2021年9月19日(日)「レミニセンス」

REMINISCENCE・2021・米・1時間56分

日本語字幕:手描き風書体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(表記無し、IMDbでは2.39、Sony CineAlta)/ドルビー(IMDbではドルビーATMOS、ドルビー・デジタル、dts:Xも)
(米PG-13指定、日PG12指定)

監督・製作・脚本:リサ・ジョイ
製作:ジョナサン・ノーラン
撮影:ポール・キャメロン
出演:ヒュー・ジャックマン、
   レベッカ・ファーガソン、
   タンディ・ニュートン、
   クリフ・カーティス、
   ダニエル・ウー、ほか

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/reminiscence-movie/
(全国の劇場リストもあり)

未来世界、アメリカ。水没しかけた町に住む元軍人のニック・バニスター(ヒュー・ジャックマン)は、相棒のワッツ(タンディ・ニュートン)とバニスター&アソシエイツという会社を設立し、人の記憶を再生/記録する仕事で生計を立てていた。しかしニックは人が良く、戦友の料金をタダにしてやったりするためちっとも儲かっていない。そんなある日、鍵をなくしたというドレス姿の美女メイ(レベッカ・ファーガソ)が現れ、その日の記憶をさかのぼることに。すると、彼女がクラブの歌手で、楽屋で鍵を落としたことが判明する。ところが、彼女がイヤリングを忘れていったため、ニックはクラブへ届けに行くことにする。

76点

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 良かった。ちょっと泣きそうになった。ただIMDbでの評価は厳しく5.9点の評価。ボクはこのSF世界の奇譚を堪能したが、エンディングは評価が分かれるというか、好き嫌いがあるだろうなという感じ。アメリカだと厳しいかな。デート・ムービーには向かないかも。

 予告では、記憶に潜入する探偵が主人公で、てっきり女が目撃者で、殺人事件とかを解決するSFだと思っていた。ところが、予告はあえてのミスリーディングだったようで、記憶を再生する「記憶屋」と謎の女の、かなり強烈なラブ・ストーリーだった。記憶か現実かがわかりにくくなっていて、そこに重層する犯罪が絡み、恋愛感情も二重になっているなど、なかなか複雑。たぶん根幹をなすのは、主人公とヒロインの会話「物語を聞かせて。ハッピー・エンドの」「物語はいつも最後は悲しい。特に物語がハッピーだった場合は」「じゃ、ハッピーの最中に終わる物語を」ということなのではないかと。オルフェウス(オルフェ)かあ。振り返るのは過去なのか。

 若干、雰囲気がマット・デイモンとエミリー・ブラントの「アジャストメント」(The Adjustment Bureau・2011・米)にも似ていたから、印象としてはSFの短編が原作?という感じだったが、違った。監督でもあるリサ・ジョイのオリジナル脚本だった。素晴らしい才能。小説としても面白そうだが、仕掛けはやはり映画向きで、実に良くできている。素晴らしい。監督の手腕も見事だと思うが、ただ1つ、銃撃戦だけは、迫力とか緊迫感が足りない感じ。恐くない。ちょっと撃ちあいゴッコ的な雰囲気が……。それ以外は素晴らしいので、もったいない。

 こういう作品の成否は、たぶん観客がヒロインに惚れるかどうか、恋に落ちるかどうかではないかと。「アジャストメント」のエミリー・ブラントにも惚れたが、本作のレベッカ・ファーガソンにも惚れてまうやろう! これで半分以上は成功ではないかと。実に美人で、歌もうまく、魅力的で、しかし調べれば調べるほど悪党であることがわかってくるという絶妙の構成。しかも主人公の相棒のワッツがまた強くて、ウィットもあって、魅力的。うまいなあ!!

 レミニセンスとは、この映画では「記憶に潜入」ということになっているようだが、一般的には思い出話ととか回顧録のことなんだそう(心理学用語もある)。そうだとすると、ラストの記録チップに「物語」というタイトルが付いているのも納得できる気がする。

 監督のリサ・ジョイは、プロデューサーでもあり、脚本家でもあるらしい。TVの傑作シリーズ「バーン・ノーティス元スパイの逆襲」(Burn Notice・2007〜2013・米)や「ウエストワールド」(Westworld・2016〜・米)のプロデュースと脚本を手がけている。そこで認められ、本作につながったらしい。「ウエストワールド」にはタンディ・ニュートンも出ている。

 銃は、グロック、ベレッタ92、水平二連のソードオフ・ショットガン、ギャングのボスがペアのパール・グリップ付きベレッタ92、ワッツがワルサーPPQっぽいオート(XDm?)、2〜3インチくらいの6連発リボルバー、スプリングフィールドのXDmなど。

 オープニング・クレジットは、文字が上下にのびて消えていく見せ方で、これもオシャレだった。担当したのはBONDというところのよう。ロール前のエンディングでも使われていた。

 公開3日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、2日+α前にネットで確保。当日はほとんどのスクリーンが残席わずかの表示。結構、混んでいる。といってもコロナ座りなので半分ほどな訳だが。15分前くらいに開場。スクリーンはビスタで開いており、観客層は若い人から中高年まで幅広く、男女比は半々くらい。だいたい女性のほうが若い感じ。最終的には157席のコロナ座りに9割くらいの入り。もっと大きなスクリーンでやって欲しいし、この出来ならもっと入っても良いと思うし、強烈なラブ・ストーリーなんだからもっと女性が入ってもいいと思うけど、アクション・ミステリーの探偵モノという感じで宣伝しているからなあ……。

 10分前くらいからCM・予告が始まって、途中でほぼ暗になり、上下マスクの映画泥棒、映倫をはさんで予告が続き、マスク着用があって暗くなり、マナーのあと、映写機の上下マスクで本編へ。まさかレンズを使わないシネスコ・サイズ? ちょっとガッカリ。


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