2021年9月26日(日)「クーリエ:最高機密の運び屋」

THE COURIER・2020・英/米・1時間52分

日本語字幕:丸ゴシック体下、チオキ真理/シネスコ・サイズ(表記無し、IMDbでは2.39、Arri ALEXA)/音響表記無し(IMDbにも無し)
(英12A指定、米PG-13指定)

監督・製作総指揮:ドミニク・クック
製作総指揮:ベネディクト・カンバーバッチ
脚本・製作総指揮:トム・オコナー
撮影:ショーン・ボビット
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、
   メラーブ・ニニッゼ、
   レイチェル・ブロズナハン、
   ジェシー・バックリー、ほか

公式サイト
https://www.courier-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1960年、ソ連、モスクワ。ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のオレグ・ペコンフスキー大佐(メラーブ・ニニッゼ)は、最高指導者のフルシチョフが衝動的で、核戦争も辞さない攻撃的な人物であることに危機感を覚え、世界の平和のためと決心して、アメリカ大使館に情報を渡す提案をする。アメリカのCIAは適切な人材がいなかったことからイギリスのMI6に相談し、できるだけ目立たない普通のセールスマンを情報の運び屋として使うことにし、敏腕商社マンのグレヴィル・ウイン(ベネディクト・カンバーバッチ)に白羽の矢を立てる。

75点

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 実話に基づく物語と最初に出る。とにかく恐い映画。キューバ危機の背景にあったスパイの話。1人はソ連の軍人で、1人はイギリスの普通のビジネスマン。たとえ世界の平和を願っていても、国を裏切った報いは非常に厳しいもので、いわばシロートであるビジネスマンも、ちょっと関わっただけで(ここではかなり深く関わっているが)恐ろしい結末が待っていると。当時のソ連の独裁者のような指導者は本当に核戦争を起こしかねなかったと。一般人はわからなくても、近くにいた人間にはそれがよくわかった。止めるにはこうするしかなかった。誰かがやらなければならなかった。そして、主人公が加担せざるを得ない状況に追い込まれるのも恐ろしい。核戦争が起きてから、あの時止めることが出来たのにしなかったと後悔しても良いのかとCIAに迫られる。つらいなあ。

 今のロシアは当時のソ連ほど貧しくはないと思うが、なんとなく状況が似ているものがあるような気がする。独裁状態に近くないか。暗殺事件や、国境侵犯、軍隊の派遣などが起こっていないか。逆らったり批判したりしたら、即刻逮捕される。そしてこんな運命がまっているのかもしれない。中国や北朝鮮だけでなく、他にも恐い国が……。お互いを監視しあう社会…… 本当かと疑ってしまうような恐い世界。

 キューバ危機の時代で、車や女性のファッション、髪形に時代感が良く出ているが、なにより多くの人がタバコをスパスパ吸いまくっている。部屋の中がかすむくらいの煙。時代だなあ。

 冷戦時代を描いた似たスパイ映画ではスピルバーグ監督の「ブリッジ・オブ・スパイ」(Bridge of Spies・2015・米/独/印)もあった。リアル路線のスパイだと古くは「寒い国から帰ったスパイ」(The Spy Who Came in from the Cold・1965・英)というモノクロ映画もあった。そしてソ連脱出ものもよく作られている。それらの要素も本作には含まれている。

 製作総指揮も兼ねた主演のベネディクト・カンバーバッチは、全裸で水を浴びせられるなどの体当たり演技のほか、激ヤセして過酷な収容所暮らしを体現していたが、本当に減量したのではないだろうか。骨が浮いて、そら恐ろしいことになっている。たぶんデジタルではないと思う。「マシニンスト」(The Machinist・2004・西/仏/英/米)のクリスチャン・ベイルみたい。役者魂! 製作総指揮までやっているから、よほど思い入れのある作品だったのだろう。

 銃は、処刑する時にたぶんトカレフを使っていたのではないか。一瞬なので、オートマチックかどうかも見逃してしまった。ただ時代的にはトカレフだろう。いきなり1発、バン。恐い。

 エンディングで実際の映像が出る。本当の話だったんだと、改めて思い知らされる。1990年まで存命だったらしい。一方、情報を流したペンコフスキー大佐は処刑された。ああ、やっはり恐い。大佐は覚悟していたらしいが、凄いなあと。確かに戦争は回避された。ちなみにカメラはスパイ用の定番、ミノックスだったと思う。

 公開4日目の2回目、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日はちょっと早めの25〜26分前に開場。ほぼ全スクリーンで、残席わずかの黄色表示。唯一、空席ありのノーマル表示が「アーヤと魔女」。アニメなのに……。まあ公開からかなり日も経っているし、しようがないか。むしろまだやっていることが驚きか。観客層は中高年がメインで、それも高寄り。女性は15人中1人くらいで、やはり年齢高め。最終的には257席のコロナ座りはほぼ満席に近い95%くらいの入り。素晴らしい。女性も1/3くらいに増えた。

 CM・予告の途中で飲食OKと出て半暗になり、東京国際映画祭のCMなどはさんで、マナーから忘れもの注意、映写機のマスクが左右に広がってシネスコ・フルになり、まぶしい足元注意の、フルの映画泥棒、映倫と続いて、本編へ。


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