2021年8月21日(土)「妖怪大戦争 ガーディアンズ」

東宝/KADOKAWA/テレビ東京/OLM/ひかりTV/藤商事・1時間58分

シネスコ・サイズ(表記なし)/ドルビー・サラウンド7.1
(一部日本語字幕付き上映もあり、『HELLO! MOVIE』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド・聴覚障害者用日本語字幕付き)

監督:三池崇史
脚本:渡辺雄介
撮影:山本英夫
出演:寺田 心、杉咲 花、
   猪股怜生、大森南朋、
   赤楚衛二、北村一輝、
   大沢たかお、ほか

公式サイト
https://movies.kadokawa.co.jp/yokai/
(全国の劇場リストもあり)

太古の昔、日本の東部分と西部分がつながって日本列島ができた時、かつて海だった部分はフォッサマグナ(大地溝帯)となったが、多くの海洋生物がそこに取り残された。やがてその生物たちの海に帰りたいという思いが怨念となり、ついには塊となって地上に現れ、妖怪獣として海を目指してあたりを破壊しながら前進を始めた。人間にはそれは見えなかったが、それを知った妖怪たちは、止めなければ自分たちも命を失いかねなかった。しかし日本の妖怪は武器を持たないものが多く、ほとんど戦うことができない。そこでかつて最も強い鬼たちを退治した人間の武人、妖怪ハンターの渡辺綱(わたなべつな、北村一輝)の子孫の力を借りることにする。

70点

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 うーむ、これは……妖怪大戦争はなく、呪術大戦というか、鎮魂歌歌合戦というか…… 妖怪はあまり関係なく、人間と怨念の対決という感じかなあ。看板に偽りアリ的な印象。しかも怨念の動機がこじつけ的で希薄。ちっとも納得できない。笑えるポイントはたくさんあるものの、いまひとつ気持ちよく笑えない。感動的な部分は、狙いが見え透いてしまうようで、何とも……。まあ言ってしまえば、結構退屈。長いよ、特に歌が。これはミュージカルか? ほかのスクリーンが軒並み残席わずかにも関わらず、本作だけが空席ありの表示になっている理由はこれか。子供の観客も少なかったし。

 期待されているところをあえて外すのがこの監督の持ち味なのかもしれないが、それで面白くなるならいいけれど、たいていは外したままで、観客はおいてきぼりの引きまくり。期待される妖怪の戦いはないし(武器を持っていないものも多いし、小豆を磨ぐだけとか何も出来ないものも多いと説明されている)、何より主人公がほぼ何もしていない。期待される活躍はない。当然、期待される成長もなし。ただ泣き叫んでいるだけ。やっぱりあの幼さで長剣を振り回して大人相手に立ち回りをやるのは無理なのか。天才子役の寺田 心クンが本作ではまったく光っていない。見ていてかわいそうな気さえするほど。前作では神木隆之介クンが良かったのに……。

 だいたい狐の妖怪なのに、狐のお面を被っているって、何? コスプレ? 顔にペイントしているだけの妖怪もなあ…… タヌキの妖怪大将なんて燃えるバイクに乗っていて、どうみてもニコラス・ケイジの「ゴーストライダー」(Ghost Rider・2007・米/豪)だし…… 寒いから近くに来るなと嫌われる大島優子演じる雪女と、ただ小豆を磨ぐだけの岡村隆史演じる小豆洗いには笑ったけど。前作では、川姫を演じた高橋真唯が妙に色っぽくて良かったのに、本作では光ってるキャラがいない。たぶんポジション的には杉咲 花なんだろうけど……。


 割りと良い感じがしたのは、メイクはともかく、天狗の三浦貴大と天邪鬼の赤楚衛二。天邪鬼は最初てっきりお笑いコンビ、イグジットの兼近だと思っていたのだが、公式サイトで赤楚衛二だと。調べてみると、この人はモデルもやっているだけあって、かなり美形のイケメン。仮面ライダーもやっているらしい。こんな説得力あるチャラいキャラを演じるとは。素晴らしい。

 脚本は渡辺雄介。残念な「ジョーカー・ゲーム」(2014・日)とか「ガッチャマン」(2013・日)を書いた人。面白かった「GANTZ」(2010・日)とか「ザ・ファブル」(2019・日)も書いているけど……。

 公開9日目の初回、大きいスクリーンでやっている劇場がなく、探しまくった末、日比谷の劇場がどうにかいけるかと2日前にネットで確保。当日は15分ほど前に開場。観客層は幼稚園くらいの子供から中高年までいたものの、子供は3人のみで、あとは大人。男女比は半々くらいで、なぜか中年女性の2人組が3組くらいに、中年夫婦が3組くらい、あとは中高年男性がポツポツと。最終的には98席に17〜18人の入り。でしょうね。ダメだこりゃ。

 シネマ・チャンネルの後、予告、飲食OKから半暗になって、さらに予告が続き、マナー、忘れもの注意、暗くなって、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズのまぶしい足元注意、フル・サイズの迫力の映画泥棒、映倫から本編へ。


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