2021年9月25日(土)「カラミティ」

CALAMITY, UNE ENFANCE DE MARTHA JANE CANNARY・2020・仏/デンマーク・1時間22分(IMDbでは1時間25分)

日本語吹替(オリジナルは仏語)/シネスコ・サイズ(表記無し、IMDbでは2.39)/音響表記無し(IMDbにもなし)
(指定なし)(字幕版もあり)

監督・脚本・アニメーター・ストーリーボード:
   レミ・シャイエ
脚本:ファブリス・ドゥ・コスティル、
   サンドラ・トセロ
声の出演:福山あさき、畠山航輔
   杉田智和、恵山渉一、
   林 瑞貴、ほか

公式サイト
https://calamity.info
(全国の劇場リストもあり)

西部開拓時代のアメリカ。西海岸のオレゴンを目指しオレゴン・トレイルを進む開拓者たちの幌馬車隊。その中に母を失い、父ロバート(声:常盤昌平)、12歳の長女マーサ・ジェーン(声:福山あさき)、次女レナ(声:松永あかね)、末っ子の長男エリージャ(声:木野日菜)のジョナス一家もいた。マーサと年齢の近い幌馬車隊の隊長アブラハム(声:杉田智和)の息子イーサン(声:畠山航輔)とは相性が悪くケンカばかりの毎日。ところがある日、馬が暴れてロバートが落馬、骨折してしまい、マーサ・ジェーンが家族をまとめ、引っ張っていかなければならなくなる。

74点

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 吹替版と字幕版があったが、いつもは字幕版派ながら、さすがに西部劇でアメリカの話でフランス語というのは違和感がありすぎで、どうせ英語でないのなら日本語吹替の方が入ってくるかと選択。絵も美しく、西部劇らしい大冒険物語で、楽しめた。西部開拓時代は12歳の少女にも大人になることを求めた時代だったという感慨も。この時代に生まれていたら、きっと生きていけなかった。

 絵は美しいが、黒い線を使わない絵は、絵の締まりという点で不利で、全体にメリハリが浅いというか、目立たせたいものも埋もれてしまう傾向が。人物もいまひとつ浮いてこない。これは最近のドラえもんにもそんな傾向があり、「おそ松さん」にも似た傾向が見られる。つまり世界的な流行とか、業界的流行なのだろうか。好みの問題だとしたら、ボクはあまり好きじゃない。力強さが薄い気がする。風景の絵なんかはこれで良いと思うけど……。

 そして、西部劇という設定のせいなのか、基本、登場人物に良い人はあまりいない。多くは基本いじわるか小悪党。子供でも、大人でも、虚勢を張り、責任を逃れ、人をだまそうとし、嘘をつき、盗もうとする。そんなキャラクターばかり。主人公も結構悪ガキ。当時の開拓者はそんな人ばかりだったのか。そういう時代だったのか。こういう展開だとしても、悪党が出てきても、大半は善人で、良い人たちの多い世界観でも描けたのではないだろうか。そんな気がした。

 監督・脚本・アニメーター・ストーリーボードのレミ・シャイエという人は、1968年のフランス生まれ。公式サイトによると、アート系から映画に関わるようになり「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」(Tout en haut du monde・2015・仏/デンマークほか)で監督デビューし、複数の映画祭で高い評価を得て本作につながったそう。初作品から5年も開いたのは、ちょっと気になる。見ていないが「ロング・ウェイ・ノース」も少女の冒険だそうで、次作はどうなるのだろう。

 銃は、パーカッションらしい長物と、壁に飾られたウインチェスターの1866イエローボーイらしいライフル。

 公開3日目の初回、といっても品川の劇場は1日2回上映の早い方でも午後スタートだが、全席指定で、2日前にネットで確保。当日は12〜13分前に開場。観客層はほぼ中高年で、1組だけ母親と小学校低学年らしい男の子のファミリーもいたものの、あとはオヤジ。若い男性は1人はいた。最終的には117席のコロナ座りに20人くらいの入り。海外アニメは大人向けアート系のイメージがあるので、こうなるのかも。ちょっと少ないなあ。

 スクリーンはビスタ・フルで開いており、7,8分前から明るいままCM・予告が始まり、よく見えなかったが途中で半暗になり、見えるようになって上下マスクの映画泥棒から暗くなって、映倫と続いて、映写機の上下マスクで本編へ。

 入場者プレゼントでポストカードをもらった。メールの時代に、これは……小さな額縁に入れて飾る用かな。


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