監督・製作・脚本:M・ナイト・シャマラン 原作:ピエール=オスカル・レヴィ、 フレデリック・ペーターズ "Sandcastle"(グラフィック・ノベル) 撮影:マイケル・ジオラキス 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、 ヴッキー・クリープス、 ルーファス・シーウェル、 アレックイ・ウルフ、ほか |
離婚間近の父ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)、癌に冒されている母プリスカ(ヴッキー・クリープス)、11歳の長女マドックス(アレクサ・スウィントン)、6歳の長男トレント(ノーラン・リバー)のキャパ一家は、最後の家族旅行として製薬会社が運営する南国のリゾート・ホテル「アナミカ・リゾート」へとやって来る。そして担当客室係のマドリッド(フランチェスカ・イーストウッド)のすすめで、プライベート・ビーチへ行くことにする。ホテルのバンで、医師一家の3人、患者と看護師のカップルとともにビーチへ送ってもらうと、先客として有名なラッパーのミッド・サイズ・セダン(アーロン・ピエール)が1人、ぼう然とした様子でへたり込んでおり、何の反応も示さない。そして岩場の水路に全裸女性の水死体が流れ着くが、それは行方不明となったミッド・サイズ・セダンの連れだった。さらに、全員異常な早さで老化が進むことが判明する。そこでそのビーチから出ようとすると、だれもが気絶してしまうのだった。
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気持ちの悪い映画。やりっぱなしじゃなく、ちゃんと納得できるような結末で事件は解決するのに、なんだかスッキリしない。しかも、こんなことがあったという断片的なもので、何が言いたかったのかよくわからない。家族愛でも、男女の愛でも、団結する力でもなく、信じあうことでもなく、最後まで諦めないことでもない。何だったんだろう。きわめて短編的な感じで、出来が悪いというのではなく、気持ちが悪い。 予告で使われていた息子と母が再会する「マヌケ」に思えるシーンは、本編では使われていなかった。良かった。予告ではとにかくビーチでは早く歳を取るという点と逃げ出せないという点だけにフォーカスしていたが、本編では歳を取ることへの恐怖とパニックがじっくり描かれ、それが気持ち悪さにつながっている。 気になるところもあって、1日で一生が進むとすると、最初からいたラッパーのミッド・サイズ・セダンはなぜ歳を取っていないのか、もしくは老衰で死んでいないのか。変わったところは、ほかの家族と会った時だけ鼻血が出てくるというくらい。何だったんだろう。そして、大人になった子どもたちは、何の教育も受けていないわけだから、頭の中もビーチに入った時のままの子供の精神状態のはずなのに、しっかり大人になっている。大自然の不思議、神の悪戯というヤツか。 監督が監督なので、見ないでも良いかなあと思ったのだが、万が一、「シックス・センス」(The Sixth Sense・1999・米)みたいに面白かったらと、見てしまった。しかしそれ以降、面白いと思った作品はないなあ。今回も監督はヒッチコックばりに本編に登場しているが、チラッと出ている程度ではなく、かなり重要な役。出過ぎじゃないかなあ。役者にやらせろよ。本編開始前、監督のメッセージというのが流れたが、特に必要はなかったのかなと。 良かったのはオープニングとエンディングのクレジット文字の見せ方。アルファベットの文字がゴシック系のものから明朝系の文字へと変化していく。歳を取るオールドに引っ掛けたものだろう。ちょっとソール・バス的な演出。担当したのはフィルモグラフというところで、デザイナーはアーロン・ベッカーという人。多くのタイトルを手掛けている。この人は要チェックかも。 公開3日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は17〜18分前に開場。観客は若い人から中高年まで幅広かったが、多かったのは若い人か。上映時間も関係しているのかも。大きいスクリーンだったが、着いた時点で赤色表示の満席。男女比は最初6対4くらいで男性が多かったものの、後半女性が増えて5.5対4.5くらいに。最終的に407席のコロナ座りはほぼ満席。10席×2列のプレミアム席にも9人、つまりほぼ満席。すごいなあ。若い人は懲りていないのかも。ボクには今後増えるとは思えないが、はたして。 10分ほど前からシネマ・チャンネルが始まり、飲食はNGと。その後飲食OKになって半暗になり、予告が続き、マナー、忘れもの注意と続いて暗くなり、まぶしい足元注意、フルの映画泥棒、映倫からシャマランのメッセージときて、本編へ。 |