2021年11月17日(水)「マリグナント 凶暴な悪夢」

MALIGNANT・2021・米/中・1時間51分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(by Panavision、IMAX。IMDbでは2.39、Arri ALEXA)/ドルビー(IMDbではドルビー・デジタル、IMAX 6-Trackも)
(米R指定、日R18+指定)

監督・製作:ジェームズ・ワン
原案:ジェームズ・ワン、
   イングリッド・ビス、
   アケラ・クーパー
脚本:アケラ・クーパー
撮影:マイケル・バージェス
出演:アナベル・ウォーリス、
   マディ・ハッソン、
   ジョージ・ヤング、
   ミコール・ブリアナ・ホワイト、ほか

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/malignant/
(全国の劇場リストもあり)

1993年、シミオン研究所で、悪性腫瘍のある患者が大暴れし、看護師や医師を次々と惨殺したため、悪性腫瘍の緊急切除手術が行われる。
そして現在。何度も流産し、ようやく新たに妊娠したばかりのマディソン・ミッチェル(アナベル・ウォーリス)は、アル中の夫のDVにより後頭部を壁に打ち付けられ、気絶してしまう。すると影のような何かが現れ、DV夫の手足をありえない方向に折り、惨殺してしまう。隣人の通報で駆けつけた刑事のケコア・ショー(ジョージ・ヤング)とレジーナ・モス(ミコール・ブリアナ・ホワイト)が事件を担当することになり、調査を始めるが、それからマディソンは頻繁に黒い影に脅かされることになる。

73点

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 なかなかのホラー作品。音で脅かすようなことは、ほんどとなく(雷の音とかはあるが、自然の音だ)、ちゃんと恐くて不気味でおそろしい。ゴシック・ホラー風に始まり、現代の話になり、数々の怪奇現象と、人間の力超えるような連続猟奇殺人が起こり、最後には真実が明らかとなり、トンデモな事態の大団円、決闘で終わるというホラーらしいホラー。よくできている。アメリカではIMAXの3Dでも公開されたよう。

 最初、ただの美女に見えていた主人公が、次第に恐く見えてきて、ラストには別人のようになるという変化も見事。ちゃんと納得できる驚きの謎明かしは、ちょっと衝撃的で、そうだったのかとそれまでの妙な伏線がつながって解決される。昔はこういうことが多かったような話も聞くし、『リング』もそんな流れの1つとも言える。超トンデモなことではなく、一般人でも想像できる現実的な範囲のちょっと外のお話。うまい。

 日本での指定がR18+ということもあり、残酷描写はかなり。顔に刃物が食い込んだり、潰れたり、なかなかえぐい。しかしスプラッター的というよりはホラー的で、ミステリーな感じが強く、それほど気持ち悪かったり衝撃を感じたりはなかった。それより視覚的には主人公の周りをカメラが回りながら、モーフィングして別の部屋になっていくところが不思議感もあって、鮮やかで、印象に残った。素晴らしい。「『グーニーズ』のスロースを手配するの?」には笑ったが。

 ただ、メイン・キャスト以外の演技がイマイチな感じが。特に気になったのは、警察の留置所のシーン。先にいた危ない女たちがちょっと…… 目線とか、驚きの表情とか、なんだかリハーサルかなんかを見ているような感じで…… 残念! 細かいところでも、気になるところが結構あちこちにあるにはあった。

 アジア系というか中国系のキャストが多いなと思ったら、製作国はアメリカと中国だった。そういうことか。

 監督はマレーシア出身のジェームズ・ワン。世界的に高い評価を得る人だが、正直なところ、この人の監督作品はだいたい面白いのだが、監督せず製作だけだったりするとちょっと残念なものが多い。本作は監督・製作・原案なので、面白い。

 銃は、最初に麻酔銃が出て、現在の刑事はP226(外しまくりだけど)、警官はグロック、ショットガンは870あたりか。惨殺シーンは銃ではなく、やっぱり刃物。恐い。

 公開5日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は初回とは言え、平日なので昼近くのスタート。TOHOデイということで1,200円均一。そのためなのか、平日にも関わらずちょっと人が多い。15分前くらいに開場になり、場内へ。意外なことに若い人が多く(ホラーはだいたい若い人が多いが)、高齢者は1/3ほどで、中年はチラホラ程度。女性も1/3ほど。最終的には117席の9割りほどが埋まった。平日の、初回なのに!

 CM・予告から、飲食OKで半暗になり、非常口案内から非常口ランプも消え、予告が続いて、マナー(やっててもぺちゃくちゃうるさい夫婦がいて……)、忘れ物注意から暗くなって、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズでまぶしい足元注意の映画泥棒、映倫で、本編へ。


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