のマスクが左右に広がり、暗くなってフル・サイズでマナーのあと本編へ。


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