監督・脚本・製作:トーマス・ベズーチャ 原作:ラリー・ワトソン 『LET HIM GO』 撮影:ガイ・ゴッドフリー 出演:ダイアン・レイン、 ケビン・コスナー(製作総指揮)、 ケイリー・カーター、 レスリー・マンヴィル、 ジェフリー・ドノヴァン、ほか |
1963年アメリカ、モンタナ州の田舎町の郊外で、元保安官のジョージ(ケビン・コスナー)、妻のマーガレット(ダイアン・レイン)、息子のジョームズ(ライアン・ブルース)、とその妻のローナ(ケイリー・カーター)と幼い孫のジミーと暮らすブラックリッジ一家。しかし、ある日ジェームズが落馬して死亡してしまう。3年後、ローナはドニー・ウィーボーイ(ウィメル・ブリテン)という男と再婚、孫を連れて家を出る。しばらくして、マーガレットは偶然ドニーが路上で孫とローナを叩くのを目撃する。そこで、ケーキを作って届ける口実でアパートに向かうと、誰もおらず、ノースダコタの実家へ帰ったという。マーガレットはジミーを連れ戻し一緒に暮らす決心をし、ジョージに話す。
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ロード・ムービーのようでもあり、西部劇のようでもあった。決してハッピー・エンドではないが、心にじわりと残る作品。必要な時、勇気を持ってこういう行動に出られるかどうか。突きつけられたような気がする。そして、アメリカ的には、やられたままでいるのは憶病者のやることで、なめられる。必ずやり返さなければならないということか。日本的には別な解決方法ということになる気がする。この結末からアメリカでは評価が低めなのではないだろうか。ボクはかなり感動した。悪くないと思う。 ダイアン・レインもケビン・コスナーも、さすがベテラン、とても良い感じ。特にケビン・コスナーはもう年齢的にもヒーローという感じではないが、本作では製作総指揮も務めていて、いい味を出している。元保安官だが、ちっとも強くないところがイイ。2人は「マン・オブ・スティール」(Man of Steel・2013・米/英)シリーズでも夫婦役を演じている。 「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」(Burn Notice・2007〜2013・米)のジェフリー・ドノヴァンは最近悪役が多い感じ。つい最近も「ファイナル・プラン」(Honest Thief・2020・米)で悪役をやっていた。コミカルな感じのある人なのに、なかなか恐い。さすが役者。そして一番強烈だったのは偉大なママを演じたレスリー・マンヴィル。実に恐い。「マレフィセント」(Maleficent・2014・米/英)シリーズで、3人の妖精の1人、フリットルを演じていたそう。まったく雰囲気が違う。素晴らしい。本作の方がインパクトがある分、印象に残りスゴく感じる。悪役が向いているのでは。 監督・脚本はトーマス・ベズーチャ。「幸せのポートレート」(The Family Stone・2005・米)や「恋するモンテカルロ(未)」(Monte Carlo・2011・ハンガリー/米/仏)の脚本・監督で知られる人。「ガーンジー島の読書会の秘密」(The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society・2018・英/仏/英)の脚本も書いている。日本ではアート系の小劇場で公開。どれも見ていないので何ともだが、本作はそれらよりはエンタテインメント寄りか。でも公開はアート系の小劇場だったが。いずれにしても、コメディもミステリーも、スリラーまでイケるということか。 銃は、保安官が現役時代に使っていた銃として4インチのミリタリー&ポリスらしいリボルバー(官給品と呼んでいる)、農家の家に置いてあるのが有鶏頭の水平二連ショットガン。 「失敗だらけのリスト、それが人生だ」とか「うまくいかなかったら人生の教訓を得る」とか、心に響く言葉も多い。しかも教訓臭くない。 公開公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前に確保。当日は20分前くらいに開場。観客はほぼ中高年。ケビン・コスナーとダイアン・レインだからなあ。最初13人いて、女性は4人。おおむねその比率で、最終的に224席のコロナ座りでほぼ埋まった。 スクリーンはビスタで開いており、シネマ・チャンネルのあと半暗になって(まだ新聞読んでるオヤジがいたけど)、非常口の注意やドラえもんマナーから予告が続き、映画のようなクォリティーのネットフリックス広告、スクリーンのマスクが左右に広がりシネスコになって、まぶしい足元注意、フルの映画泥棒、映倫で本編へ。 |