2021年11月6日(土)「アンテベラム」

ANTEBELLUM・2021・米・1時間46分(IMDbでは1時間45分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、大西公子/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、Arri ALEXA LF)/音響表記無し(IMDbではドルビーATMOS)
(米R指定)

監督・脚本・製作:ジェラルド・ブッシュ、
   クリストファー・レンツ(ブッシュ+レンツ)
撮影:ペドロ・ルケ・ブリオッツォ
出演:ジャネール・モネイ、
   エリック・ラング、
   ジェナ・マローン、
   ジャック・ヒューストン、ほか

公式サイト
https://antebellum-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

アメリカ南部のプランテーション。南軍の旗が掲げられた将軍の大きなお屋敷ではたくさんの黒人奴隷を抱え、彼らには毎日過酷な労働が課されていた。奴隷のリーダーとされたエデン(ジャネール・モネイ)は、将軍(エリック・ラング)から忠誠心が見られないと、腰に焼き印を押し当てられてしまう。
一方、現代の都会の高級マンションで暮らしながら人種不平等問題の本を出版し、未来の大統領ともいわれるほど人気の高い黒人女性の哲学博士ヴェロニカ(ジャネール・モネイ)は、ニューオーリンズでの著作の講演会の前に、エリザベスと名乗る怪しい白人の女性記者(ジェナ・マローン)のオンライン・インタビューを受ける。そして友人たちとの会食のため、レストランの予約を取ろうとすると不快な態度を取られ、レストランでは位置の悪いテーブルに案内されるなどの差別を受ける。

74点

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 恐い映画。ゾっとする。それは考えられないほどの強烈な人種差別の恐怖。南北戦争当時のアメリカ南部にはここまでの人種差別があったと。そして、いつあなたがその時代に取り込まれてしまうかわからないという恐怖。他人事ではないぞと。それも、単なる人種差別というよりは、人を人とも思わない、憎悪に近い感情。下等動物が人間に逆らうなというレベル。気に入らなければ平気で殺す。しかも、そういう人間がたくさんいると。恐い。執拗にと思えるほど、人種差別の言葉や力の暴力、虐待が描かれる。IMDbではわずかに5.7点。アメリカ人的には楽しめない映画だろう。

 クライマックスに向けて真実があらわになると、すべてが納得できる。そういうことだったのか。変えられた名前、ヒコーキ雲、鼻ピアス、収穫した綿花の焼却、蝶の刺青……

 映画の技法的には、時間軸をバラバラにして、観客を混乱させるタイプ。ちょっとズルい。時間軸どおりにやったら、衝撃度はたぶん小さい。それを利用したうまいミス・リーディング。ボクは予告からてっきりタイム・トラベルものか、あるいはパラレル・ワールドものだと思った。なるほどね。ボクは納得できたが、怒る人もいるかも。

 主演の美女、ジャネール・モネイは歌手、音楽プロデューサーのほか、モデル、女優としても活躍していて、ボクが見た作品だと、NASAの女性スタッフの活躍を描いた「ドリーム」(Hidden Figures・2016・米)や、G.I.ジョー人形の世界を描いた「マーウェン」(Welcome to Marwen・2018・日/米)のG.I.ジュリーや、奴隷解放に尽力した実沿いの黒人女性モーゼを描いた「ハリエット」(Harriet・2019・中/米)に出ている。

 高慢ちきな白人女性の奥様、エリザベスを演じた美女はジェナ・マローン。子役時代から活躍している人で、SFミステリー「コンタクト」(Contact・1997・米)のジョディ・フォスターの子供時代、ジュリア・ロバーツとスーザン・サランドンの「グッドナイト・ムーン」(Stepmom・1998・米)など、良い作品にたくさん出ていて、最近はちょっと作品に恵まれないようで、メジャー作品だと「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(Batman v Superman: Dawn of Justice・2016・米)に出ているくらいか。美女は主役でないと、近寄りがたい感じがするからか、悪役に行くパターンが多いような。
 やっぱりホテルの廊下の少女は「シャイニング」(The Shining・1980・英/米)のオマージュか。確かに恐かった。

 監督・脚本・製作の“ブッシュ+レンツ”の2人は、これまでともに短編を作ってきたらしい。本作が劇場長編映画のデビューとなるという。この恐い感じは素晴らしく、今後の作品に注目したい。

 銃は、南軍なのでパーカッション式のエンフィールド・モデル1853あたりか。北軍ならスプリングフィールドM1861あたりになるのだろうが。サディスティックなジャスパー司令官が持っていたのは、たぶんレバー・アクションのヘンリー・ライフル。同じ真ちゅうフレームのウィンチェスターM66だとすると時代があわないことになる。ただこの映画的にはOKということになるが……。パーカッション・リボルバーはたぶん1860/1861/1862あたりのコルト系。連射する(オートマチック?)ライフルも出てくるが、わからなかった。M4あたりかも。

 公開2日目の初回、広さで選んだ池袋の劇場も全席指定で、2日前にネットで確保。当日、40分ほど前に着いたら、待てるスペースはロビーというより単なる廊下で、しかもイスもなし。まさに昭和な感じ。トイレに行くと、水洗の洋式で清潔な感じではあったが、いまどきウォシュレット無し。ここは昭和よりは平成か。それでも時代遅れ感は否めない。突っ立ったまま時間を潰していると、前回の別の映画が終わり、清掃が入る。そして15分前、ようやく開場。中へ入ったら、これがまたフラットな座席で、しかも千鳥配列でもない小さく硬めのイス。背もたれも低い。スクリーンは高いが、前席の頭がギリギリ。しかも古いからか、反射率が低く暗かった。まさに昭和な劇場。まだこんなところが残っていたか。特別な理由がない限り、ここでは見たくない。これで最新館と同じ料金だからなあ。

 観客層は若い人から中高年までいたが、人数は少ない。男女比は半々くらい。最終的には306席に30人ほどの入り。作品ということもあるが、ここだとこんなものだろう。近くに最新館もあるし。ここで見る理由は、作品以外見当たらないなあ。

 スクリーンは1.66くらいのビスタで開いていて、3分ほど前から半暗になり、CM・予告。売店の案内からマナーがあって、スクリーンのマスクが左右に広がりシネスコ・サイズになって、映画泥棒、映倫と続いて本編へ。


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