2021年10月24日(日)「ロン 僕のポンコツ・ボット」

RON'S GONE WRONG・2021・米/英/加・1時間47分(IMDbでは1時間46分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(ドルビーVISION)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタルも)
(米PG指定、英PG指定)(日本語吹替版もあり)

監督:サラ・スミス、
   ジャン=フィリップ・ヴァイン
脚本:ピーター・ベイナム、
   サラ・スミス
声の出演:ザック・ガリフィアナキス、
   ジャック・ディラン・グレイザー、
   オリヴィア・コールマン、ほか

公式サイト
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/ron
(情報少。全国の劇場リストもあり)

近未来、アメリカ。誰もがロボット型デバイス「Bボット」を持っている時代。ドコノマチ学校のバーニー(声:ジャック・ディラン・グレイザー)だけは、家が貧しく持っていなため1人孤立していた。しかしロンの誕生日、不憫に思った父はメーカーのバブル社を訪れるも、高額で、しかも予約限定の3ヶ月待ちと門前払いされてしまう。そこで、倉庫にあった廃棄処分待ちの不良品をこっそり持ち帰り、代替品としてバーニーにプレゼントする。ところが不良品のためネットにつながらず、知識のデータベースも偏っていたため、あまり役に立たない。そこでバーニーはそれをロンと名付けると、友だちにするため、友だちとは何かから学習させることにする。

72点

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 ジュブナイルというか、少年期の大冒険友情物語。よくできていて、予想通りの展開ではあるものの、感動的で心がほっこりする。正統派アニメーションという感じ。ただ、イジメとか学校内での独特のルールとかも描かれていて、そこは結構思い出すのがいやという人もいるかもしれないので、完全に万人向きではないと思うが、だいたいは見て損のない映画。ハイテク・ボディに毛糸の帽子の組み合わせが素敵。

 ただ、人間と機械もしくと人間以外のものの友情的な部分では、同じような映画がたくさん作られている。まず「E.T.」(E.T. the Extra-Terrestrial・1982・米)がそうだろうし、ロボットなら実写の「ショート・サーキット」(Short Circuit・1986・米)とか、アニメの「ウォーリー」(WALL・E・2008・米)もあった。しかもB-botというのは、カラフルで半透明で、なんだか初代のiMacのよう。機能的にはiPhoneやiPadの延長線上の未来にあるもののようだし、監督や製作者たちの頭にはMacがあったのかも。まあ、ソニーのaibo的でもあるけど。

 結構ギャグもたくさんちりばめられていて、不良品のためネットにつながらず、知識のデータベースにAの欄しかないようで、aから始まるものしかリストできないため、主人公の名前をアブサラムとかなんとかで覚えてしまうとか、太陽電池を備えていないため電池切れになるとか、予約限定の3ヶ月待ちと言われて「スターリンのロシアか」と突っ込むなど、いろいろ笑わせてくれる。

 CGも進化していて、水とか砂とかの小川の表現、ニットや毛糸の質感などまるで実物、実写のよう。そこまでできるのに、人間はあえてセル画風にしている。人間までリアルな3D-CGで描くと、どうしても人間の目は微妙な違和感を見つけ「不気味の谷」を見てしまう。日本が良くやりがちなヤツ。アメリカは早くから人間キャラは割り切ってセル画風にしていた。

 ちょっと面白かったのは、エンド・クレジットのロールで、ドット絵のCGが使われていたこと。昔のゲームみたいで、これはこれで愛嬌があるなと。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15〜16分前に開場。観客層はここでも字幕版だからか中高年がメイン。まあ、だいたい映画は中高年が見ているが。男女比は、最初18人くらいいて女性が8人。ほぼ半々くらいか。そしてファミリーが1家族ほど。最終的には117席に30〜40人の入り。これはちょっと少ないような。作品として悪しくはないけど、特に良くもないというところだろうか。


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