2021年10月2日(土)「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」

THE CONJURING: THE DEVIL MADE ME DO IT・2021・米/英・1時間52分

日本語字幕:手描き風書体下、佐藤真紀/シネスコ・サイズ(by Panavision、IMAX対応、IMDbでは2.39、Arri, Panavision)/ドルビー(IMDbではドルビーATMOS、ドルビー・デジタル、dts:X、IMAX 6-Track)
(米R指定、英18指定、日R15+指定)(4D上映もあり)

監督:マイケル・チャベス
脚本:デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
撮影:マイケル・バージェス
出演:パトリック・ウィルソン、
   ベラ・ファーミガ、
   ルアイリ・オコナー、
   ジョン・ノーブル、ほか

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-muzai/
(情報少。全国の劇場リストもあり)

1981年7月18日、アメリカ、コネチカット州ブルックフィールド。8歳の少年デヴィッド(ジュリアン・ヒリヤード)に取り憑いた悪魔を取り払うため、悪魔払いの儀式を手伝っていたエド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ベラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻は、神父がやって来るのが遅れ、悪魔の反撃に遭う。ようやくやって来た神父は飛んできた皿で負傷し、エドは心筋梗塞を起こして倒れしまう。見かねたデヴィッドの姉デビー(サラ・キャサリン・フック)の恋人、アーニー(ルアイリ・オコナー)が代わりにオレに乗り移れと叫び、事態は一旦沈静化する。しかし、その後アーニーが突然、家主を22箇所もめった刺しにして殺害、逮捕されてしまう。裁判では悪魔に取り憑かれていたためと無罪を主張するが、検事側は死刑を求刑。裁判で闘うため、ウォーレン夫妻はデヴィッドの一家が越してきた5カ月前のことから調べ直してみることにする。

72点

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 うーむ、あまり恐くなかったなあ。不気味で気持ち悪くはあったけれど、やはり相手が悪魔だと日本人的にはいまひとつかも。これが死霊とか亡霊ということになると、日本人的にはゾッするような話になっていたと思うけれど。まあ実話がベースなので、キリスト教圏では悪魔に取り憑かれたということになるんだろうけれど。壁に大きな爪痕が付くとか、悪魔はモンスター的なところ、獣的なところがあって、分けのわからない恐さが薄い。

 ホラーの大傑作「エクソシスト」(The Exorcist・1973・米)へのオマージュ的な部分もあるようだが、全体の感じがこれだと、どうでも良いと言うか、記憶に残らないと言うか。まあ、悪魔でも「エクソシスト」はものすごく恐かったので、その辺の違いを研究分析すれば、何かわかるのではないかと思うんだけど。ホラー映画製作者なら必須。でも誰もやらない。イヤ、やっているはずだが、答えが見つけられていないのか、あるいは間違った答えにいってしまったか。

 同じような内容の映画、しかも実話の映画化で、ドイツで1976年に起きた悪魔払い事件を描いた「エミリー・ローズ」(The Exorcism of Emily Rose・2005・米)もあって、女性に悪魔払い儀式を行い死なせてしまった神父の裁判の話だが、恐さ的にも本作より上か。後味に関しては本作の方が上で、エンターテインメント向きだろうけど。

 多くの悪魔系ホラーでは神父や教会が頼りにならないパターンが多い。それで自分たちでどうにかするか、超能力者や専門の研究者などに頼むことになって話が成立するのだが、たいていは面白くなく終わっている。逆に、面白かったホラーは神父が活躍している気がする。本作のシリーズというかマーベルなどの「ユニバース」にのっかって「死霊館ユニバース」と名付けられた世界観では、最初の諸悪の根源が「死霊館のシスター」だもんなあ……。最初は面白かったのに、どんどん悪い方向に行っているような。まあ本線のウォーレン夫妻を描いた「死霊館」シリーズは、そこそこ良い気がするけど。原点に立ち返った方が良いのでは。

 監督はマイケル・チャベス。残念なホラー「ラ・ヨローナ 〜泣く女〜」(The Curse of La Llorona・2019・米)を撮った人。音で脅かす人かあ。うむむ。本作ではそれほど酷くはなく、むしろ大きな音を効果的に使っていた感じはした。サラウンド感も良かった。

 脚本はデヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック。最悪の後味とも言われる「エスター」(Orphan・2009・米/加/独/仏)の脚本を書いた人。TVの「ウォーキング・デッド」シリーズも書いている。前作「死霊館 エンフィールド事件」(The Conjuring 2・2016・加/米/英)も書いているが、やはり最初の「死霊館」(The Conjuring・2013・米)を書いたチャド・ヘイズとケイリー・W・ヘイズに任せた方が良かったのかも。

 銃は、S&WのM10らしい4インチのリボルバーが登場。撃たないけど。

 それにしても、邦題のサブ・タイトルがひどい。これじゃ、まるでコメディ。開き直ったというか、ヤケクソというか。でもなあ……。楽しみにしている人だっているのに。

 公開2日目の初回、新宿の劇場はフル座席の全席指定で、2日前にネットで確保。当日は17〜18分前に開場。観客はほとんど若い人たちで、男女比はほぼ半々くらい。中高年はこのシリーズに期待していないということか。だいたいホラーやスプラッターは若い人が多いけど。

 それにしても、これまではコロナ座りで前後左右に人がいなかったが、やはり左右に人がいるのはストレスになるのを改めて認識した。前席は昔の劇場以外気にならなくなったが、やはり左右は気になる。ひじ掛けやドリンクが、結構気になる。ずっと携帯をいじっていて、まぶしくて目に入ってくるし……。最終的には184席フルに7割くらいの入り。思ったよりは混んでいた。

 となりのヤツが入場と同時にでかいポップコーンをぱくぱく食べ始め、スクリーンに飲食NGと出ても、そもそも見ていない。半暗になって飲食OKが出ても、気付くそぶりもなし。こういう人はアナウンスがあっても聞いていないだろう。もっとも効果的なのは販売時、手渡す時に「すぐには食べないで、スクリーンにOKが出てから」と伝えるのが良いと思うけれど、だぶんそれも聞かないだろうなあ。

 CM・予告の途中で飲食OKと出て半暗になり、マナー、忘れもの注意、映写機のマスクが左右に広がり暗くなってTCXデモ、まぶしい足元注意、フルの映画泥棒、映倫と続いて本編へ。

 今回もまた4D劇場の振動が伝わって来て不快だった。どうにかならないのかなあ。根本的な設計の問題だとすると、簡単には直せないだろうけど。どうにも地震と間違えてしまう。さすがに最近離れてしまって驚かなくなったが、あまり劇場に来ない人は驚くはず。逆に、これで驚かなくなると、本当の地震の時、気付けるんだろうか。

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