2021年11月16日(火)「カオス・ウォーキング」

CHAOS WALKING・2021・米/加/香/ルクセンブルク・1時間49分

日本語字幕:丸ゴシック体下、大西公子/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、Arri ALEXA 65)/ドルビーATMOS(IMDbではdts、IMAX 6-Track、ドルビー・デジタルも)
(米加PG-13指定)

監督:ダグ・リーマン
原作:パトリック・ネス
   「心のナイフ上・下〈混沌の叫び1〉」
   金原瑞人 樋渡正人訳(東京創元社)
脚本:パトリック・ネス、
   クリストファー・フォード
撮影:ベン・セレシン
出演:トム・ホランド、
   デイジー・リドリー、
   マッツ・ミケルセン、
   デミアン・ビチル、ほか

公式サイト
https://cw-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

2275年、汚染された地球を脱出し、新世界(ニュー・ワールド)と呼ばれる惑星へたどりついた第一波の入植者たちは、リーダーのプレンティス首長(マッツ・ミケルセン)のもと、どうにか西部開拓時代のような生活をしながら、生き延びていた。しかし女性はすべて死に絶え、男性はこの惑星の影響により頭の中で思ったことが〈ノイズ〉として視覚化かつ音声化され、ほかの人に知られてしまうのだった。この惑星で生まれた青年トッド(トム・ホランド)は、貧しい暮らしの中、どうにかプレンティスに認めてもらおうとがんばっていた。そんなある日、地球からの第2波の移民団を乗せた宇宙船がやって来て、先遣隊が派遣されるも、ドロップ・シップが大気圏に突入後異常をきたし、墜落してしまう。唯一の生き残りは女性のヴィオラ(デイジー・リドリー)だけだった。

72点

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 ちゃんとSFしていたが、なんだかハリウッド映画としては低予算かなという印象。短編小説を映画化したようにも感じた。実際は上下巻の長編が原作のようだが……。超巨大な母船とか、その残骸、エイリアンなどの重要なSF要素はきちんと押さえているものの、新世界の惑星といっても、ほとんど地球そのままで(だから移住場所に選んだのだろうが)、開拓時代のような村だとSF感はあまりない。だいたい地球が環境汚染で、人類は新天地を求めて移住……って、いまさらねえ。スペック的にはArri ALEXA 65で撮っていて、IMAXにも対応だから大作のようだが??

 馬がいて、開拓者の町となると、どうしても雰囲気は西部劇。そのへんがSFとは正反対で、逆に良いという発想だったのかもしれない。しかしそれがチープ感につながってしまったような。そして気になったのは、男だけが、考えていることが煙のような虹色のもやとなって見えて、声としても聞こえるという設定。考えがダダ漏れというのは面白かったが、都合のいい時だけ、それがなくなったり、出てきたり。ちょっとフェアじゃないような。そのせいかIMDbでは5.8点の評価。

 もう1つ気になったのは、この惑星の先住民たるエイリアン。村があったり片腕の男(?)が出てきたりしながら、そのまま後は触れない。まるでいなかったような扱い。西部劇でいえば土地を奪われた先住民で、敵役となりがちな存在なのに、そこだけかい。ちゃんと造形はされているようだが、ちょっと「アライバル-侵略者-」(The Arrival・1996・米/メキシコ)のエイリアンとかに似ていて、残念なSF「ジョン・カーター」(John Carter・2012・米)もちょっと入っているかで、あるいはありがちなのかも。エンド・クレジットによるとトリロジーの文字があったので、3部作として考えていたのかも。だからどこかでもっとエイリアンが語られたり、なぜ男だけが思考がダダ漏れになるのかの謎が明かされる予定だったのかも。2人はまだキスもしないし。チラッと語られたスパクル監視隊って何? サークルって何? 未消化たくさん! 原作は上下巻の長編だ。でもこの仕上がりの感じだと続編は難しいかも。

 監督はダグ・リーマン。「ボーン・アイデンティティ」(The Bourne Identity・2002・米/独ほか)や「フェア・ゲーム」(Fair Game・2010・米/アラブ首長国連邦)、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(Edge of Tomorrow・2014・米/加)など良い作品もある一方、残念な「ジャンパー」(Jumper・2008・米/加)や後味の悪い「ザ・ウォール」(The Wall・2017・米)などもある。

 銃は、基本SF銃。オレンジのSFカービンに、SFピストル。ほかにはポンプ・ショットガンのソウドオフ、カービン・サイズのポンプ・ショットガン、SKS(シモノフ)カービンなど。ウィンチェスターとかSAAかと思ったら、さすがにそれはなかった。

 馬が走る音などがサラウンドで良く回り、迫力があった。ソシテエンド・クレジットの曲もよく回っていた。

 公開6日目の初回、日比谷の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分ほど前に開場。平日ということで人は少なめ。特に、翌日がTOHOデイだからなあ。観客層は高寄りの中高年がメインで、最終的には151席に男が21人くらいの、女が11人くらい。若い人は5人くらいいたか。

 CM・予告から、マスクの注意、飲食OKで半暗になり、非常口ランプも消え、ドラえもんマナーから予告が続き、マナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズでまぶしい足元注意の、映画泥棒、映倫があって本編へ。


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